知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【公布】不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律(法律第20321号)

2024年02月20日

国務会議の議決された不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律をここに公布する。
大統領 ユン・ソンニョル
2024年2月20日
国務総理 ハン・ドクス
国務委員兼産業通商資源部長官 アン・ドクグン

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
第2条第1号ル目中「データ(データ産業振興及び利用促進に関する基本法)」を「データ[「データ産業振興及び利用促進に関する基本法」)に、「管理されており、秘密として管理されていない技術上又は営業上の情報を指す。以下、同一)を」を「管理されている技術上又は営業上の情報(第2号に基づく営業秘密を除く)を指す。以下、同一」を」にする。
第7条の2を次のように新設する。
第7条の2(資料閲覧の要求等)①第7条に基づく調査の両当事者又は代理人等大統領令で定める者は特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長に対し第7条に基づく調査に関連する資料の閲覧又はコピーを求めることができる。この場合、特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は次の各号のいずれかに該当する資料を除いてはこれに従わなければならない。
1.第2条第2号に基づく営業秘密
2.その他、他の法律に基づく非公開資料
②第1項に基づく閲覧又はコピーの手続き、方法及びその他必要な事項は大統領令で定める。
第8条第1項を第4項に改め、同条に第1項を次のように新設し、同条第2項中「特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長」を「特許庁長」に、「是正勧告を」を「是正勧告か是正命令を」に、「是正勧告の事実」を「是正勧告か是正命令の事実」にし、同条第3項中「第2項」を「第1項に基づく是正勧告か是正命令及び第2項」にし、同条第4項(従前の第1項)中「特許庁長、市・道知事又」そ「市・道知事」に、「できる」を「でき、違反行為をした者が是正勧告を履行しなかった場合には、違反行為の内容及び是正勧告の事実等を公表することができる」にし、同項に後段を次のように新設し、同条に第5項を次のように新設する。
①特許庁長は、第2条第1号(チ目とワ目を除く)の不正競争行為や第3条、第3条の2第1項又は第2項を違反した行為があったと認められれば、その違反行為をした者に対し30日以内の期間を定めて違反行為の中止、標示等の除去や修正、今後の再発防止、その他是正に必要な事項を勧告するか是正を命ずることができる。
この場合、是正勧告又は公表の手続き及び方法等に関しては第3項を準用する。
⑤市・道知事又は市長・郡守・区庁長は、違反行為をした者が第4項に基づく是正勧告を履行しなかった場合には、特許庁長に対し第1項に基づく是正命令を下すよう求めることができる。
第9条中「是正勧告」を「是正勧告、是正命令」にする。
第9条の8を次のように新設する。
第9条の8(営業秘密毀損等の禁止)誰もが正当な権限なく又は許容された権限を越えて他人の営業秘密を毀損・滅失・変更してはならない。
第14条の2第6項中「3倍」を「5倍」にする。
第14条の4第1項第1号中「証拠に営業秘密が含まれていること」を「証拠又は第14条の7に基づき送付された調査記録に営業秘密が含まれていること」にする。
第14条の7を次のように改める。
第14条の7(記録の送付等)①裁判所は次の各号のいずれかに該当する訴訟が提起された場合として必要だと認める際には、特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長に対し第7条に基づく不正競争行為等の調査記録(事件関係者、参考人又は鑑定人に対する審問調書及び速記録、その他裁判上証拠になる一切の物を含む)の送付を求めることができる。この場合、調査記録の送付を求められた特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は正当な理由がなければ、これに従わなければならない。
1.第4条に基づく不正競争行為等の禁止又は予防請求の訴
2.第5条に基づく損害賠償請求の訴
②特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は、第1項に基づき裁判所に調査記録を送付する場合、調査記録に関する当事者(以下、「調査記録当事者」とする)の氏名、住所、電話番号(携帯電話番号を含む)、その他裁判所が第5項に基づく告知をする際に必要な情報を一緒に提供しなければならない。
③特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は、第1項に基づき裁判所に調査記録を送付した際には、調査記録当事者に対し裁判所からの要求により調査記録を送付した事実及び送付した調査記録の目録を通知しなければならない。
④調査記録当事者又はその代理人は、第1項に基づき送付された調査記録に営業秘密が含まれている場合には、裁判所に対し閲覧範囲又は閲覧できる者の指定を申請することができる。この場合、裁判所は記録送付要求の目的の範囲内で閲覧できる範囲又は閲覧できる者を指定することができる。
⑤裁判所は第4項に基づき調査記録当事者又はその代理人から第1項に基づき送付された調査記録に対する閲覧・コピーの申請を受けた場合には、特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長が第2項に基づき特定した調査記録当事者に対し相手側の当事者又はその代理人による閲覧・コピーの申請事実及び第4項に基づき閲覧範囲又は閲覧できる者の指定を申請することができる旨を告知しなければならない。この場合、裁判所は調査記録当事者が閲覧範囲又は閲覧できる者の指定を申請できる期間を定めることができる。
⑥裁判所は第5項後段の期間には第1項に基づき送付された調査記録を他の者が閲覧・コピーできるようにしてはならない。
⑦第5項に基づく告知を受けた調査記録当事者が同項後段の期間に第4項に基づく申請をしない場合、裁判所は第5項の本文に基づく相手側の当事者又はその代理人による閲覧・コピーの申請を認容することができる。
⑧第1項、第2項及び第4項から第7項までに基づく手続き、方法及びその他必要な事項は最高裁判所の規則で定める。
第15条第1項中「第18条第3項」を「第18条第4項」にし、同条第2項中「第3条から第6条まで及び第18条第3項と」を「第3条、第3条の2、第3条の3、第4条から第7条まで、第7条の2、第8条、第18条第4項及び第20条と」にする。
第18条第3項から第5項までをそれぞれ第4項から第6項までにし、同条に第3項を次のように新設する。
③不正な利益を得たか営業秘密保有者に損害を与える目的で第9条の8を違反して他人の営業秘密を毀損・滅失・変更した者が10年以下の懲役又は5億ウォン以下の罰金を科す。
第18条の5を次のように新設する。
第18条の5(没収)第18条第1項各号又は同条第4項各号のいずれかに該当する行為を造成した物件又はその行為により発生した物件は没収する。
第19条の本文中「第4項」を「第5項」に、「法人又は個人に対しても」を「法人に対しては該当の条文で定める罰金刑の3倍以下の罰金刑を、その個人に対しては」にする。
第19条の2を次のように新設する。
第19条の2(公訴時効に関する特例)第19条に基づく行為者が第18条第1項又は第2項の適用を受けた場合には、第19条に基づく法人に対する公訴時効は10年が経過すれば完成する。
第20条第1項に第1号の2を次のように新設する。
1の2.第8条第1項に基づく是正命令を正当な事由なしに履行しなかった者

附則

第1条(施行日)この法律は公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(損害賠償責任に関する適用例)第14条の2第6項の改正規定は、この法律施行以降発生する違反行為から適用される。
第3条(没収に関する適用例)第18条の5の改正規定は、この法律施行以降発生した犯罪行為から適用される。
第4条(公訴時効に関する経過措置)この法律施行の前に犯した罪に対しては第19条の2の改正規定にもかかわらず、従前の規定に従う。

改正理由及び主要内容

不正競争行為等、調査の当事者が特許庁長等に対し、不正競争行為の確認等を目的にする調査に関連する資料の閲覧及びコピーを要求できる根拠を設け、不正競争行為をした者に対する特許庁長からの是正命令制度を導入し、誰もが正当な権限なく又は許容された権限を越えて他人の営業秘密を毀損・滅失・変更することを禁じ、アイデア奪取及び営業秘密の侵害行為が故意的であると認められる場合に賦課する懲罰的損害賠償額の限度を損害額の3倍から5倍に引き上げ、営業秘密の侵害行為を造成した物件等に対する没収の根拠を設け、不正競争行為の犯罪や営業秘密侵害罪に関する法人の罰金刑の上限を行為者の3倍に引き上げ、営業秘密侵害罪に関する法人の公訴時効を10年に定める等、現行制度の運営上現れた一部の不備を改善・補完する目的である。
<法制処提供>

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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