知的財産情報(知財関連法律改正の動き) デザイン保護法の一部改正法律案(議案番号:2120925)

2023年03月28日

議案番号:2120925
提案日:2023年3月28日
提案者:ハン・ビョンド議員外9人

提案理由

現行の法令上、デザインの対象となる物品とは、「独立性のある具体的な物品として有体動産を原則」としており、2000年以降は物品の部分、画像及び書体も物品の範囲に含まれるように法改正が行われた。
ところが、最近、特定の物品や製品に限定せず、形状や模様が強調される2次元的な視覚デザインが従来の製品デザイン以上に重要視されている点を周知し、グラフィックシンボルのような2次元的な視覚デザインに対してもデザインの対象領域に含めて保護すべきであるとの意見が台頭している。
また、現行法は、特許庁に登録されているデザイン権の保護範囲に対し、デザイン登録願書の記載事項とその願書に添付された図面・写真又は見本、そして図面に書いてあるデザインの説明に沿って表現されているデザインに基づいて定めるよう規定しているが、これは、デザイン権の保護範囲を設定するための客観的な判断資料に対する規定に過ぎず、実際的な保護範囲は、出願人がデザイン登録願書に記載した当該物品のみに限定される。
一方、最近のデザインのトレンドは一つのデザインが様々な用途の物品に適用(One-source, Multi-use)されるものであるが、このような多用途デザインが権利として保護されるには適用可能な全ての物品に対してそれぞれ出願登録しなければならないため、出願人としては時間と費用がたくさんかかるだけでなく、出願人が前もって出願登録できなかった物品に第3者がデザインを盗用する場合、しかるべき制裁手段がない状況である。
さらに、現行法によると、デザイン権の登録手続きを進めようとする者は、特許庁長又は特許審判院長に提出する電子文書に提出人を識別できる電子署名をすることができるが、その電子署名の法的意味が不明であるとの指摘がある。
そのため、デザインの対象領域を拡大し、登録デザインの保護範囲を具体的に定める一方、電子署名の定義を「電子署名法」に基づく電子署名へとより明確に規定しようとするものである。

主要内容

  1. デザインの対象となる物品の範疇に2次元的な視覚デザインであるグラフィックシンボルを含める(案第2条第1号、案第2条第2号の3新設)。
  2. 特許庁長又は特許審判院長に提出する電子文書において提出人を識別できるようにする電子署名に対し、その定義を具体化する(案第31条第1項)。
  3. 登録デザインの保護範囲は、一般の需要者に全体的に同一か類似の印象を与えるデザイン全てを含むこととする一方、デザイン登録願書に書いたデザインの対象となる物品とその物品類の区分そのものは、デザインの保護範囲に影響を及ぼさないこととする(案第93条第2項新設)。

デザイン保護法の一部改正法律案

デザイン保護法の一部を次のように改正する。
第2条第1号中「書体及び画像を」を「書体、画像及びグラフィックシンボルを」に改め、同条に第2号の3を次のように新設する。
2の3.「グラフィックシンボル」とは、形状・色彩又はこれらを結合した記号や表示のことをいう。
第31条第1項中「電子署名」を「『電子署名法』第2条第2号に基づく電子署名(以下「電子署名」という。)」に改める。
第93条見出し以外の部分を第1項とし、同条第1項(従前の見出し以外の部分)中「デザイン登録願書の記載事項及びその願書に添付された図面・写真又は見本や図面に書いてあるデザインの説明に沿って」を「次の各号の事項に」に改め、同条に各号を次のように新設し、同条に第2項を次のように新設する。
1.デザイン登録願書の記載事項
2.デザイン登録願書に添付された図面・写真又は見本
3.デザイン登録願書に添付された図面に書いてあるデザインの説明
②第1項による登録デザインの保護範囲は、一般の需要者に全体的に同一か、類似の印象を与えるデザイン全てを含む。この場合、第37条第1項第3号によりデザイン登録願書に書いたデザインの対象となる物品とその物品類の区分そのものは、デザインの保護範囲に影響を及ぼさない。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後3か月が経過した日から施行する。
第2条(登録デザインの保護範囲等に関する適用例)第2条第1号及び第93条の改正規定は、この法律の施行後に出願したデザイン登録出願から適用する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195