知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【代案提出】デザイン保護法の一部改正法律案(議案番号:2122087)

2023年05月17日

議案番号:2122087
提案日:2023年5月
提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

代案提案の経緯

代案提案の経緯 議案番号 議案番号 発議日 発議日
デザイン保護法の一部改正法律案 2118831 ハン・ムギョン議員 2022.12.9 -第403回国会(臨時会)第2次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.2.10.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第403回国会(臨時会)第1次産業通商資源特許小委員会(2023.2.20.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2118974 キム・フェジェ議員 2022.12.16 同上
  1. 第403回国会(臨時会)第1次産業通商資源特許小委員会(2023.2.20.)で上記2件の法律案を審査した結果、それぞれの法律案を本会議に付議しないことにし、各法律案の内容を統合・調整して当委員会の代案を作成することにする。
  2. 第403回国会(臨時会)第4次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2023.2.21.)で産業通商資源特許小委員会が審査報告したとおり、2件の法律案はそれぞれ本会議に付議しない代わりに産業通商資源特許小委員会が作成した委員会の代案を提案することを議決する。

代案提案の理由

企業は、製品の発売後、デザインを一部改良又は変形させて後続製品を開発・販売しているが、関連デザインでデザイン登録出願ができる期間が基本デザインのデザイン登録出願日から1年以内に制限されており、デザイン登録による後続デザインの保護に限界がある。
また、デザイン出願の優先権を主張するための方法や手続き等が主要国に比べ制限されているため、デザイン権者の権利保護に困難があり、出願したデザインに対する新規性喪失の例外を主張できる場合が限定的に規定されていることから、権利範囲確認審判や侵害・無効訴訟等の紛争において権利者にとって不利に作用している。
そのため、関連デザイン登録出願期間を3年以内に拡大することで、企業のデザイン経営を後押しし、競争力のあるデザインの保護を強化するとともに、デザイン出願の優先権を主張するための要件を国際規範に合致させ、新規性喪失の例外を主張できる手続的制限をなくす一方、現行制度の運営上表れた一部の不備を改善・補完することにより、デザイン権者への権利保護を強化しようとするものである。

代案の主要内容

  1. 関連デザインのデザイン登録出願期間を基本デザインのデザイン登録出願日から1年以内から3年以内に拡大し、関連デザインの登録要件を明確に規定する(案第35条)。
  2. デザイン登録の要件と関連し、新規性喪失の例外に対する主張及び書類提出の時期を規定している手続的条項を削除する(第36条第2項削除)。
  3. 共同創作者のほかにデザイン登録が受けられる権利を共有するようになった承継人も共同でデザイン登録出願ができるよう、関連条文を整備する(案第39条)。
  4. 条約によるデザイン登録出願と関連し、優先権を主張した者が正当な理由により期間内に書類又は書面を提出できない場合、その提出期間を2か月延長する(案第51条第5項新設)。
  5. 優先権を主張した者は、デザイン登録出願日から3か月以内に当該優先権主張の補正又は追加をすることができる(案第51条の2新設)。
  6. 優先権を主張しようとする者が正当な理由により期間内に優先権を主張できない場合、その期間を追加で2か月付与する(案第51条の3新設)。
  7. 職権補正の範囲を超えるか、明らかに間違っていない事項を職権補正した場合に対する無効みなし規定を新設する(案第66条第6項)。

デザイン保護法の一部改正法律案

デザイン保護法の一部を次のように改正する。
第35条第1項中「1年」を「3年」に改め、同項にただし書を次のように新設し、同条に第4項を次のように新設する。
ただし、当該関連デザインのデザイン権を設定登録する時に基本デザインのデザイン権が設定登録されていないか、基本デザインのデザイン権が取り消し、放棄又は無効審決等により消滅している場合は、この限りでない。
④第1項により基本デザインにのみ類似している2以上の関連デザイン登録出願がある場合に、これらのデザインの間には第33条第1項各号及び第46条第1項・第2項の規定は適用しない。
第36条第2項を削除する。
第39条中「第3条第2項によるデザイン登録」を「デザイン登録」に改める。
第48条第4項第1号中「デザイン登録可否決定」を「第62条によるデザイン登録拒絶決定又は第65条によるデザイン登録決定(以下『デザイン登録可否決定』という。)」に改める。
第50条第2項ただし書中「第36条第2項第1号又は第51条第3項」を「第51条第3項」に改め、同条第4項中「第51条」をそれぞれ「第51条、第51条の2又は第51条の3」とし、同条第5項中「第51条」を「第51条、第51条の2又は第51条の3」に改める。
第51条第5項を第6項とし、同条に第5項を次のように新設し、同条第6項(従前の第5項)中「第4項の期間内に同項に規定されている書類を」を「第4項又は第5項の期間内に第4項に規定されている書類又は書面を」に改める。
⑤第3項に基づき優先権を主張した者が正当な理由により第4項の期間内に同項による書類又は書面を提出できなかった場合は、その期間の満了日から2か月以内に同項による書類又は書面を特許庁長に提出できる。
第51条の2及び第51条の3をそれぞれ次のように新設する。
第51条の2(優先権主張の補正及び追加)①第51条第1項から第3項までに基づき優先権を主張した者は、デザイン登録出願日から3か月以内に当該優先権主張を補正するか追加することができる。
②第1項に基づき優先権主張を補正するか追加した者に対しては、第51条第4項から第6項までを適用する。
第51条の3(優先権主張期間の延長)①第51条第1項に基づき優先権を主張しようとする者が正当な理由により同条第2項の期間を守れなかった場合にその期間の満了日から2か月以内にデザイン登録出願をしたときは、そのデザイン登録出願に対し優先権を主張できる。
②第1項に基づき優先権を主張した者に対しては、第51条第3項から第6項までを準用する。
第62条第3項第6号中「1年」を「3年」に改める。
第66条第1項に後段を次のように新設し、同条に第6項を次のように新設する。
この場合、職権補正は、第48条第1項による範囲内でしなければならない。
⑥職権補正が第48条第1項による範囲を超えるか、明らかに間違っていない事項を職権補正した場合、その職権補正は最初からなかったものとみなす。
第68条第1項第2号中「第35条第2項・第3項」を「第35条」に改める。
第121条第1項第2号中「第35条第2項・第3項」を「第35条」に改める。
第186条第3項中「『第62条によるデザイン登録拒絶決定』」を「同項第1号中『第62条によるデザイン登録拒絶決定又は第65条によるデザイン登録決定(以下「デザイン登録可否決定」という。)』」に、「第62条によるデザイン登録拒絶決定」を「デザイン登録可否決定」に改める。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(関連デザイン等に関する適用例)第35条第1項本文及び第62条第3項の改正規定は、この法律の施行後に関連デザインとして出願したデザイン登録出願から適用する一方、この法律の施行当時に従前の規定により関連デザインとしてデザイン登録が受けられる期間が既に経過した場合は、同じ改正規定にもかかわらず、従前の規定に従う。
第3条(新規性喪失の例外等に関する適用例)第36条及び第50条第2項の改正規定は、この法律の施行後に出願したデザイン登録出願から適用する。
第4条(条約による優先権主張等に関する適用例)第50条第4項・第5項、第51条第5項・第6項、第51条の2及び第51条の3の改正規定は、この法律の施行後に出願したデザイン登録出願から適用する。
第5条(職権補正等に関する適用例)第66条第1項及び第6項の改正規定は、この法律の施行後に審査官がした職権補正から適用する。

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