知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【代案】不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2126378)

2024年01月24日

議案番号:2126378
提案日:2024年1月
提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

1.代案の提案経緯

議案名 議案番号 代表発議者 発議日 審査経過
不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案 2110114 ファン・ウンハ議員 2021.5.14 -第391回国会(常会)第1次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2021.9.7.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2115870 ジョン・テホ議員 2022.6.10 -第400回国会(常会)第1次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2022.9.1.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2118959 キム・ヨンミン議員 2022.12.15 -第403回国会(臨時会)第2次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.2.10.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2118983 キム・ヨンミン議員 2022.12.16 -第403回国会(臨時会)第2次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.2.10.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2120741 ヤン・グミ議員 2023.3.17 -第406回国会(臨時会)第1次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.5.11.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2122561 キム・ソンウォン議員 2023.6.9 -第410回国会(常会)第3次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.9.21.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2123352 キム・ソンウォン議員 2023.7.19 -第410回国会(常会)第3次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.9.21.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2124508 ハン・ムギョン議員 2023.9.15 -第410回国会(常会)第10次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.11.16.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
  1. 第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2023.11.29.)で上記8件の法律案を審査した結果、各法律案を本会議に付議することなく、各法律案の内容を統合・調整して当委員会の代案を作成することにした。
  2. 第410回国会(常会)第13次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.11.30.)で産業通商資源特許小委員会が審査報告したとおり、上記8件の法律案はそれぞれ本会議に付議しない代わりに産業通商資源特許小委員会が作成した委員会の代案を提案することを議決する。
  3. 2.代案の提案理由

    他人の有名商標を無断で使用する等の不正競争行為や営業秘密を侵害する行為は、企業と製品が長い間維持してきた競争力を一瞬で喪失させる結果をもたらしかねないため、犯罪に対する強力な抑制手段と同時に効果的な被害防止手段が必要である。
    しかし、現行法では技術及び営業秘密の不当な流用行為を防止するため、最大被害額の3倍以内で損害賠償責任を負う懲罰的損害賠償制度を導入しているが、大企業と紛争が発生した場合、長い訴訟期間と訴訟費用及び少ない損害賠償額等により会社の運営が難しくなる場合が多く、営業秘密を毀損・滅失・変更する行為に対する処罰が十分ではないのが現状である。
    また、現行法上、犯罪行為を行った法人と自然人に対する罰金刑の水準が同一であり、営業秘密侵害罪の場合、法人に対する公訴時効期間が個人行為者に比べて短いため組織的な犯罪行為を抑制することが難しいだけではなく、営業秘密侵害罪が認められたとしても侵害行為により発生した物件に対する没収規定が定められていないため、二次被害の防止にも限界があるとの指摘がある。
    したがって、中小企業・スタートアップの技術資料及び営業秘密に関して不当に流用行為を行った場合、被害額の5倍以内まで損害賠償責任を賦課して注意を喚起し、技術奪取行為に対する先制的抑止及び被害救済の実効性を確保し、営業秘密を毀損・滅失・変更する行為に対する刑事処罰を強化する目的である。
    加えて、不正競争行為犯罪や営業秘密侵害罪に対する法人の罰金刑を個人行為者に比べ3倍に引き上げ、営業秘密侵害罪に関する法人の公訴時効期間を個人行為者と同一に改め、組織的な犯罪行為を抑制する一方、営業秘密侵害行為により発生した物件に対する没収規定を定めることで二次被害を予防する目的である。
    その他不正競争行為を起こした者に対する特許庁長からの是正命令制度を導入し、行政調査資料の閲覧・コピーの要求及び裁判所へ行政調査記録の送付等、現行制度の運営上現れた一部の不備を改善・補完する目的である。

    3.代案の主要内容

    1. この法律の保護対象である「データ」の概念で「秘密として管理されていない」を「営業秘密を除外するものとして」に改める(案第2条第1号ル目)。
    2. 当事者が特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長に対し不正競争行為の確認を目的に行政調査に関連する資料(営業秘密及び非公開資料を除外する)の閲覧及びコピーを要求できる根拠を設ける(案第7条の2の新設)。
    3. 不正競争行為を行った者に対する特許庁長からの是正命令制度を導入し、これを履行しなかった場合には違反行為の内容等を公表でき、また、是正命令を履行しなかった場合には罰金を賦課する(案第8条第1項及び第20条第1項第1号の2の新設等)。
    4. 誰に対しても正当な権限なく又は許容された権限を越えて他人の営業秘密を毀損・滅失・変更することを禁じ、不正な利益を得たか営業秘密の保有者に損害を与える目的に第9条の8を違反して他人の営業秘密を毀損、滅失、変更した者は10年以下の懲役又は5億ウォン以下の罰金を科す(案第9条の8及び第18条第3項の新設)。
    5. アイデアの奪取及び営業秘密の侵害行為が故意によるものだと認められた場合に賦課する懲罰的損害賠償額の限度を現行の損害額の3倍から5倍に引き上げる(案第14条の2の第6項)。
    6. 不正競争行為等の禁止又は予防請求が提訴された場合、裁判所が特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長に対し行政調査記録の送付を求めることができ、送付された調査記録に含まれている営業秘密の情報を保護できるよう、閲覧範囲及び閲覧者の制限等の手続きを規定する(案第14条の7)。
    7. 営業秘密侵害行為又は不正競争行為を組成した物品等に対する没収の根拠を設ける(案第18条の5の新設)。
    8. 不正競争行為の犯罪や営業秘密侵害罪に対する法人の罰金刑の上限を個人行為者の3倍に引き上げる(案第19条)。
    9. 営業秘密侵害罪に対する法人の公訴時効期間を個人行為者と同一に10年にする(案第19条の2の新設)。
    10. 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案

      不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
      第2条第1号ル目中「データ(「データ」を「データ【「データ」に、「管理されており、秘密として管理されていない技術上又は営業上の情報をさす。以下同一である)」を「管理されている技術上又は営業上の情報(第2号に基づく営業秘密は除外する)をさす。以下同一である】」にする。 第7条の2を次のように新設する。
      第7条の2(資料閲覧の要求等)①第7条に基づく調査の両当事者又は代理人等大統領令で定める者は、特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長に対し第7条に基づく調査に関連する資料の閲覧又はコピーを求めることができる。この場合、特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は次の各号のいずれかに該当する資料を除外してはこれに従うべきである。
      1.第2条第2号に基づく営業秘密
      2.その他の法律に基づく非公開資料
      ②第1項に基づく閲覧又はコピーの手続き、方法及びその他必要な事項は大統領令で定める。
      第8条第1項を第4項にし、同条に第1項を次のように新設し、同条第2項中「特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長」を「特許庁長」に、「是正勧告」を「是正勧告か是正命令を」に、「是正勧告の事実」を「是正勧告か是正命令の事実」にし、同条第3項中「第2項」を「第1項に基づく是正勧告か是正命令及び第2項」にし、同条第4項(従前の第1項)中「特許庁長、市・道知事」を「市・道知事」に、「できる」と「でき、違反行為を行った者が是正勧告を履行しなかった場合には、違反行為の内容及び是正勧告の事実等を公表できる」にし、同項に後段を次のように新設し、同条に第5項を次のように新設する。
      ①特許庁長は、第2条第1号(チ目とワ目は除外する)の不正競争行為や第3条、第3条の2第1項又は第2項を違反した行為があったと認められれば、その違反行為を行った者に対し30日以内の期間を定めて違反行為の中止、標識等の除去や修正、今後の再発防止、その他是正に必要な事項を勧告するか是正を命令できる。
      この場合、是正勧告又は公表の手続き及び方法等に関しては第3項を準用する。
      ⑤市・道知事又は市長・郡守・区庁長は違反行為をした者が第4項に基づく是正勧告を履行しなかった場合には、第1項に基づく是正命令を下すよう求めることができる。
      第9条中「是正勧告」を「是正勧告、是正命令」にする。
      第9条の8を次のように新設する。
      第9条の8(営業秘密の毀損等の禁止)誰であっても正当な権限なく又は許容された権限を越えて他人の営業秘密を毀損・密室・変更してはならない。
      第14条の2第6項中「3倍」を「5倍」にする。
      第14条の4第1項第1号中「証拠に営業秘密が含まれているということ」を「証拠又は第14条の7に基づき送付された調査記録に営業秘密が含まれているということ」にする。
      第14条の7を次のようにする。
      第14条の7(記録の送付等)①裁判所は次の各号のいずれかに該当する訴訟が提起された場合として必要だと認める場合には、特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長に対し第7条に基づく不正競争行為等の調査記録(事件関係者、参考人又は鑑定人に対する審問調書及び速記録、その他裁判所上証拠となる一切のものを含む)の送付を求めることができる。この場合、調査記録の送付を求められた特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は正当な理由がなければこれに従わなければならない。
      1.第4条に基づく不正競争行為等の禁止又は予防請求の訴訟
      2.第5条に基づく損害賠償請求の訴訟
      ②特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は、第1項に基づき裁判所に調査記録を送付する場合、当該の調査記録に関する当事者(以下、「調査記録当事者」とする)の氏名、住所、電話番号(携帯電話番号を含む)、その他裁判所が第5項に基づく告知をする上で必要な情報を併せて提供すべきである。
      ③特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は、第1項に基づき裁判所に調査記録を送付した場合には、調査記録当事者に対し裁判所の要求により調査記録を送付した事実及び送付した調査記録の目録を通知すべきである。
      ④調査記録当事者又はその代理人は、第1項に基づき送付された調査記録に営業秘密が含まれている場合には、裁判所に閲覧範囲又は閲覧できる者の指定を申請できる。この場合、裁判所は記録送付の要求の目的内で閲覧できる範囲又は閲覧できる者を指定できる。
      ⑤裁判所は、第4項に基づき調査記録当事者又はその代理人が閲覧範囲又は閲覧できる者の指定を申請する前に、相手側の当事者又はその代理人から第1項に基づき送付された調査記録に対する閲覧・コピーの申請を受けた場合には、特許庁長、市・道知事又は・市長・郡守・区庁長が第2項に基づき特定した調査記録当事者に対し相手側の当事者又はその代理人による閲覧・コピーの申請の事実及び第4項に基づき閲覧範囲又は閲覧できる者の指定を申請できる旨を告知すべきである。この場合、裁判所は調査記録当事者が閲覧範囲又は閲覧できる者の指定を申請できる期間を定めることができる。
      ⑥裁判所は第5項の後段の期間には第1項に基づき送付された調査記録を他の者が閲覧・コピーできるようにしてはいけない。
      ⑦第5項に基づく告知を受けた調査記録当事者が同項後段の期間に第4項に基づく申請をしなかった場合、裁判所は第5項の本文に基づく相手側の当事者又はその代理人による閲覧・コピーの申請を認めることができる。
      ⑧第1項、第2項及び第4項から第7項までに基づく手続き、方法及びその他必要な事項は最高裁の規則で定める。
      第15条第2項中「第3条から第6条まで及び第18条第3項と」を「第3条、第3条の2、第3条の3、第4条から第7条まで、第7条の2、第8条、第18条第4項及び第20条と」にする。
      第18条第3項から第5項までをそれぞれ第4項から第6項までにし、同条に第3項を次のように新設する。
      ③不正な利益を得たか営業秘密の保有者に損害を与える目的で第9条の8を違反して他人の営業秘密を毀損・滅失・変更した者は10年以下の懲役又は5億ウォン以下の罰金に科す。
      第18条の5を次のように新設する。
      第18条の5(没収)第18条第1項各号又は第4項各号のいずれかに該当する行為を組成した物件又はその行為から発生した物件は没収する。
      第19条中「第4項」を「第5項」に、「法人又は個人に対しても」を「法人に対しては当該の条文で定められた罰金刑の3倍以下の罰金刑を、その個人に対しては」にする。
      第19条の2を次のように新設する。
      第19条の2(公訴時効に関する特例)第19条に基づく行為者が第18条第1項又は同条第2項の適用を受ける場合には第19条に基づく法人に対する公訴時効は10年が経過すれば完成する。
      第20条第1項に第1号の2を次のように新設する。
      1の2.第8条第1項に基づく是正命令を正当な事由なしに履行しなかった者

      附則

      第1条(施行日)この法律は公布後6か月が経過した日から施行する。
      第2条(損害賠償責任に関する適用例)第14条の2第6項の改正規定はこの法律の施行以降発生する違反行為から適用する。
      第3条(没収に関する適用例)第18条の5の改正規定はこの法律の施行以降発生した犯罪行為から適用する。
      第4条(公訴時効に関する経過措置)この法律の施行以前に犯した罪に対しては第19条の2の改正規定にもかかわらず、従前の規定に従う。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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