知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2205389)

2024年11月08日

議案番号:2205389
提案日:2024年11月8日
提案者:イ・チョルギュ議員(国民の力)外17人

提案理由

昨今は技術覇権で定義される新しい技術規範の時代であって、技術保護は各企業・機関において国家安全保障と国民経済に関わる問題へと変わりつつあり、技術流出犯罪を予め遮断し国家コア技術等国レベルで重要な技術をより手厚く保護するための対策が急がれている。
従って、国家コア技術等産業技術の流出を防止するために技術奪取を目的にする紹介・斡旋・誘引に係る行為を産業技術の流出及び侵害行為に含めて遮断し、海外買収・合併の承認審査時に「国民経済的な波及効果」についても検討するようにし、国家コア技術の保有確認制及び保有機関登録制を導入することで管理を強化する一方、国家コア技術等産業技術を外国で使用することを承知しているにも関わらず流出する行為に対する罰則規定を大幅に強化する目的である。
併せて、技術保護への取り組みが企業の経営活動の制限や企業への負担につながらないよう、技術流出の可能性が低い輸出行為に対する手続きを簡素化する根拠を設け、実態調査の結果が優秀な企業に対し輸出審議に係る手続きの一部を免除するか簡素化するようにし、産業技術保護委員会の業務を支援するために技術安保センターを指定する根拠を設ける等企業への支援を強化する目的である。

主要内容

  1. 産業技術保護委員会の運営を支援し、国家コア技術の指定・変更・解除等技術現行化及び技術判定等に係る業務を効率的に行うために技術安保センターを指定する(案第7条第6項の新設)。
  2. 産業通商資源部長官が対象機関に対し当該機関が保有している技術が国家コア技術に該当するか否かについて判定を申請できるよう通知する(案第9条の2の新設)。
  3. 国家コア技術保有機関を登録・管理できるよう根拠となる規定を設ける(案第9条の3の新設)。
  4. 産業通商資源部長官は技術流出の恐れが低いと認める輸出に対し輸出手続きを免除又は簡素化できるようにする(案第11条第10項の新設)。
  5. 海外買収・合併の承認審査時に「国家安保に与える影響」と共に「国民経済的な波及効果」についても検討する(案第11条の2第4項)。
  6. 産業技術を流出するか目的外で使用・開示する行為等を紹介・斡旋・誘引する行為を産業技術の流出及び侵害行為に含める(案第14条第6号)。
  7. 国家コア技術を外国で使用するか使用されることを承知しているにも関わらず該当の行為をした者に対し5年以上の有期懲役又は65億ウォン以下の罰金を併科する(案第36条第1項)。
  8. 産業技術を外国で使用するか使用されることを承知しているにも関わらず該当の行為をした者に対し20年以下の懲役又は30億ウォン以下の罰金に処する(案第36条第2項)。
  9. 産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部改正法律案

    産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部を次のように改正する。
    第7条第6項を第7項にし、同条に第6項を次のように新設する。
    ⑥産業通商資源部長官は産業技術保護委員会の運営を支援し、第9条、第9条の2から第9条の4まで、第10条、第11条、第11条の2及び第12条の業務を効率的に遂行するために大統領令で定めるところにより技術安保センターを指定することができる。
    第9条第6項を削除し、同条第7項を第6項に改める。
    第9条の2を第9条の4に改め、第9条の2及び第9条の3をそれぞれ次のように新設する。
    第9条の2(国家コア技術の該非判定等)①企業・研究機関・専門機関・大学等(以下、「企業等」とする)は保有している技術が国家コア技術に該当するか否かについて判定を産業通商資源部長官に申請することができる。
    ②産業通商資源部長官は大統領令で定めるところにより企業等が国家コア技術を保有していると判断する場合、職権により当該機関に第1項に基づく判定を申請するよう通知することができる。
    ③第2項に基づく通知を受けた企業等の長は通知を受けた日から30日以内に判定申請書類を提出しなければならない。但し、正当な事由がある場合には事前に協議して30日の範囲内で期限を延長することができる。
    ④産業通商資源部長官は第1項及び第2項に基づく判定について技術安保センターに対し検討を求めることができ、関係中央行政機関の長又は判定申請機関の長に対し資料提出等の必要な協調を求めることができる。この場合、関係中央行政機関の長及び判定申請機関の長は正当な事由がなければそれに従わなければならない。
    ⑤第1項に基づく判定申請の方法及び手続き、第2項に基づく判定申請通知の方法及び手続きに必要な事項は大統領令で定める。
    第9条の3(国家コア技術保有機関の登録等)①企業等は次の各号のいずれかに該当する事由が発生した日から30日以内に国家コア技術に係る事項の登録を産業通商資源部長官に申請しなければならない。登録した内容を変更する場合も同様である。
    1.第9条の2に基づき国家コア技術の該非判定を申請して国家コア技術に該当するとの判定を受けた場合
    2.「国家先端戦略産業の競争力強化及び保護に関する特別措置法」第11条第5項及び第6項に基づき国家先端戦略技術に該当するとの判定を受けた場合
    3.既存の対象機関から国家コア技術を移転され国家コア技術に対する実質的な権利が発生した場合
    ②第1項に基づき登録した国家コア技術を保有する対象機関は次の各号のいずれかに該当する場合、その事由を知った日から30日以内に登録抹消を産業通商資源部長官に申請することができる。
    1.第9条第3項に基づき国家コア技術の指定が解除された場合
    2.第11条に基づく国家コア技術の輸出及び第11条の2に基づく海外買収・合併等により国家コア技術を移転して国家コア技術に対する権利・資料・情報を保有しなくなった場合
    3.対象機関が国内法人・企業等に国家コア技術を移転する等国家コア技術に対し実質的な権利を持たなくなった場合
    ③産業通商資源部長官は第1項に基づく登録及び第2項に基づく登録抹消と関連して技術安保センターに対し検討を求めることができ、関係中央行政機関の長又は対象機関の長に対し資料提出等の必要な協調を求めることができる。この場合、関係中央行政機関の長又は対象機関の長は正当な事由がなければそれに従わなければならない。
    ④第1項に基づく登録の方法及び手続き、第2項に基づく登録抹消の方法及び手続きに係る必要な事項は大統領令で定める。
    第11条第10項及び第11項をそれぞれ第11項及び第12項に改め、同条に第10項を次のように新設し、同条第11項(従前の第10項)の中「手続き」を「手続き、第10項の輸出の承認及び申告の免除又は簡素化」に改める。
    ⑩産業通商資源部長官は第1項及び第4項にも関わらず技術流出の恐れが低いと認める輸出の場合は、輸出に係る手続きを免除又は簡素化することができる。
    第11条の2第4項の前段の中「海外買収・合併等が国家安保に与える影響を検討して関係中央行政機関」を「海外買収・合併等に基づく国家安保及び国民経済的な波及効果等を検討して関係中央行政機関」に改める。
    第14条第7号及び第8号をそれぞれ第8号及び第9号に改め、同条第6号の2及び第6号の3をそれぞれ第7号の2及び第7号の3に改め、同条第6号を第7号に改め、同条に第6号を次のように新設する。
    6.第1号から第4号までのいずれかに該当する行為を紹介・斡旋・誘引する行為
    第14条の4を次のように新設する。
    第14条の4(外国における行為に対する適用)第14条に基づく産業技術の流出及び侵害行為
    の禁止に対する規定は、当該行為を外国で行った場合にも同法を適用する。
    第17条第3項を第4項に改め、同条に第3項を次のように新設する。
    ③産業通商資源部長官は実態調査の結果が優秀な対象機関に対し第11条第1項及び第4項に基づく輸出手続きの一部を免除又は簡素化することができる。
    第36条第1項の前段の中「国家コア技術を外国で使用するか使用させる目的で」を「国家コア技術が外国で使用されることを承知しているにも関わらず」に、「3年」を「5年」に改め、同項の後段の中「15億ウォン」を「65億ウォン」に改め、同条第2項の中「産業技術を外国で使用するか使用させる目的で」を「産業技術が外国で使用されることを承知しているにも関わらず」に、「15年」を「20年」に、「15億ウォン」を「30億ウォン」に改め、同条第3項の中「第4号・第6号・第6号の2及び第8号」を「第4号・第7号・第7号の2及び第9号」に改め、同条第4項の中「第8号」を「第9号」に改める。

    附則

    第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
    第2条(国家コア技術保有機関の登録に関する経過措置)この法律施行前に第9条、第11条及び第11条の2に基づき国家コア技術保有機関として確認された対象機関は、同法律施行日から6か月の期間内に第9条の3の改正規定に基づき産業通商資源部長官に登録しなければならない。

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