知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【代案】特許法の一部改正法律案(議案番号:2206928)

2024年12月24日

議案番号:2206928
提案日:2024年12月
提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

1.代案の提案経緯

議案名 議案番号 代表発議者 発議日 審査経過
特許法の一部改正法律案 2203858 イ・チョルギュ議員 2024.9.10. ‐第418回国会(常会)第9次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2024.11.20.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第418回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2024.11.26.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2204182 コ・ドンジン議員 2024.9.23. 同上
同上 2204271 イ・チョルギュ議員 2024.9.25. 同上
  1. 第418回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2024.11.26.)にて上記3件の法律案について審査した結果、各法律案を本会議に付議することなく、各法律案の内容を統合・調整して当委員会の代案を作成することにした。
  2. 第418回国会(常会)第10次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2024.11.28.)にて産業通商資源特許小委員会が審査報告したとおり、上記3件の法律案について各本会議に付議する代わりに、産業通商資源特許小委員会が作成した代案を提案することを議決する。
  3. 2.代案の提案理由

    現行の許可等による特許権の存続期間の延長制度では、有効特許権の存続期間の上限(キャップ)と延長可能な特許権の数の制限が存在しないため、ジェネリック医薬品の発売が遅延されることがあり、国民の医薬品への早期アクセスの確保に支障が生じている現状である。米国・欧州等主要国の場合には有効特許権の存続期間の上限(キャップ)と延長可能な特許権の数を制限する規定が存在しており、許可等による特許権の存続期間の延長制度において国際調和が求められる状況である。
    一方、現行法では、発明の実施行為に係る規定において輸出が規定されていないため、海外に輸出する物品に対する特許権者の権利侵害を保護することができない問題があることから制度の改善が必要だとの意見が提起されている。
    また、現行法では、国防上必要な場合、外国に特許出願することを禁じるか発明者・出願人及び代理人に対し当該の特許出願に係る発明を秘密として取り扱うよう命ずるよう定めているが、このような違反行為に対する処罰規定がないため、国防上重要な技術等が国外に流出されることを防止する実効性が低くなっており、それに対する処罰規定を導入すべきだとの意見が提起されている。
    従って、許可等による特許権の存続期間の延長制度において有効特許権の存続期間の上限(キャップ)を設定し、延長可能な特許権の数を制限することで、国民の医薬品への早期アクセスと健康保険の財政を削減する効果を高めて国民の権益を守り、米国・欧州等主要国水準に合わせて上記の延長制度を見直す目的である。
    また、発明の実施行為に輸出を追加し、国防上必要な場合による外国への特許出願の禁止等を受けた者がそれを違反した場合に関する処罰規定を定めることで、発明を保護・奨励及び国の安全保障と国民経済の発展に寄与する目的である。

    3.代案の主要内容

    1. 発明の実施行為に輸出を追加し、関連規定を整備する(案第2条第3号、第127条及び第181条)。
    2. 特許権の存続期間に登録遅延による延長期間を含めることで許可等による特許権の存続期間の起算点を明確にする(案第89条第1項)。
    3. 許可等による延長された特許権の存続期間について許可を受けた日から14年を超えないよう根拠を設け、違反時に拒絶査定及び無効審判を請求できるようにする(案第89条第1項の但し書の新設等)。
    4. 一つの許可等に対し延長可能な特許権の数を単数に規定し、一つの許可等に対し二つ以上の特許権がある場合には延長登録出願人はそのうち一つの特許権のみについて存続期間の延長登録出願をしなければならない(案第90条第7項の新設)。
    5. 特許権の存続期間の延長登録出願が放棄・無効・取り消されたか拒絶査定又は拒絶するとの趣旨の審決が確定した場合には特許権の存続期間の延長登録出願は最初からなかったこととみなす(案第90条第8項の新設)。
    6. 国防上必要な場合による外国への特許出願の禁止又は秘密取扱命令を受けた者がそれを違反した場合、5年以下の懲役又は5千万ウォン以下の罰金に処する(案第229条の3の新設)。
    7. 参考事項

      この法律案は産業通商資源中小ベンチャー企業委員長が提案した「実用新案法の一部改正法律案」(代案)(議案番号第6926号)の議決を前提にするため、同法律案が議決されないか修正議決される場合にはそれに合わせて調整されるべきである。

      特許法の一部改正法律案

      特許法の一部を次のように改正する。
      第2条第3号イ目及びハ目の中「貸渡し又は」をそれぞれ「貸渡し・輸出又は」に改める。
      第89条第1項の中「存続期間」を「存続期間(第92条の5第2項により特許権の存続期間の延長が登録された場合にはその延長された日までをいう)」に改め、同項に但し書を次のように新設する。
      但し書、許可等を受けた日から14年を超えて延長することはできない。
      第90条に第7項及び第8項をそれぞれ次のように新設する。
      ⑦一つの許可等に対し二つ以上の特許権がある場合には延長登録出願人はそのうち一つの特許権のみについて存続期間の延長登録出願をしなければならず、一つの許可等に対し二つ以上の特許権に対する存続期間の延長登録出願がある場合にはいずれの特許権についても存続期間を延長することができない。
      ⑧特許権の存続期間の延長登録出願が次の各号のいずれかに該当する場合、その出願は第7項を適用する際には最初からなかったこととみなす。
      1.放棄、無効又は取り消された場合
      2.拒絶査定若しくは拒絶する趣旨の審決が確定した場合
      第91条第3号の中「当該の特許発明を実施できなかった」を「延長の」に改め、同条に第6号を次のように新設する。
      6.第90条第7項を違反して一つの許可等に対し二つ以上の特許権に対する存続期間の延長登録出願をした場合
      第93条の中「第67条」を「第67条、第78条第1項・第3項」に改め、同条に後段を次のように新設する。
      この場合、第78条第1項の中「特許取消申請に対する決定」は「第92条の4及び第92条の5による延長登録拒絶査定又は延長登録決定」に、「その審査手続き」は「許可等による延長登録出願に係る審査手続き」とみなす。
      第127条第1号及び第2号の中「貸渡し又は」をそれぞれ「貸渡し・輸出又は」に改める。
      第134条第1項第3号の中「当該の特許発明を実施できなかった」を「第89条により認められる延長の」に改め、同項に第6号を次のように新設し、同条第4項第1号の中「当該の特許発明を実施できなかった」を「第89条により認められる延長の」に改め、同条に第5項を次のように新設する。
      6.第90条第7項を違反して一つの許可等に対し二つ以上の特許権の存続期間が延長登録された場合 ⑤延長登録が第1項第6号に該当して無効にするとの審決が確定された場合にはその特許権の存続期間の延長登録出願は最初からなかったこととみなす。
      第181条第1項各号外の部分の中「輸入するか」を「輸出又は輸入するか」に改め、同条第2項第2号及び第3号の中「貸渡し又は」をそれぞれ「貸渡し・輸出又は」に改める。
      第229条の3を次のように新設する。
      第229条の3(外国への特許出願の禁止又は秘密取扱命令の違反罪)第41条第1項による外国への特許出願の禁止又は秘密取扱命令を違反した者は5年以下の懲役又は5千万以下の罰金に処する。
      第230条各号外の部分の中「第228条又は第229条」を「第228条、第229条又は第229条の3」に改め、同条に第3号を次のように新設する。
      3.第229条の3の場合:1億ウォン以下の罰金

      附則

      第1条(施行日)この法律は公布後6か月が経過した日から施行する。
      第2条(許可等による特許権の存続期間の延長に関する適用例)第89条第1項、第90条第7項・第8項、第91条、第93条及び第134条第1項・第4項・第5項の改正規定は同法の施行以降許可等を受けた特許発明の許可等による特許権の存続期間の延長登録出願から適用する。

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