知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2203916)

2024年09月11日

議案番号:2203916
提案日:2024年9月11日
提案者:パク・ソンフン議員(国民の力)外12人

提案理由

現行法では、国内外の市場で占める技術的・経済的価値が高いか関連産業の成長潜在力が高く海外に流出される場合に国の安全保障及び国民経済の発展に重大な悪影響を与える恐れのある技術を国家コア技術に指定できるように定め、それを保護し流出を防止している。
しかし、国家コア技術が体系的に管理されていないため、国家コア技術の登録・管理に関する法律的根拠を設け、国家コア技術を保有していると判断された場合、産業通商資源部長官の職権により対象機関に国家コア技術の登録を申請できるようにする等、国家コア技術の登録・管理のための制度的改善が必要だとの意見が提起されている。
一方、現行法では、産業技術侵害行為の故意が認められる場合、損害であると認める金額の3倍を賠償額の上限としているが、これを引き上げることで産業技術侵害行為を防止すべきだとの意見も提起されている。
従って、国家コア技術の登録制を導入し、産業技術侵害行為に対する損害賠償額の限度を拡大する一方、産業技術侵害行為を紹介・斡旋又は誘引する行為を侵害行為の類型として規定して不正な流出を防止し産業技術を保護することで、国内産業の競争力を強化し、国の安全保障と国民経済の発展に貢献する目的である。

主要内容

  1. 企業・研究機関・専門機関・大学等(以下、「企業等」とする)は保有している技術が国家コア技術に該当するかどうかについて産業通商資源部長に対し判定を申請することができるようにし、産業通商資源部長官は企業等が国家コア技術を保有していると判断する場合、職権により判定申請をするよう通知することができるようにする(案第9条の2の新設)。
  2. 産業通商資源部長官に対し国家コア技術の保有機関を登録・管理することができるようにする(案第9条の3の新設)。
  3. 対象機関の契約等により大統領令で定める産業技術に対するアクセス権限のある者が産業技術を指定された場所外に無断で流出するか、目的外で使用・公開する行為を産業技術侵害行為の類型として規定し、産業技術の流出及び侵害行為を紹介・斡旋・誘引する行為を産業技術の流出・侵害行為に含めるようにする(案第14条第2号の2及び4号の2の新設)。
  4. 産業通商資源部長官が産業技術侵害申告を受けた場合、侵害申告に関連する機関に対し実態調査を実施することができるようにする(案第17条第3項)。
  5. 裁判所は産業技術侵害行為が故意的なものだと認められる場合、損害として認められる金額の3倍から5倍へと賠償額の上限を引き上げて決めることができるようにする(案第22条の2第2項)。
  6. 判定申請書類を提出しないか虚偽で提出した者と、国家コア技術の保有機関の登録を申請しない者に対し1千万ウォン以下の罰金を科すことができるようにする(案第39条第1号・2号の新設)。
  7. 産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部改正法律案

    産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部を次のように改正する。
    第9条の2を第9条の4に改め、第9条の2及び第9条の3をそれぞれ次のように新設する。
    第9条の2(国家コア技術の該当有無の判定等)①企業・研究機関・専門機関・大学等(以下、「企業等」とする)は保有している技術が国家コア技術に該当するかどうかに関する判定を産業通商資源部長官に対し申請することができる。
    ②産業通商資源部長官は第13条、第15条及び第17条等に基づき企業等が国家コア技術を保有していることと判断する場合、職権により当該機関に第1項に基づく判定を申請するよう通知することができる。
    ③第2項に基づく通知を受けた企業等の長は通知を受けた日から30日以内に判定申請書類を提出しなければならない。但し、正当な事由がある場合には事前に協議して30日の範囲で期限を延長することができる。
    ④産業通商資源部長官は第1項及び第2項に基づく判定と関連して分野別専門委員会に対し検討させることができ、関係中央行政機関の長又は企業等の長に資料提出等の必要な協調を要請することができる。この場合、関係中央行政機関の長及び企業等の長は正当な事由がなければこれに従わなければならない。
    ⑤第1項に基づく判定申請、第2項に基づく判定申請の通知の方法及び手続きに必要な事項は大統領令で定める。
    第9条の3(国家コア技術の保有機関の登録等)①企業等は次の各号のいずれかに該当する事由が発生した日から30日以内に国家コア技術関連事項の登録を産業通商資源部長官に申請しなければならない。登録した内容を変更する場合にも同様である。
    1.第9条の2に基づき国家コア技術の該当有無の判定を申請して国家コア技術に該当すると判定を受けた場合
    2.「国家先端戦略産業の競争力強化及び保護に関する特別措置法」第11条第5項及び同条第6項に基づき国家先端戦略技術に該当すると判定を受けた場合
    3.既存の対象機関から国家コア技術を移転され国家コア技術に対する実質的な権利を持つようになった場合
    ②第1項に基づき登録した国家コア技術を保有している対象機関は次の各号のいずれかに該当する場合、その事由を知った日から30日以内に登録抹消を産業通商資源部長官に申請することができる。
    1.第9条第3項に基づき国家コア技術の指定が解除された場合
    2.第11条に基づく国家コア技術の輸出及び第11条の2に基づく海外買収・合併等により国家コア技術を移転して国家コア技術に対する権利・資料・情報を保有しなくなった場合
    3.対象機関が国内法人・企業等に国家コア技術を移転する等、国家コア技術に対し実質的な権利を持たなくなった場合
    ③産業通商資源部長官は第1項に基づく登録及び第2項に基づく登録抹消と関連して分野別専門委員会に対し検討させることができ、関係中央行政機関の長又は対象機関の長に対し資料提出等の必要な協調を要請することができる。この場合、関係中央行政機関の長又は対象機関の長は正当な事由がなければこれに従わなければならない。
    ④第1項に基づく登録方法及び手続き、第2項に基づく登録抹消の方法及び手続きに必要な事項は大統領令で定める。
    第14条第2号の2を次のように新設し、同条第3号の中「第1号又は第2号の規定に」をそれぞれ「第1号から第2号の2までに」に改め、同条第4号の中「第1号又は第2号の規定に」をそれぞれ「第1号から第2号の2までに」に改め、同条に第4号の2を次のように新設する。
    2の2.対象機関の契約等により大統領令で定める産業技術へのアクセス権限のある者が産業技術を指定された場所外に無断で流出するか、目的外で使用・公開する行為
    4の2.第1号から第4号までのいずれかに該当する行為を紹介・斡旋又は誘引する行為
    第17条の題目の中「実態調査」を「実態調査等」に改め、同条第3項を第4項に改め、同条に第3項を次のように新設し、同条第4条(従前の第3項)の中「第2項の規定に基づく」を「その他」に改める。
    ③産業通商資源部長官は第15条第1項に基づく産業技術侵害申告を受けた場合、侵害申告に関連する機関に対し実態調査を実施することができる。
    第22条の2第2項各号の外の部分の中「3倍」を「5倍」に改める。
    第34条に第2号の2及び第2号の3をそれぞれ次のように新設し、同条第6号の中「第17条第1項の規定に基づき」を「第17条に基づき」に改める。
    2の2.第9条の2に基づき国家コア技術の判定等の業務を遂行する者
    2の3.第9条の3に基づき国家コア技術の保有機関の登録等の業務を遂行する者
    第39条第1項第1号から第3号までをそれぞれ第3号から第5号までに改め、同項に第1号及び第2号をそれぞれ次のように新設する。
    1.第9条の2第3項に基づく判定申請書類を提出しないか虚偽で提出した者
    2.第9条の3第1項に基づく国家コア技術の保有機関の登録を申請しない者

    附則

    第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
    第2条(国家コア技術保有機関の登録に関する経過措置)この法律の施行当時、従前の第9条、第11条及び第11条の2に基づき国家コア技術の保有機関であると確認された対象機関は、この法律の施行日から6か月以内に第9条の3の改正規定により産業通商資源部長官に対し国家コア技術の保有機関の登録申請をしなければならない。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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