知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】弁理士法の一部改正法律案(議案番号:2121387)

2023年04月14日

議案番号:2121387
提案日:2023年4月14日
提案者:チョ・ジョンフン(時代転換)議員外9人

提案理由

現在、この法によると、特許庁は弁理士会と弁理士に対する管理・監督の権限があり、「政府組織法」により特許・実用新案・デザイン及び商標に関する事務とそれに対する審査・審判の事務を司っている。これと共に、弁理士は特許庁又は裁判所に対して特許、実用新案、デザイン又は商標に関する事項を代理することを業としている。
これに基づき、特許庁は特許登録出願の審査及び関連審判業務(審判・特許法院の事件において特許庁長が被告、弁理士が原告の代理人となる)を担当しており、弁理士はこれとは逆に特許出願人又は特許権者を代理して特許登録を支持する業務を担当している。
したがって、特許庁と弁理士会及び弁理士は、同等な地位ではなく、特許庁が優越な地位にあることになるため、弁理士会や弁理士は特許庁の事業、特許行政、特許庁退職者の民間業者への就職による問題等、懸案に異議があっても独立的な意思を特許庁に積極的に伝えにくく、結果的に発明者と企業の利益を忠実に代弁するには現実的に限界があるとの指摘がある。
また、この法により、特許庁は弁理士資格試験制度を担当しており、特許庁経歴の公務員は弁理士資格取得の過程において試験科目の免除という優遇を受けているが、これは、潜在的な受験生が自ら弁理士試験制度を権利・監督している構造である。そのため、特許庁が弁理士会及び弁理士に対する管理・監督の権限を持っている限り、特許庁が弁理士試験制度を特許庁経歴の公務員にとって有利に変更しても、弁理士会と弁理士はそれに対して意見の表明が難しいのが実情である。
まとめると、審査及び審判における特許庁と弁理士間の利害対立構造と特許庁退職公務員の民間業者への就職から特許庁が自由でなければ、弁理士会に対する公正な管理・監督は期待しがたいという問題点を持っている。
したがって、税理士及び税理士会に対する管理・監督の権限を国税庁ではなく本部の企画財政部が持っていることのように、弁理士及び弁理士会に対する管理・監督の権限を特許庁から産業通商資源部に変更することで上記のような利害衝突の発生を防止し、「政府組織法」の体系に合わせて弁理士制度に対する政策の策定及び執行を部が担当できるようにしようとするものである。

主要内容

  1. 弁理士試験は、産業通商資源部長官が実施する(案第4条の2及び第4条の5)。
  2. 弁理士業務の登録、登録の拒否及び取消業務は、産業通商部長官が遂行する(案第5条、第5条の2及び第5条の3)。
  3. 特許法人設立の認可、所属弁理士変更届出、認可の取り消し、解散の届出及び組織変更の認可業務は、産業通商資源部長官が遂行する(案第6条の3、第6条の4、第6条の8、第6条の9及び第6条の10)。
  4. 特許法人(有限)の設立の認可、所属弁理士変更届出、増資・保全命令、損害補償損失引当金の使用承認、設立認可の取り消し、解散の届出、会計処理業務は、産業通商資源部長官が遂行する(案第6条の12、第6条の13、第6条の16、第6条の18、第6条の19、第6条の20及び第6条の21)。
  5. 弁理士会の支会・支部設置の承認、弁理士会会則改定の認可、弁理士登録情報の弁理士会への提供、弁理士の研修規則の承認業務は、産業通商資源部長官が遂行する(案第9条、第10条、第13条及び第14条)。
  6. 弁理士資格・懲戒委員会は産業通商資源部に置き、委員長は産業通商資源部次官が務め、委員会の委員は産業通商資源部長官が任命又は委嘱し、委員会の議決による弁理士の懲戒又は資格停止処分は、産業通商資源部長官が遂行する(案第16条、第17条及び第18条)。
  7. 産業通商資源部長官は、この法による権限又は業務の一部を、大統領令に定めることに基づき特許庁長又は弁理士会等に委任・委託することができる(案第28条)。

弁理士法の一部改正法律案

弁理士法の一部を次のように改正する。
第4条の2第1項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第4条の5各号以外の部分中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第5条第1項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第5条の2第1項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改め、同条第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とし、同条第3項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第5条の3各号以外の部分中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
法律第19165号弁理士法の一部改正法律第6条の2第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改め、同条第4項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とする。
第6条の3第2項前段中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改め、同条第3項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とし、同条第4項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第6条の4第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第6条の8第1項各号以外の部分本文中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とし、同条第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第6条の9第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第6条の10第1項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第6条の12第2項前段中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とし、同条第3項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改め、同条第4項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とする。
第6条の13第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第6条の16第6項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第6条の18第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第6条の19第1項各号以外の部分本文中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改め、同条第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とする。
第6条の20第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第6条の21第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とし、同条第3項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第9条第4項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第10条第1項前段中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第13条第1項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とし、同条第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改め、同条第3項本文中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とする。
第14条第3項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第15条第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とし、同条第4項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第16条第1項各号以外の部分中「特許庁」を「産業通商資源部」とし、同条第3項各号以外の部分中「特許庁次長」を「産業通商資源部次官」に、「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第17条第1項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」とし、同条第3項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第18条第1項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第27条第2項中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。
第28条を次のように改める。
第28条(権限又は業務の委任・委託)①産業通商資源部長官は、この法による権限の一部を、大統領令に定めることに基づき特許庁長に委任することができる。
②産業通商資源部長官は、この法による業務の一部を、大統領令に定めることに基づき弁理士会又は試験運営関連専門機関・団体に委託することができる。
第29条各号以外の部分中「特許庁長」を「産業通商資源部長官」に改める。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(行政処分等に関する一般的経過措置)この法律の施行当時に従前の規定により特許庁長が行った行為や特許庁長に行った行為は、この法律の当該規定による産業通商資源部長官が行った行為や産業通商資源部長官に対して行った行為とみなす。
第3条(所管事務に関する経過措置)この法律の施行当時に特許庁長の所管事務であった弁理士試験、不正行為者に対する制裁、弁理士の登録・登録許否・取り消し、特許法人の設立の認可・取り消し・解散・組織変更、特許法人(有限)設立の認可・届出、取り消し、弁理士会に対する監督、弁理士の研修、弁理士への懲戒に関する事務は、産業通商資源部長官が承継する。
第4条(弁理士資格・懲戒委員会に関する経過措置)この法律の施行当時に従前の規定により特許庁に設置した委員会は、産業通商資源部に設置した委員会とみなす。
第5条(弁理士資格・懲戒委員会の委員に関する経過措置)この法律の施行当時に従前の規定により任命又は委嘱された委員会の委員は、この法律の改正規定により任命又は委嘱されたものとみなす。
第6条(業務の委託に関する経過措置)この法律の施行当時に従前の規定により特許庁長の業務の一部を委託された弁理士会又は試験運営関連専門機関は、この法律により産業通商資源部長官が業務の一部を委託したものとみなす。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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