知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2204760)

2024年10月17日

議案番号:2204760
提案日:2024年10月17日
提案者:ミン・ヒョンベ議員(共に民主党)外12人

提案理由

国家コア技術及び産業技術の海外流出の犯罪に対する処罰を強化することを提案致します。並びに、国家コア技術及び先端技術保有機関の勤務者に対する海外企業への就職を制限し、産業技術侵害行為者の個人情報を公開することを提案致します。
最近、技術覇権争いの激化により、産業技術が流出される事件が相次いでいます。国家情報院によると、この6年間(2017年~2023年)、産業技術の海外流出が摘発された件数は計140件です。それによる被害規模は33兆ウォンに達しています。海外各国では処罰を強化する傾向にありますが、韓国の処罰水準は非常に低くなっています。韓国国内の産業界からも厳重な対処を求めている状況です。
従って、国家コア技術を外国に流出する場合、従前の3年以上の有期懲役から5年以上の有期懲役に、15億ウォン以下の罰金から20億ウォン以下の罰金に引き上げることを提案致します。産業技術を海外に流出する場合においても、従前の15年以下の懲役から20年以下の懲役に、15億ウォン以下の罰金から20億ウォン以下の罰金に引き上げることを提案致します。並びに、「故意」で技術を流出したとしても外国で使用するか使用させる「目的」であることを立証した場合にのみ処罰を下すという問題点を解消する必要があります。海外流出に対する処罰要件を目的犯から故意犯に拡大するという内容を盛り込みました。また、外国企業への就職を一定期間制限し、産業技術の海外流出者の個人情報を公開するとの内容についても記載しています。これは、韓国国内の産業技術保護を強化することにより、経済発展を図る趣旨であります。

主要内容

  1. 国家コア技術等を保有する対象機関で3年以上勤務した者に対し、退職日から3年間、類似の業種の外国企業等に就職することができないようにする。(案第34条の2の新設)。
  2. 国家コア技術を外国で使用するか使用させる目的で該当の違反行為をした者に対し、有期懲役の期間を3年以上から5年以上に引き上げ、罰金においては15億ウォン以下から20億ウォン以下に引き上げて併科し、産業技術を外国で使用するか使用させる目的で該当の違反行為をした者に対し、有期懲役の期間を15年以下から20年以下に引き上げ、罰金においては15億ウォン以下から20億ウォン以下に引き上げることで処罰水準を強化する(案第36条第1項及び第2項)。
  3. 裁判所は産業技術の海外流出者の個人情報を情報通信網を利用して15年間公開するよう命令を下すことができるようにする(案第36条の3の新設)。
  4. 産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部改正法律案

    産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部を次のように改正する。
    第34条の2を次のように新設する。
    第34条の2(役職員に対する就職の制限)①国家コア技術か、「産業発展法」第5条に基づき告示される先端技術の範囲に属する技術を保有する対象機関に3年以上勤務した者に対し、退職日から3年間、大統領令で定める類似の業種の外国企業等に就職することができない。但し、委員会から就職の確認を受けた場合には該当しない。
    ②第1項に基づく就職の確認方法及び手続き等に必要な事項については大統領令で定める。
    第36条第1項の前段の中「使用させる目的で」を「使用されることを承知しているにも関わらず」に、「3年」を「5年」に改め、同項の後段の中「15億ウォン」を「20億ウォン」に改め、同条第2項の中「15年」を「20年」に、「15億ウォン」を「20億ウォン」に改める。
    第36条の3を次のように新設する。
    第36条の3(産業技術の海外流出者の個人情報に関する公開等)①裁判所は第36条の犯罪を起こした者に対し、判決により、氏名、住民登録番号及び該当の犯罪事実の要旨について、最長15年の範囲内で情報通信網を利用して公開するとの命令を該当事件の判決と同時に宣告することができる。
    ②第1項に基づく情報の公開期間は、判決が確定された時から起算する。但し、公開命令を受けた者が実刑の宣告を受けた場合には、その刑の全部又は一部の執行を終了するか執行が免除された時から起算する。
    ③第1項に基づく情報公開の方法及び手続き、公開命令の執行等に必要な事項は大統領令で定める。

    附則

    第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
    第2条(就職制限に関する適用例)第34条の2の改正規定は、この法律の施行以降、対象機関から退職される者から適用される。
    第3条(個人情報の公開に関する適用例)第36条の3の改正規定は、この法律の施行以降、第36条に該当する犯罪を起こした者から適用される。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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