知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案(代案)(議案番号:2120226)

2023年02月23日

議案番号:2120226
提案日:2023年2月
提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

代案提案の経緯

議案名 議案番号 代表発議 発議日 審査の経過
不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案 2107638 ホン・ソングク議員 2021.1.26. -第385回国会(臨時会)第1次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2021.3.8.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第400回国会(常会)第1次産業通商資源特許小委員会(2022.9.5.)に上程
-第400回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2022.9.20.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2107796 イ・ギュミン議員 2021.1.29. -第385回国会(臨時会)第1次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2021.3.8.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第400回国会(常会)第1次産業通商資源特許小委員会(2022.9.5.)に上程
-第400回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2022.9.20.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2108827 ハン・ムギョン議員 2021.3.16. -第387回国会(臨時会)第2次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2021.5.13.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第400回国会(常会)第1次産業通商資源特許小委員会(2022.9.5.)に上程
-第400回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2022.9.20.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
  1. 第400回国会(常会)第2次産業通商資源特許小委員会(2022.9.20.)で上記3件の法律案を審査した結果、それぞれの法律案を本会議に付議しないことにし、各法律案の内容を統合・調整して当委員会の代案を作成することにする。
  2. 第400回国会(常会)第4次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2022.9.22.)で産業通商資源特許小委員会が審査報告したとおり、3件の法律案はそれぞれ本会議に付議しない代わりに産業通商資源特許小委員会が作成した委員会の代案を提案することを議決した。

代案提案の理由

現行法は、取引の過程でアイデアを無断で使用するか、第3者に使用させる行為(以下「アイデアの奪取」という。第2条第1号ヌ目)、国内に広く知られている標識の誤認・混同行為(第2条第1号イ目・ロ目)を不正競争行為とみなしている。
ところが、現行法は、アイデアの奪取に対して無限に侵害差止請求をすることができるため法的安定性の面で問題があり、国内に広く知られている標識等と同一・類似の標識を善意で先に使用していた者に対してまで不正競争行為とみなして損害賠償、侵害差止請求等をすることができ、善意の行為者が不測の損害を受けかねない。
そのため、国内に広く知られている標識と同一か、類似している標識に対して不正な目的なしに先使用した場合は、不正競争行為から除外し、アイデアの奪取行為に対する侵害差止請求の時効を明確にすることで、法的安定性を図ろうとするものである。
このほか、不正競争行為等の行政調査の対象を拡大する等、現行制度の不備を改善・補完しようとするものである。

代案の主要内容

  1. 国内に広く知られている標識又は営業標識の誤認・混同行為に対して不正な目的なしに先使用した場合は、不正競争行為から除外する(案第2条第1号イ目及びロ目)。
  2. 第2条第1号イ目又はロ目の他人は、善意の先使用者に、その先使用者の商品と自己の商品間で出所の誤認や混同を防止する上で必要な表示をすることを請求できるようにする(案第3条の3新設)。
  3. アイデアの奪取に対し、侵害されたか侵害されるおそれのある事実及びその不正競争行為者を知った日から3年、又はその不正競争行為が始まった日から10年が過ぎれば、侵害差止請求をできるようにする(案第4条第3項新設)。
  4. 不正競争行為等の行政調査の対象を、関係書類や帳簿のみならず、デジタルファイル等も含まれるよう「資料」に拡大する(案第7条第1項)。
  5. 原本証明機関が補助金を他の目的として使用した場合は、期間を定めて必ず返還を命ずるようにする(案第9条の4第2項)。
  6. 第13条(善意者に関する特例)及び第14条(時効)は、営業秘密に関する規定であることから、これを明確にするため、当該条見出しを「(営業秘密侵害善意者に関する特例)」、「(営業秘密侵害行為差止請求権等に関する時効)」にそれぞれ修正する(案第13条及び第14条)。
  7. 原本証明機関に対する行政処分の基準及び第20条の過料の基準を規制再検討対象から削除する(第17条の2削除)。

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
第2条第1号イ目中「国内」を「次のいずれかに該当する正当な理由なしに国内」に、「標識」を「標識(以下この目において「他人の商品標識」という。)」に改め、同目に1)及び2)をそれぞれ次のように新設する。
1)他人の商品標識が国内に広く知られる前からその他人の商品標識と同一か、類似している標識を不正な目的なしに継続して使用する場合
2)1)に該当する者の承継人として、不正な目的なしに継続して使用する場合
第2条第1号ロ目中「国内」を「次のいずれかに該当する正当な理由なしに国内」に、「標識(商品の販売・サービスの提供方法又は看板・外観・室内装飾等、営業提供場所の全体的な外観を含む)」を「標識(商品の販売・サービスの提供方法又は看板・外観・室内装飾等、営業提供場所の全体的な外観を含み、以下この目において「他人の営業標識」という。)」に改め、同目に1)及び2)をそれぞれ次のように新設する。
1)他人の営業標識が国内に広く知られる前からその他人の営業標識と同一か、類似している標識を不正な目的なしに継続して使用する場合
2)1)に該当する者の承継人として、不正な目的なしに継続して使用する場合
第2条第1号ハ目中「非商業的使用等、大統領令で定める正当な理由なしに」を「次のいずれかに該当する正当な理由なしに」に、「含む」を「含む。以下この目において同じ。」に改め、同目に1)から3)までをそれぞれ次のように新設する。
1)他人の氏名、商号、商標、商品の容器・包装、その他他人の商品又は営業であることを表示する標識が国内に広く知られる前からその他人の標識と同一か、類似している標識を不正な目的なしに継続して使用する場合
2)1)に該当する者の承継人として、不正な目的なしに継続して使用する場合
3)その他非商業的使用等、大統領令で定める正当な理由に該当する場合
第3条の3を次のように新設する。
第3条の3(誤認・混同防止の請求)第2条第1号イ目又はロ目の他人は、次の各号のいずれかに該当する者に、その者の商品や営業と自己の商品や営業間で出所の誤認や混同を防止する上で必要な表示をすることを請求できる。
1.第2条第1号イ目1)又は2)に該当する者
2.第2条第1号ロ目1)又は2)に該当する者
第4条に第3項を次のように新設する。
③第1項に基づいて第2条第1号ヌ目の不正競争行為の禁止又は予防を請求できる権利は、その不正競争行為が続く場合に、営業上の利益が侵害されたか侵害されるおそれのある者がその不正競争行為により営業上の利益が侵害されたか侵害されるおそれのあるという事実及びその不正競争行為をした者を知った日から3年間行使しなければ、時効の完成により消滅する。その不正競争行為が始まった日から10年が過ぎたときも、同様である。
第7条第1項中「関係書類や帳簿・製品等」を「関係資料や製品等」に改める。
第9条の4第2項中「命じられる」を「命じなければならない」に改める。
第13条の見出し中「善意者」を「営業秘密侵害善意者」に改める。
第14条の見出し「(時効)」を「(営業秘密侵害行為差止請求権等に関する時効)」に改める。
第17条の2を削除する。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(この法律の施行前の不正競争行為に関する経過措置)第2条第1号イ目及びロ目の改正規定にもかかわらず、この法律の施行前に行われた不正競争行為については、従前の規定に従う。
第3条(不正競争行為に対する差止・予防請求権の時効に関する経過措置)この法律の施行前に行われた第2条第1号ヌ目の不正競争行為に対して禁止又は予防を請求できる権利の時効については、第4条第3項の改正規定にもかかわらず、従前の規定に従う。

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