知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 下請取引の公正化に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2118226)

2022年11月11日

議案番号:2118226
提案日:2022年11月11日
提案者:キム・ジョンミン議員外10人

提案理由及び主要内容

中小企業界によると、2017~2021年の中小企業の技術奪取被害規模が2,800億ウォンに上る等、技術奪取被害が続いている。
現行法は、技術奪取行為を防止するために損害額の3倍以内で賠償の責任を負う懲罰的損害賠償制度を導入しているが、損害賠償額が不十分であり、有形・無形の技術、ノウハウ等の侵害に対する正確な損害の算定が難しくて技術奪取の被害を受けた下請事業者が十分な損害賠償を受けにくい状況である。
そのため、技術流用に限っては、損害額の5倍まで賠償の責任を科し、技術奪取被害企業の立証負担を緩和して損害を効果的に補填してもらえるように「特許法」に導入されている損害額推定規定を「下請取引の公正化に関する法律」にも新設しようとするものである(案第35条、第35条の6新設)。

下請取引の公正化に関する法律の一部改正法律案

下請取引の公正化に関する法律の一部を次のように改正する。
第35条第2項本文中「損害の3倍を超えない」を「損害に対して次の各号に定めている」とし、同項に各号を次のように新設する。
1.第4条、第8条第1項、第10条、第11条第1項・第2項及び第19条に違反した場合:損害額の3倍以内
2.第12条の3第4項に違反した場合:損害額の5倍以内
第35条の6を次のように新設する。
第35条の6(損害額の推定等)①委託元が第12条の3第4項に違反することで損害を受けた者(以下この条において「技術流用被害事業者」という。)が第35条による損害賠償を請求する場合、委託元又は技術資料を提供された第3者がその侵害行為をさせた目的物等を販売・提供したときは、次の各号に該当する金額の合計額を技術流用被害事業者が負った損害額とすることができる。
1.その目的物等の販売・提供規模(技術流用被害事業者がその侵害行為以外の理由で販売・提供できなかった事情がある場合は、その侵害行為以外の理由で販売・提供できなかった規模を差し引いた規模)中、技術流用被害事業者が製造・修理・施工したか、役務を遂行できた目的物等の規模から実際に販売・提供した目的物等の規模を差し引いた残りの規模を超えない目的物等の規模を技術流用被害事業者がその侵害行為がなかったら販売・提供して得ることができた利益額
2.その目的物等の販売・提供規模中、技術流用被害事業者が製造・修理・施行したか、役務を遂行できた目的物等の規模から実際に販売・提供した目的物等の規模を差し引いた規模を超える規模又はその侵害行為以外の理由で販売・提供できなかった規模がある場合、その規模に対しては技術資料の使用に対して合理的に得ることができる利益額
②技術流用被害事業者が第35条による損害賠償を請求する場合、委託元又は技術資料を提供された第3者がその侵害行為によって得た利益額を技術流用被害事業者の損害額として推定する。
③技術流用被害事業者が第35条による損害賠償を請求する場合、侵害行為の対象になった技術資料の使用に対して合理的に受けられる金額を自己の損害額として損害賠償を請求することができる。
④第3項にもかかわらず、損害額が同項による金額を超える場合は、その超過額に対しても損害賠償を請求することができる。この場合、委託元に故意又は重大な過失がなければ、裁判所は損害賠償額を算定する時にこれを考慮できる。
⑤裁判所は、必要と認めるときは、第1項から第4項までの規定による損害額算定業務を大統領令に定めるところにより、「技術の移転及び事業化の促進に関する法律」第35条による技術評価機関に委託することができる。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(損害賠償の責任に関する適用例)第35条の改正規定は、この法律の施行後に発生する違反行為から適用する。
第3条(損害額の推定等に関する適用例)第35条の6の改正規定は、この法律の施行後に技術流用被害事業者が第35条による損害賠償を請求する場合から適用する。

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