知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2122331)

2023年05月26日

議案番号:2122331
提案日:2023年5月26日
提案者:パク・ビョンソク議員(共に民主党)外12人

提案理由

世界主要国による技術・経済覇権争いが激しくなっている中、国益と安全保障に向けた自国企業に対する外国人投資への規制が速やかに新設されている。
このような自国の主要産業技術保有企業に対する外国人投資への規制のほかに、当該技術を有している企業のコア人材に対する海外流出防止策づくりも国・経済の安全保障上中心政策課題の一つである。
しかし、現行法には、国家コア技術の流出を防止するために当該技術を保有・管理する機関の長に国家コア技術を扱う専門人材の転職管理及び秘密保持等に関する契約を締結させること以外の適当な流出防止策が設けられていないことから、国家コア技術保有機関におけるコア人材の海外流出が懸念されている。
そのため、国家コア技術を扱う専門人材に対しては、国の管理と支援制度を導入することで、優れた技術人材に対する国の保護を強化しようとするものである。
また、産業技術及び国家コア技術を流出させる目的に紹介・斡旋・誘引するいわゆるブローカー行為を侵害行為の一つとして追加するとともに、海外技術流出犯罪の成立を「目的犯」から「故意犯」に変更して処罰規定を強化し、実効性を高めようとするものである。

主要内容

  1. 産業技術保護委員会の審議事項に国家コア技術関連専門人材等の指定に関する事項を追加する(案第7条第4号の2新設)。
  2. 国家コア技術を保有・管理している対象機関の長が産業通商資源部長官に国家コア技術を扱う補職と専門人材の指定を要請できるようにする(案第10条第2項新設)。
  3. 政府は、指定された専門人材の長期勤続と経歴開発、国内活用等を促すための支援策を設けなければならず、それに必要な費用を支援できる(案第10条第3項新設)。
  4. 専門人材の指定を受けた国家コア技術を保有・管理している対象機関の長は、専門人材に対し、海外同種同業への転職制限及びその期間等が含まれた契約を締結できるようにする(案第10条第4項新設)。
  5. 国家コア技術を保有・管理している対象機関の長は、当該専門人材の同意等がある場合は、産業通商資源部長官に当該専門人材の出入国情報の提供を申請でき、産業通商資源部長官は、法務部長官に当該専門人材の出入国情報の提供を要請してそれを当該機関に提供できるようにする(案第10条第5項及び第6項新設)。
  6. 産業技術及び国家コア技術を流出又は侵害するための目的として紹介や斡旋、誘引する行為を侵害行為とみなして処罰する(案第14条第9号新設)。
  7. 目的犯と規定されている産業技術及び国家コア技術の流出犯罪を、その水準を強化し、故意犯の処罰規定に変更する(案第36条第1項及び第2項)。

産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部改正法律案

産業技術の流出防止及び保護に関する法律の一部を次のように改正する。
第7条第1項に第4号の2を次のように新設する。
4の2.第10条による国家コア技術関連専門人材等の指定に関する事項
第10条第2項を次のように改め、同条第3項を第7項とし、同条に第3項から第6項まで及び第8項をそれぞれ次のように新設する。
②国家コア技術を保有・管理している対象機関の長は、産業通商資源部長官に国家コア技術を扱う補職と専門人材(以下「専門人材等」という。)の指定を要請できる。この場合、産業通商資源部長官は、委員会の審議を経て専門人材等を指定できる。
③政府は、第2項により指定された専門人材等の長期勤続と経歴開発、国内活用等を促すための支援策を設けなければならず、それに必要な費用の一部を支援できる。
④第2項により専門人材等の指定を受けた国家コア技術を保有・管理している対象機関の長は、専門人材等に対し、次の各号の事項が含まれた契約を締結できる。
1.海外同種同業への転職制限及びその期間
2.国家コア技術関連秘密流出の防止
3.退職後再就職の情報提供等、その他大統領令で定める事項
⑤第2項により専門人材等の指定を受けた国家コア技術を保有・管理している対象機関の長は、次の各号のいずれかに該当する場合、産業通商資源部長官に当該専門人材の出入国情報の提供を申請できる。
1.国家コア技術専門人材の同意がある場合
2.国家コア技術の海外流出が深刻に懸念される場合
3.その他、国家コア技術の海外流出を防止するために大統領令で定められている場合
⑥産業通商資源部長官は、第5項に基づく申請をした者に提供するために、法務部長官に当該専門人材の出入国情報の提供を要請できる。この場合、法務部長官は、特別な理由がなければ当該情報を提供しなければならない。
⑧第2項による専門人材等の指定手続、第4項による契約等に関して必要な事項は、大統領令で定める。
第14条に第9号を次のように新設する。
9.第1号から第3号まで、第5号、第6号、第6号の2又は第6号の3に該当する行為を紹介・斡旋するか誘引する行為
第36条第1項前段中「使用させる目的で」を「使用されることを知っていながらも」に改め、同条第2項中「使用させる目的で」を「使用されることを知っていながらも」とする。

附則

この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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