知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 特許法の一部改正法律案(議案番号:2121189)

2023年04月06日

議案番号:2121189
提案日:2023年4月6日
提案者:チョン・イリョン議員外17人

提案理由

現行法では、特許発明を実施するため、他法令の規定による許可・登録等(以下「許可等」という。)を受けるために実施した有効性・安全性等の試験によりかかった期間だけ5年以内でその特許権の存続期間を延長する許可等による特許権存続期間延長制度が導入されている。
しかし、現行の許可等による特許権存続期間延長制度では、許可・登録後延長期間を含む特許権存続期間(有効特許権存続期間)の上限(キャップ)及び延長可能な特許権数に制限がないことから、ジェネリックの発売が遅延する場合が発生し、国民の医薬品早期アプローチ権の確保に支障が生じているのが実情である。これとは違い、米国・欧州等の主要国の場合は、有効特許権存続期間の上限(キャップ)及び延長可能な特許権数を制限する規定があり、許可等による特許権存続期間延長制度の国際的調和が必要な状況である。
そのため、有効特許権存続期間の上限(キャップ)を導入し、延長可能な特許権数を制限することで、国民の医薬品早期アプローチ性を高め、米国・欧州等の主要国並みに許可等による特許権存続期間延長制度を改善しようとするものである。

主要内容

  1. 許可等による延長の前に、特許権の存続期間に登録遅延による延長期間を含め、特許権存続期間の延長順番を決める(案第89条第3項新設)。
  2. 許可等による延長された特許権の存続期間を、許可を受けた日から14年を超えないように根拠を設け、違反の際は、拒絶決定及び無効審判を請求できるようにする(案第89条第4項新設等)。
  3. 一つの許可等に対して延長可能な特許権数を単数に規定し、違反の際は、拒絶決定及び無効審判を請求できるようにする(案第89条第5項新設等)。
  4. 一つの許可等に対して二つ以上の特許権がある場合は、延長登録出願人は、いずれか一つの特許権に対してのみ存続期間の延長登録出願をしなければならず、一つの許可等に対して二つ以上の特許権に対する存続期間の延長登録出願がある場合は、いずれの特許権の存続期間も延長できないようにする(案第90条第7項新設)。
  5. 特許権の存続期間の延長登録出願が放棄・無効・取下げになるか、拒絶決定又は拒絶するという趣旨の審決が確定した場合は、特許権の存続期間の延長登録出願は、最初からなかったものとみなす(案第90条第8項新設)。
  6. 利害関係人又は審査官は、特許権の存続期間の延長登録が一つの許可等に対して二つ以上の特許権の存続期間が延長登録された場合は、無効審判を請求できるようにし、これに該当して無効とするという審決が確定した場合は、その特許権の存続期間の延長登録出願は、最初からなかったものとみなす(案第134条第1項第6号及び同条第5項新設)。

特許法の一部改正法律案

特許法の一部を次のように改正する。
第89条に第3項から第5項までをそれぞれ次のように新設する。
③第1項を適用する際、第1項の「その特許権の存続期間」には、第92条の5第2項により特許権の存続期間の延長が登録された場合、その登録された延長期間が含まれる。
④第1項に基づく延長された特許権の存続期間は、許可等を得た日から14年を超えて延長することができない。
⑤一つの許可等に対して二つ以上の特許権がある場合は、いずれか一つの特許権に対してのみ第1項に基づく存続期間の延長をすることができる。
第90条に第7項及び第8項をそれぞれ次のように新設する。
⑦一つの許可等に対して二つ以上の特許権がある場合は、延長登録出願人は、いずれか一つの特許権に対してのみ存続期間の延長登録出願をしなければならず、一つの許可等に対して二つ以上の特許権に対する存続期間の延長登録出願がある場合は、いずれの特許権の存続期間も延長することができない。
⑧特許権の存続期間の延長登録出願が次の各号のいずれかに該当する場合、その出願は、第7項の規定を適用する際は、最初からなかったものとみなす。
1.放棄、無効又は取下げになった場合
2.拒絶決定や拒絶するという趣旨の審決が確定した場合
第91条第3号中「その特許発明を実施できなかった」を「延長の」に改め、同条に第6号を次のように新設する。
6.第90条第7項に違反して一つの許可等に対して二つ以上の特許権に対する存続期間の延長登録出願をした場合
第93条中「第67条」を「第67条、第78条第1項及び第3項(この場合、「特許取消申請に対する決定」は、「延長登録決定又はその拒絶決定」とみなす。)」に改める。
第134条第1項第3号中「その特許発明を実施できなかった」を「第89条に基づいて認められる延長の」に改め、同項に第6号を次のように新設し、同条第4項第1号中「その特許発明を実施できなかった」を「第89条に基づいて認められる延長の」に改め、同条に第5項を次のように新設する。
6.第90条第7項に違反して一つの許可等に対して二つ以上の特許権の存続期間が延長登録された場合
⑤延長登録が第1項第6号に該当して無効とするという審決が確定した場合は、その特許権の存続期間の延長登録出願は、最初からなかったものとみなす。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(許可等による特許権の存続期間の延長に関する適用例)第89条第3項から第5項まで、第90条第7項・第8項、第91条、第93条及び第134条第1項・第4項・第5項の改正規定は、この法律の施行後に許可等を得た特許発明の許可等による特許権の存続期間の延長登録出願から適用する。

新・ 旧条文対照表PDFファイル(103KB)

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