知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【代案】発明振興法の一部改正法律案(議案番号:2126229)

2024年01月08日

議案番号:2126229
提案日:2024年1月
提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

1.代案の提案経緯

議案名 議案番号 代表発議者 発議日 審査経過
発明振興法の一部改正法律案 2113081 カン・フンシク議員 2021.11.2 -第397回国会(臨時会)第5次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2022.5.19.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2113510 クォン・ミョンホ議員 2021.11.24 同上
同上 2121187 ハン・ムギョン議員 2023.4.6 -第408回国会(臨時会)第1次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.7.12.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 21242391 キム・ハンジョン議員 2023.5.31 -第410回国会(常会)第3次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.9.21.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員(2023.11.29.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2124284 イ・チョルギュ議員 2023.9.7 -第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2023.11.29.)に上程後、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
  1. 第410回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2023.11.29.)で上記5件の法律案を審査した結果、各法律案を本会議に付議することなく、各法律案の内容を統合・調整して当委員会の代案を作成することにした。
  2. 第410回国会(常会)第13次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.11.30.)で産業通商資源特許小委員会が審査報告したとおり、上記5件の法律案はそれぞれ本会議に付議しない代わりに産業通商資源特許小委員会が作成した委員会の代案を提案することを議決する。
  3. 2.代案の提案理由

    現在、特許庁は職務発明補償制度の活性化を図るため職務発明補償制度を優秀に運営する企業を優秀企業として認定し各種のインセンティブを提供しているが、認定の取消、認定の有効期限等、認定の法的効果や権利・義務と関連する事項が法律に明記されていない。
    一方、現行法上、使用者が従業者から職務発明についての権利を承継するためには職務発明の申告を受けた後、4か月以内に従業者に承継の有無を通知しなければならないが、承継の通知前まで不確定的な権利関係により従業者が第三者に職務発明についての権利を承継する二重譲渡の問題が発生しかねない。
    また、「特許法」、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」等知的財産に関する法律では関連する訴訟において当事者に判決に必要な証拠資料を提出するよう誘導する資料提出命令と守秘保持命令を定めている。
    一方、職務発明の補償金に訴訟で判決に必要な証拠資料の提出を誘導できる裁判所の資料提出命令や守秘保持命令の規定がないため、営業秘密等の理由で当事者が証拠資料を提出しなかった場合、合理的な補償金の算定が難しい恐れがある。
    したがって、職務発明の優秀企業認定制度の根拠を法律で明記することで優秀企業による認定制度の効率的な活用を促し、使用者と従業者が協議して職務発明に関する規定や契約を通じて承継の有無をあらかじめ決めた場合、職務発明についての権利を、使用者が発明を完成した際に安定的に承継できるよう改善する目的である。
    また、当事者に職務発明の補償金の判決に必要な証拠資料を提出するよう誘導する資料提出命令と守秘保持命令の規定を新設して合理的な補償金の算定が可能になる。
    一方、「産業財産情報の管理及び活用の促進に関する法律」の制定により「発明振興法」から「産業財産情報の管理及び活用の促進に関する法律」に移管される多数の関連条項を削除及び変更し、引用条文を見直す目的である。

    3.代案の主要内容

    1. 産業財産情報に関連する用語の定義と関連条項を削除及び変更する等条文を見直す【第2条第6号から第8号まで、第20条、第20条の2から第20条の5まで、第20条の8、第36条、第37条、第6章の3(第55条の5から第55条の7まで)削除等】。
    2. 職務発明補償の優秀企業の認定、認定の取消等、認定の根拠を具体的に定める(案第11条の2)。
    3. 使用者が従業者と協議して契約や勤務規定に基づき職務発明についての権利を承継するとあらかじめ決めた場合、職務発明についての権利は発明を完成した時から使用者に承継するよう定め、例外的に使用者が職務発明についての権利を承継しない場合、4か月以内に従業者に通知すべきである(案第13条)。
    4. 裁判所は職務発明の補償金に関する訴訟で当事者の申請によって相手側の当事者に補償額の算定に必要な資料の提出を命ずることができる(案第55条の8新設)。
    5. 職務発明の補償金に関する訴訟に裁判所の守秘保持命令制度を導入する(案第55条の9から第55条の11まで新設)。
    6. 国内外で正当な理由なく裁判所の守秘保持義務命令を違反した者は5年以下の懲役又は5,000万ウォン以下の罰金を科す(案第58条第1項新設)。
    7. 発明振興法の一部改正法律案

      発明振興法の一部を次のように改正する。
      第2条第6号から第8号までをそれぞれ削除し、同条第9号1目を次のようにする。
      イ.産業財産権に関する情報を収集・分析・加工・翻訳・流通又は管理するかこれに関わるソフトウェア又はシステムを開発するか構築する業
      第6条第4号中「活動に関する産業財産権の情報」を「活動関連情報」にする。
      第8条の2第2項第1号中「産業財産権の情報」を「発明活動関連情報」にする。
      第11条の2の題目中「優秀企業に対する支援」を「優秀企業の認定等」にし、同条第1項中「政府は」を「特許庁長は」に、「職務発明補償の優秀企業を選定し必要な支援ができる」を「職務発明補償制度を模範的に運営する企業を職務発明補償の優秀企業(以下、「優秀企業」とする)として認定できる」にし、同条第2項を第6項にし、同条に第2項から第5項までをそれぞれ次のように新設し、同条第6項(従前の第2項)を次のようにする。
      ②優秀企業の認定を希望する企業は特許庁長に申請すべきである。
      ③特許庁長は第2項に基づく認定申請を受けた場合には、認定を希望する企業に対し審査を行い、認定基準に適合すれば有効期限を定めて認定すべきである。
      ④特許庁長は認定を受けた優秀企業が次の各号のいずれかに該当する場合は、その認定を取り消すことができる。ただし、第1号に該当する場合には認定を取り消さなければならない。
      1.嘘やその他の不正な方法で認定を受けた場合
      2.第6項に基づく認定基準に適合していない場合
      ⑤国家及び地方自治団体は認定を受けた優秀企業に対し大統領令で定める規定に基づき行政的・財政的支援ができる。
      ⑥優秀企業の認定の基準、手続き、再認定、有効期限、その他認定に必要な事項は大統領令で定める。
      第13条の題目「(承継有無の通知)」を「(職務発明の権利承継)」にし、同条第1項及び第2項をそれぞれ次のようにし、同条第3項の前段中「第1項」を「第2項」にする。
      ①第12条に基づき通知を受けた使用者等が従業者等の職務発明についてあらかじめ特許等を取得できる権利や特許権等を承継するか専用実施権を設定する契約や勤務規定を定めた場合には、その権利は発明を完成した時から使用者等に承継される。ただし、使用者等が大統領令で定める期間にその発明についての権利を承継しないことを従業者等に通知する場合には該当しない。
      ②第1項に基づく契約又は勤務規定のいずれかに対しても該当しない使用者等(国家や地方自治団体は除外する)が第12条に基づき通知を受けた場合には、大統領令で定める期間にその発明についての権利の承継の有無を従業者等に対し書面で通知すべきである。この場合、使用者等は従業者等の意思と異なってその発明についての権利の承継を主張できない。
      第18条第1項第3号中「第13条第1項」を「第13条第2項」にする。
      第2条第3節の題目「産業財産権情報の提供及び活用の促進」を「発明振興の基盤づくり」にする。
      第20条、第20条の2から第20条の5まで、第20条の8、第36条及び第37条をそれぞれ削除する。
      第50条の3第4項を次のようにする。
      ④海外産業財産権センターは第2項に基づく業務を行うために必要な範囲で収益事業を行うことができる。
      第55条第3項第8号中「産業財産権情報の」を「産業財産権の」にする。
      第6章の3(第55条の5から第55条の7まで)を削除する。
      第7章に第55条の8から第55条の11までをそれぞれ次のように新設する。
      第55条の8(資料の提出)①裁判所は職務発明の補償金に関する訴訟で当事者の申請により相手側の当事者に当該の職務発明の補償額の算定に必要な資料の提出を命ずることができる。ただし、その資料の所持者がその資料の提出を拒絶する正当な理由があれば該当しない。
      ②裁判所は資料の所持者が第1項に基づく提出を拒否する正当な理由があると主張する場合には、その主張の当否を判断するために資料の提示を命ずることができる。この場合、裁判所はその資料を他人に見せてはいけない。
      ③第1項に基づき提出されるべきである資料が営業秘密(「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号に基づく営業秘密である。以下、同一である)に該当するが、職務発明の補償額の算定に必ず必要な際には第1項のただし書に基づく正当な理由として認めない。この場合、裁判所は提出命令の目的の下で閲覧できる範囲又は閲覧できる者を指定しなければならない。
      ④当事者が正当な理由なしに資料提出命令に従わない場合には、裁判所は資料の記載に関する相手側の主張を真実として認めることができる。
      ⑤第4項に該当する場合、資料の提出を申請した当事者が資料の記載に関して具体的に主張するには非常に困難な問題を抱えており、資料で証明する事実を他の証拠を用いて証明することも難しい場合には、裁判所はその当事者が資料の記載により証明しようとする事実に関する主張を真実であると認めることができる。
      第55条の9(守秘保持命令)①裁判所は職務発明の補償金に関する訴訟でその当事者が保有する営業秘密について次の各号の理由を全て疎明した場合には、その当事者の申請による決定で他の当事者(法人の場合はその代表者)、当事者のために訴訟を代理する者、その他にその訴訟によって営業秘密を知った者に対し、その営業秘密をその訴訟の継続的な遂行外の目的で使用するかその営業秘密に関係する項に基づく命令を受けた者以外の者に開示しないことを命ずることができる。ただし、その申請の時点まで他の当事者(法人の場合はその代表者)、当事者のために訴訟を代理する者、その他にその訴訟により営業秘密を知った者が第1号で定める準備書面の閲覧や証拠調査以外の方法でその営業秘密をすでに取得している場合には該当しない。
      1.すでに提出したか提出すべきである準備書面、すでに調査したか調査すべきである証拠又は第55条の8第2項に基づき提出したか提出すべきである資料に営業秘密が含まれていること
      2.第1号の営業秘密が当該の訴訟を行う以外の目的として使用されたか開示されれば、当事者の営業に支障をきたす恐れがあるため、これを防止するために営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること
      ②第1項に基づく命令(以下、「守秘保持命令」をする)の申請は次の各号の事項を記載した書面で下すべきである。
      1.守秘保持命令を受けた者
      2.守秘保持命令の対象となる営業秘密を特定するに十分な事実
      3.第1項の各号の理由に該当する事実
      ③裁判所は守秘保持命令が決定された場合には守秘保持命令を受けた者にその決定書を送達すべきである。
      ④守秘保持命令は第3項の決定書が守秘保持命令を受けた者に送達された時から効力が発生する。
      ⑤守秘保持命令の申請を棄却したか却下した裁判に対しては即時抗告できる。
      第55条の10(守秘保持命令の取消)①守秘保持命令を申請した者又は守秘保持命令を受けた者は第55条の9第1項に基づく要件に満たないか満たなくなった場合、訴訟記録を保管している裁判所(訴訟記録を保管している裁判所がない場合には守秘保持命令を下した裁判所)に対し守秘保持命令の取り消しを申請できる。
      ②裁判所は守秘保持命令の取消申請に関する裁判がある場合には、その決定書をその申請をした者及び相手側に送達すべきである。
      ③守秘保持命令の取消申請に関する裁判に対しては即時抗告できる。
      ④守秘保持命令を取り消す裁判は確定してから効力が発生する。
      ⑤守秘保持命令を取り消す裁判を行った裁判所は守秘保持命令の取消申請をした者又は相手側以外に当該の営業秘密に関する守秘保持命令を受けた者がいる場合には、その者に対し即時守秘保持命令の取消裁判を行った事実を通知すべきである。
      第55条の11(訴訟記録の閲覧等の請求通知等)①守秘保持命令が下された訴訟(全ての守秘保持命令が取り消された訴訟は除外する)に関する訴訟記録に対して「民事訴訟法」第163条第1項による決定があった場合、当事者が同項で定める守秘事項の記載部分の閲覧等の請求をしたが、その請求手続きを当該の訴訟で守秘保持命令を受けていない者が行った場合には、法院書記官、法院事務官、法院主事又は法院主事補(以下、同条で「法院事務官等」とする)は「民事訴訟法」第163条第1項の申請をした当事者(その閲覧等の請求をした者は除外する。以下、第3項で同一である)に対しその請求直後にその閲覧等の請求があったとの事実を通知すべきである。
      ②第1項の場合に法院事務官等は第1項の請求があった日から2週間が経過するまで(その請求手続きを行った者に対する守秘保持命令の申請がその期間内に行われた場合には、その申請に対する裁判が確定する時点まで)その請求手続きを行った者に対し第1項の守秘事項の記載部分の閲覧等を認めてはならない。
      ③第2項は第1項の閲覧等の請求をした者に対し第1項の守秘事項の記載部分の閲覧等を認めることについて「民事訴訟法」第163条第1項の申請をした全ての当事者が同意した場合には適用されない。
      第56条第2項中「情報院、協会」を「協会」に、「戦略院、発明機関」を「発明機関」にする。
      第57条に第2号を次のように新設し、同条第5号を削除する。
      2.第11条の2第4項に基づく認定取消
      第57条の2第5号及び第6号をそれぞれ削除する。
      第58条第1項から第3項までをそれぞれ第2項から第4項までにし、同条に第1項を次のように新設し、同条第4項(従前の第3項)の中「第1項の罪は使用者等」を「第1項及び第2項の罪は守秘保持命令を申請した者及び使用者等」にする。
      ①国内外で正当な理由なしに第55条の9第1項に基づく守秘保持命令を違反した者は5年以下の懲役又は5,000万ウォン以下の罰金を科す。
      第58条の2の本文中「第58条第2項」を「第58条第3項」にする。
      第59条第1項及び第2項中「情報院、評価管理センター、事業化支援センター、韓国発明振興会、保護院及び戦略院」をそれぞれ「評価管理センター、事業化支援センター、韓国発明振興会及び保護院」にする。
      第60条第1項第3号及び第7号をそれぞれ削除する。

      附則

      第1条(施行日)この法律は公布後6か月が経過した日から施行する。
      第2条(職務発明の権利承継に関する適用例)第13条の改正規定はこの法律の施行以降、職務発明した場合から適用する。
      第3条(職務発明の補償金に関する訴訟での資料提出命令に関する適用例)第55条の8の改正規定は、この法律の施行以降、提起された職務発明の補償金に関する訴訟から適用する。
      第4条(職務発明の補償金に関する訴訟での資料提出命令に関する適用例)第55条の9から第55条の11までの改正規定は、この法律の施行以降、提起された職務発明の補償金に関する訴訟から適用する。
      第5条(職務発明の優秀企業認定に関する経過措置)この法律の施行当時、職務発明の優秀企業認定を受けた企業は第11条の2の改正規定により優秀企業の認定を受けたものとみなす。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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