知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 実用新案法の一部改正法律案(議案番号:2120027)

2023年02月15日

議案番号:2120027
提案日:2023年2月15日
提案者:ファン・ウナ議員外10人

提案理由及び主要内容

昨年、某製薬会社は、薬理効果に対する実験結果を操作したデータと正常データを一緒に提出して薬品関連特許を取得した。その後、データが操作された事実が発覚され、操作部分のみ削除して特許審判院に特許訂正請求をすることで当該特許を維持した事件が発生した。それに対し、特許庁は、虚偽の行為の罪で検察に捜査依頼及び職権による特許無効審判を請求した。また、公正取引委員会は、当該製薬会社が操作した実験データで不当に権利範囲を広げ、後発企業の市場参入を意図的に妨害する目的があったとして、課徴金の賦課と是正措置を命じた。
ところが、以上の事例のように、特許出願の際に添付される明細書のデータを騙す等の虚偽やそれに準ずる不正行為により特許を取得したにもかかわらず、操作部分のみ削除して有効なデータのみ残す方式の訂正請求書を提出すれば、当該特許を維持できるという「特許法」の欠点が露呈したことから、今後、それを悪用する事例が増えるものと予想され、「特許法」の改正が必要な状況である。
そのため、現行法において「特許法」を準用していない実用新案登録の無効審判の請求に関する規定を「特許法」と同じ趣旨の内容に改正する必要がある。
したがって、虚偽等の不正行為により実用新案登録を受けた場合は、審査官等が登録されている請求項全体を無効にする審判を請求できるようにすることで、実用新案登録制度の公正性を強化しようとするものである(案第31条第1項)。

参考事項

この法律案は、ファン・ウナ議員が代表発議した「特許法の一部改正法律案」(議案番号第20028号)の議決を前提にしているため、同法律案が議決されないか、修正議決される場合は、それに合わせて調整されるべきである。

実用新案法の一部改正法律案

実用新案法の一部を次のように改正する。
第31条第1項各号以外の部分後段中「できる」を「できるが、第10号に該当して請求する場合は、請求項全体を対象に請求しなければならない」に改め、同項に第10号を次のように新設する。
10. 故意に明細書に虚偽事項を記載する等、虚偽やその他の不正行為により実用新案登録を受けた場合

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後3か月が経過した日から施行する。
第2条(実用新案登録の無効審判に関する適用例)第31条第1項の改正規定は、この法律の施行後に設定登録された実用新案権から適用する。

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