知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【代案】商標法の一部改正法律案(議案番号:2124453)

2023年09月14日

議案番号:2124453
提案日:2023年9月
提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

代案提案の経緯
議案名 議案番号 代表発議 発議日 審査の経過
商標法の一部改正法律案 2116859 イ・チョルギュ議員 2022.8.16 -第400回国会(常会)第10次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2022.11.21.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第406回国会(臨時会)第2次産業通商資源特許小委員会(2023.5.24.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2120764 ク・ジャグン議員 2023.3.20 -第406回国会(臨時会)第1次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.5.11.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第406回国会(臨時会)第1次産業通商資源特許小委員会(2023.5.17.)に上程
-第406回国会(臨時会)第2次産業通商資源特許小委員会(2023.5.24.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
  1. 第406回国会(臨時会)第2次産業通商資源特許小委員会(2023.5.24.)で上記2件の法律案を審査した結果、それぞれの法律案を本会議に付議しないことにし、各法律案の内容を統合・調整して当委員会の代案を作成することにする。
  2. 第407回国会(臨時会)閉会中、第2次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.7.5.)で産業通商資源特許小委員会が審査報告したとおり、2件の法律案はそれぞれ本会議に付議しない代わりに産業通商資源特許小委員会が作成した委員会の代案を提案することを議決した。

代案提案の理由

現行法上、他人の先登録商標と同一・類似の商標は商標登録が受けられないが、他人の先願(先登録)商標と同一・類似であるとの理由により商標登録が拒絶される事例が多く、商標登録拒絶対象である同一・類似の商標が実際の取引市場で共存しているものの、譲渡方式等を通じて商標登録を受けるという不便がある。
また、国内登録商標の指定商品が国際登録商標の指定商品にすべて含まれている場合のみ国際登録による国内登録の代替を認めているが、マドリッド議定書の規則では、最近、指定商品の一部のみを含んでいる場合も国際商標登録出願の国内登録商標として代替を認める内容に改正され、2021年11月から施行している。
一方、存続期間の更新申請後、新しい存続期間が始まる前に商標権が消滅又は放棄された場合、既に支払い済みの商標登録料が返還されないという問題がある。
そのため、出願商標が他人の先登録商標と同一・類似のため商標登録の拒絶理由があるとしても、先登録商標の商標権者が出願商標の商標登録に同意をすれば、商標登録が受けられるようにしようとするものである。
さらに、国際規則の改正を受けて国際商標登録出願の部分代替を認める内容を反映し、納付された商標登録料の返還事由を拡大しようとするものである。
そして、「特許法」及び「デザイン保護法」等の他の知的財産権法律とは異なり、「商標法」は、商標権者が相続人なくして死亡した場合の商標権消滅に関する事項を規定していないことから、それに対する権利関係を明確にし、商標の使用による識別力認定対象を拡大する等、現行制度の運営上現れた一部の不備を改善・補完することで、商標管理の利便性を高め、権利保護を強化しようとする。

代案の主要内容

  1. 使用による識別力認定対象に第33条第1項第7号に該当する商標(「その他識別力のない商標」)を含める(案第33条第2項)。
  2. 商標登録要件の判断時期に関する規定のうち解釈が不明確な部分を明確にする(案第34条第2項及び第3項)。
  3. 先登録商標の商標権者が出願商標の商標登録に同意をすれば商標登録が受けられるようにする(案第34条第1項第7号ただし書及び第35条第6項新設)。
  4. 変更出願の基礎となる商標登録出願等に条約に基づく優先権主張や出願時の特例趣旨及びその証明書類の提出がある場合は、変更出願に対してもその主張及び書類の提出があるものとみなす(案第44条第5項から第7項まで新設等)。
  5. 審査官の職権補正が要旨変更に当たるか、明らかに間違っていない事項を職権により補正した場合、当該職権補正はなかったものとみなす(案第59条第5項新設)。
  6. 商標登録料の返還対象に「存続期間更新の効力発生日前に商標権が消滅又は放棄された場合」等を追加しようとするものである(案第79条第1項第8号及び第9号新設)。
  7. 存続期間更新申請に関する記載事項等の要件を商標権と関連する事項に見直す(案第84条)。
  8. 商標権の相続が開示された時、相続人がいない場合、当該商標権は消滅するようにする(案第106条第2項新設)。
  9. 先願(先登録)商標権者の同意により登録された商標が不正競争の目的として使用される場合、商標登録の取消事由として規定し、取消審判の除斥期間を規定する(案第119条第1項第5号の2新設及び案第122条第2項)。
  10. 国際商標登録出願の代替要件において、国内登録商標の指定商品全部を含んでいるときのみを認めていたものを、指定商品の一部のみを含んでいる場合も認める部分代替を導入する(第183条第1項第3号削除)。
  11. 国際商標登録出願及び国際登録基礎商標権の分割を許容する(案第187条及び第200条)。
  12. 国際商標登録出願に対する登録可否決定を国際事務局から出願人に通知するようにする(案第193条の3新設及び第220条)。
  13. 商標法の一部改正法律案

    商標法の一部を次のように改正する。
    第33条第2項中「第6号まで」を「第7号まで」とする。
    第34条第1項第7号中「使用する商標」を「使用する商標。」に改め、同号にただし書を次のように新設し、同条第2項各号以外の部分本文中「第1項及び商標登録出願人(以下「出願人」という。)が当該規定の他人に該当するかは」を「第1項は」とし、同項各号以外の部分ただし書中「して」を「して決める一方、商法登録出願人(以下「出願人」という。)が第1項の他人に該当するかは商標登録可否決定をする時を基準にして」に改め、同条第3項各号以外の部分中「第3号まで及び第5号から」を「第3号まで、第5号、第5号の2及び第6号から」に、「その該当するようになった日から3年が経った後に出願しなければ商標登録が受けられない」を「その請求日から次の各号のいずれかに該当するようになった日以降3年が経つ前に出願すれば、商標登録が受けられない」に改める。
    ただし、その他人から商標登録に対する同意を得た場合(同一の商標としてその指定商品と同一の商品に使用する商標に対して同意を得た場合は除く。)は、商標登録が受けられる。
    第35条に第6項を次のように新設する。
    ⑥第1項及び第2項にもかかわらず、先に出願した者又は協議・抽選により決まるか決まった出願人から商標登録に対する同意を得た場合(同一の商標として、その指定商品と同一の商品に使用する商標に対して同意を得た場合は除く。)は、後に出願した者又は協議・抽選により決まるか決まった出願人でない出願人も商標登録を受けることができる。
    第44条第3項ただし書を次のようにし、同条第5項を第8項とし、同条に第5項から第7項までをそれぞれ次のように新設する。
    ただし、第46条第3項・第4項又は第47条第2項を適用するときは、変更出願をした時を基準とする。
    ⑤変更出願の基礎となった出願が第46条に基づいて優先権を主張した出願の場合は、第1項及び第2項により、変更出願をした時にその変更出願に優先権を主張したものとみなし、変更出願の基礎となった出願に対して第46条に基づいて提出された書類又は書面がある場合は、その変更出願に当該書類又は書面が提出されたものとみなす。
    ⑥第5項により第46条に基づく優先権主張をしたものとみなす変更出願に対しては、変更出願をした日から30日以内にその優先権主張の全部又は一部を取り下げることができる。
    ⑦第47条に基づく出願時の特例に関しては、第5項及び第6項を準用する。
    第45条第2項ただし書を次のように改める。
    ただし、第46条第3項・第4項又は第47条第2項を適用するときは、分割出願をした時を基準とする。
    第59条第1項に後段を次のように新設し、同条に第5項を次のように新設する。
    この場合、職権補正は、第40条第2項による範囲内でしなければならない。
    ⑤職権補正が第40条第2項による範囲を超えるか、明らかに間違っていない事項を職権により補正した場合、その職権補正は最初からなかったものとみなす。
    第79条第1項に第8号及び第9号をそれぞれ次のように新設する。
    8.第84条第2項本文により存続期間満了前に存続期間更新登録申請をしたが、存続期間更新登録の効力発生日前に商標権の全部又は一部が消滅又は放棄された場合:既に支払い済みの商標登録料からその消滅又は放棄された商標権を除いて算定した商標登録料を引いた金額
    9.第72条第1項後段に基づき商標登録料を分割納付した場合として、2回目の商標登録料を納付したが、商標権の設定登録日又は存続期間更新登録日から5年になる前に商標権の全部又は一部が消滅又は放棄された場合:既に支払い済みの2回目の商標登録料からその消滅又は放棄された商標権を除いて算定した2回目の商標登録料を引いた金額
    第84条第1項各号以外の部分中「者は」を「商標権者(商標権が共有である場合、各共有者も商標権者とみなす。以下この条において同じ。)は」に改め、同項第1号を次のようにし、同項第2号を第3号とし、同項に第2号及び第4号をそれぞれ次のように新設し、同条第2項ただし書中「者は」を「商標権者は」に改める。
    1.商標権者の氏名及び住所(法人である場合は、その名称及び営業所の所在地をいう。)
    2.代理人がいる場合は、その代理人の氏名及び住所や営業所の所在地[代理人が特許法人・特許法人(有限)である場合は、その名称、事務所の所在地及び指定された弁理士の氏名をいう。]
    4.指定商品及び商品類
    第106条第2項を第3項とし、同条に第2項を次のように新設する。
    ②商標権の相続が開示された時、相続人がいない場合は、その商標権は消滅する。
    第119条第1項に第5号の2を次のように新設する。
    5の2.第34条第1項第7号ただし書又は第35条第6項に基づいて登録された商標の権利者又はその商標登録に対する同意をした者のうち1人が自己の登録商標の指定商品と同一・類似の商品に不正競争を目的として自己の登録商標を使用することにより、需要者に商品の品質を誤認させ、又は他人の業務と関連する商品と混同を生じさせた場合
    第122条第2項中「第119条第1項第1号・第2号・第5号」を「第119条第1項第1号・第2号・第5号・第5号の2」とする。
    第183条第1項第3号を削除する。
    第186条中「第4項まで」を「第7項まで」とする。
    第187条中「第45条を」を「第45条第4項を」とする。
    第193条の3を次のように新設する。
    第193条の3(商標登録可否決定の方式に関する特例)国際商標登録出願に対し第69条第2項を適用する場合、「商標登録可否決定」は「商標登録可否決定(第54条各号以外の本文後段に該当する場合は除く。)」と、「出願人に」は「国際事務局を通じて出願人に」とみなす。
    第200条を削除する。
    第220条第1項ただし書中「審査官が第190条により国際事務局を通じて国際商標登録出願人に拒絶理由を通知する」を「次の各号の」に改め、同項に各号を次のように新設し、同条第3項中「第2項」を「第1項第2号により商標登録可否決定の謄本を国際事務局に発送したか第2項」に改める。
    1.審査官が第190条により国際事務局を通じて国際商標登録出願人に拒絶理由を通知する場合
    2.審査官が第193条の3により国際事務局を通じて国際商標登録出願人に商標登録可否決定の謄本を通知する場合

    附則

    第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
    第2条(商標登録が受けられない商標の例外に関する適用例)第34条第1項第7号ただし書及び第35条第6項の改正規定は、この法律の施行前に出願された商標登録出願、変更出願、分割出願及び指定商品追加登録出願としてこの法律の施行後に商標登録可否決定をする場合にも適用する。
    第3条(商標登録が受けられない商標に関する適用例)第34条第3項の改正規定は、この法律の施行前に出願された商標登録出願としてこの法律の施行後に商標登録可否決定をする場合にも適用する。
    第4条(出願の変更に関する適用例)第44条第5項から第7項までの改正規定は、この法律の施行後に出願した変更出願から適用する。
    第5条(職権補正に関する適用例)第59条第5項の改正規定は、この法律の施行後に出願公告された商標登録出願及び指定商品追加登録出願から適用する。
    第6条(商標登録料の返還に関する適用例)第79条第1項第8号及び第9号の改正規定は、この法律の施行後に商標権の全部又は一部が消滅又は放棄された場合から適用する。
    第7条(商標登録可否決定の方式に関する特例等の適用例)第193条の3及び第220条の改正規定は、この法律の施行後に商標登録可否決定をする国際商標登録出願から適用する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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