知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2120741)

2023年03月17日

議案番号:2120741
提案日:2023年3月17日
提案者:ヤン・グミ議員外9人

提案理由及び主要内容

他人の有名商標を無断で使用する等の不正競争行為や営業秘密を侵害する行為は、企業と製品が長い間維持してきた競争力を一瞬で喪失させる結果をもたらしかねないため、強力な犯罪抑制手段とともに効果的な被害防止手段が必要である。
ところが、現行法によれば、犯罪行為による法人と自然人に対する罰金刑の水準が同一である。また、営業秘密侵害罪の場合、法人に対する公訴時効の期間が個人の行為者に比べて低いため、組織的な犯罪行為を抑えがたいだけでなく、営業秘密侵害罪が認められても侵害行為により発生した物品とその製造設備に対する没収規定が定められておらず、2次被害の防止にも限界があるとの指摘がある。
そのため、不正競争行為の犯罪や営業秘密侵害罪に対する法人の罰金刑を行為者比3倍に強化し、営業秘密侵害罪に対する法人の公訴時効を行為者と同一にすることで組織的な犯罪行為を抑える一方、営業秘密侵害行為により発生した物品とその製造設備に対しては、没収規定を設けることで2次被害を予防しようとするものである(案第19条、第18条の5及び第19条の2それぞれ新設)。

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
第18条の5を次のように新設する。
第18条の5(没収等)①第18条第1項各号又は第3項各号のいずれかに該当する行為に基づいて製作した物品又はその物品の製作に使用した設備や装置(以下「物品等」という。)は、没収する。ただし、被害者の要請がある場合、大統領令で定めるところにより、当該物品等を被害者に渡すことができる。
②被害者が第1項ただし書により物品等を渡された場合は、その物品等の価額を超える損害額に対してのみ損害賠償を請求することができる。
第19条本文中「法人又は個人にも」を「法人には当該条文に規定している罰金刑の3倍以下の罰金刑を、その個人には」に改める。
第19条の2を次のように新設する。
第19条の2(公訴時効に関する特例)第19条による行為者が第18条第1項又は同条第2項の適用を受ける場合は、第19条による法人に対する公訴時効は、10年が過ぎれば完成する。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布の日から施行する。
第2条(没収に関する適用例)第18条の5の改正規定は、この法律の施行後に発生した犯罪行為から適用する。
第3条(公訴時効に関する経過措置)この法律の施行前に犯した罪に対しては、第19条の2の改正規定にもかかわらず、従前の規定に従う。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195