知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 特許法の一部改正法律(法律第18505号)

2021年10月19日

国会で成立した特許法の一部改正法律を公布する。

大統領 ムン・ジェイン

2021年10月19日

法律第18505号

特許法の一部改正法律

特許法の一部を次のように改正する。
第16条第2項の本文のうち、「補正命令を受けた者が責任を負うことができない事由」を「正当な事由」とする。
第52条第1項第2号のうち、「30日」を「3ヶ月」とし、同条第4項から第6項までをそれぞれ第6項から第8項までとし、同条に第4項及び第5項をそれぞれ次のように新設する。
④分割の基礎となった特許出願が第54条又は第55条により優先権を主張した特許出願である場合には、第1項により分割出願をした際にその分割出願に対しても優先権を主張したものとみなし、分割の基礎となった特許出願に対して第54条第4項により提出された書類又は書面がある場合には、分割出願に対しても該当書類又は書面が提出されたものとみなす。
⑤第4項により優先権を主張したものとみなす分割出願に関しては、第54条第7項又は第55条第7項による期限が経過した後にも分割出願をした日から30日以内にその優先権主張の全部又は一部を取り下げることができる。
第52条の2を次のように新設する。
第52条の2(分離出願)①特許拒絶決定を受けた者は、第132条の17による審判請求が棄却された場合に、その審決の謄本の送達を受けた日から30日(第186条第5項により審判長が付加期間を定めた場合には、その期間をいう。)以内に、その特許出願の出願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内で、その特許出願の一部を新しい特許出願に分離することができる。この場合、新しい特許出願の請求範囲には、次の各号のいずれかに該当する請求項のみ記載することができる。
1.その審判請求の対象となる特許拒絶決定で拒絶されなかった請求項
2.拒絶された請求項から、その特許拒絶決定の基礎となった選択的記載事項を削除した請求項
3.第1号又は第2号による請求項を第47条第3項各号(同項第4号は除く。)のいずれかに該当するように記載した請求項
4.第1号から第3号のうち、いずれかの請求項からその特許出願の出願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲を外れた部分を削除した請求項
②第1項により分離された特許出願(以下「分離出願」という。)に関しては、第52条第2項から第5項までの規定を準用する。この場合、「分割」は「分離」に「分割出願」は「分離出願」とみなす。
③分離出願をする場合には、第42条の2第1項の後段又は第42条の3第1項にもかかわらず、特許出願書に最初に添付した明細書に、請求範囲を記載しないか、又は明細書及び図面(図面の中の説明部分に限定する。)を国語以外の言語で書くことはできない。
④分離出願は新たな分離出願、分割出願又は「実用新案法」第10条による変更出願の基礎とすることはできない。
第53条第1項第1号のうち、「30日」を「3ヶ月」とする。
第55条第1項第2号のうち、「分割出願若しくは」を「分割出願又は第52条の2第2項(「実用新案法」第11条により準用される場合を含む。)による分離出願であるか」とし、同項第4号のうち、「特許可否の決定、実用新案登録可否の決定」を「設定登録されたか、特許拒絶決定、実用新案登録拒絶決定」とし、同条に第8項を次のように新設する。
⑧第1項による優先権主張の基礎となった先出願は、第79条による設定登録を受けることができない。但し、該当の先出願を基礎とした優先権主張が取り下げられた場合は、この限りでない。
第56条第1項第2号のうち、「特許可否の決定、実用新案登録可否の決定」を「設定登録されたか、特許拒絶決定、実用新案登録拒絶決定」とする。
第59条第3項のうち、「分割出願」を「分割出願、分離出願又は」とし、「分割出願をした日」を「分割出願をした日、分離出願をした日」とする。
第62条第6号のうち、「分割出願の場合」を「分割出願又は第52条の2第1項による範囲を外れる分離出願の場合」とする。
第67条の2第1項の本文のうち、「特許拒絶決定謄本の送達を受けた日から30日」を「特許決定の謄本の送達を受けた日から第79条による設定登録を受けるまでの期間又は特許拒絶決定謄本の送達を受けた日から3ヶ月」とし、同項のただし書のうち、「再審査を請求する際に既に再審査による特許拒絶決定があるか、又は第132条の17による審判請求がある」を「次の各号のいずれかに該当する」とし、同項に各号を次のように新設し、同条第3項の本文のうち、「特許拒絶決定」を「特許決定又は特許拒絶決定」とする。
1.再審査を請求する際に、既に再審査による特許可否の決定がある場合
2.第132条の17による審判請求がある場合(第176条第1項により特許拒絶決定が取り消された際には除く。)
3.その特許出願が分離出願である場合
第67条の3第1項の各号外部分の本文のうち、「責任を負うことができない事由」を「正当な事由」にする。
第81条の3第1項の本文のうち、「責任を負うことができない事由」を「正当な事由」にする。
第92条の2第4項の各号外部分のうち、「第52条第2項」を「第52条第2項、第52条の2第2項」とし、同項に第2号の2を次のように新設する。
2の2. 第52条の2による分離出願の場合は、分離出願をした日
第122条の題目のうち、「質権行使」を「質権行使等」とし、同条前段のうち「特許権者」を「特許権者(共有の特許権の分割請求の場合には、分割請求をした共有者を除いた残りの共有者をいう。)」とし、「質権設定又は共有の特許権の分割請求」とする。
第132条の17の「30日」を「3ヶ月」とする。
第133条第1項第7号のうち、「分割出願の場合」を「分割出願又は第52条の2第1項の各号外部分前段による範囲外の分離出願の場合」とする。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後6ヶ月が経過した日から施行する。
第2条(手続きの無効等に関する適用例)第16条第2項の改正規定はこの法律施行前に法制命令を受けた者が正当な事由で補正期間を守ることができず、特許に関する手続きが無効になった場合であり、この法律施行当時にその事由が消滅された日から2ヶ月が経過していない場合にも適用する。
第3条(分割出願に関する適用例)①第52条第1項の改正規定は、この法律施行後に特許拒絶決定謄本の送達を受けた特許出願を基礎とした分割出願から適用する。
②第52条第4項及び第5項の改正規定は、この法律施行後に出願した分割出願から適用する。
第4条(分離出願に関する適用例)第52条の2の改正規定は、この法律施行後に特許拒絶決定に対する審判が請求された特許出願の一部を分離出願したものから適用する。
第5条(変更出願に関する適用例)第53条第1項の改正規定は、この法律施行後に実用新案登録拒絶決定謄本の送達を受けた実用新案登録出願を基礎とした変更出願から適用する。
第6条(特許出願等を基礎とした優先権主張に関する適用例)第55条第1項第4号、同条第8項及び第56条第1項第2号の改正規定は、この法律施行後に第66条による特許決定、「実用新案法」第15条により準用される「特許法」第66条による実用新案登録決定又は第176条第1項による特許拒絶決定の取消審決及び「実用新案法」第33条により準用される「特許法」第176条第1項による実用新案登録拒絶決定の取消審決(特許登録及び実用新案登録を決定した審決に限定するが、再審審決を含む。)の謄本の送達を受けた先出願を基礎とした優先権主張から適用する。
第7条(再審査の請求に関する適用例)第67条の2第1項及び第3項の改正規定は、この法律施行後第62条による特許拒絶決定、第66条による特許決定又は第176条第1項による特許拒絶決定の取消審決(特許登録を決定した審決に限定するが、再審審決を含む。)の謄本の送達を受けた特許出願から適用する。
第8条(特許出願に回復に関する適用例)第67の3第1項の改正規定は、この法律施行前に特許出願人が正当な事由で同項各号のいずれかに該当する期間を守ることができず、特許出願が取り下げられるか、又は特許拒絶決定が確定されたものと認められた場合であり、その事由が消滅された日から2ヶ月が経過していない場合にも適用する。
第9条(特許料の追加納付又は補填による特許出願と特許権の回復等に関する適用例)第81条の3第1項の改正規定は、この法律施行前に特許権の設定登録を受けようとする者又は特許権者が正当な事由で特許料の納付期間内に特許料を納付しないか、又は補填期間内に補填しなかった場合であり、この法律施行当時にその事由が消滅された日から2ヶ月が経過していない場合にも適用する。
第10条(質権行使等による特許権の移転による通常実施権に関する適用例)第122条の改正規定は、この法律施行後に共有の特許権の分割を請求した場合から適用する。
第11条(特許拒絶決定等に対する審判に関する適用例)第132条の17の改正規定は、この法律施行後に特許拒絶決定謄本又は特許権の存続期間の延長登録拒絶決定謄本の送達を受けた特許出願から適用する。
第12条(他法律の改正)実用新案法の一部を次のように改正する。
第10条第1項第1号のうち、「30日」を「3ヶ月」とする。
第11条のうち、「第52条」を「第52条、第52条の2」とする。
第12条第3項に第4号を次のように新設する。
4.第11条により準用される「特許法」第52条の2第2項による分離出願:分離出願をした日から30日 第13条第8号を次のように新設する。
8.第11条により準用される「特許法」第52条の2第1項による範囲外の分離出願の場合
第22条の2第4項各号以外の部分のうち、「第52条第2項」を「第52条第2項・第52条の2第2項」とし、同項に第3号の2を次のように新設する。
3の2.第11条により準用される「特許法」第52条の2による分離出願の場合には、分離出願をした日 第31条第1項に第9号を次のように新設する。 9.第11条により準用される「特許法」第52条の2第1項各号以外の部分の前段による範囲外の分離出願の場合
第13条(他法律の改正による適用例)附則第12条により改正された「実用新案法」第10条第1項第1号の改正規定は、この法律施行後に特許拒絶決定謄本の送達を受けた特許出願を基礎とした変更出願から適用する。

改正理由及び主要内容

特許出願人・特許権者の権利救済を拡大するために、特許出願及び特許権の回復要件を合理的な基準に緩和し、特許拒絶決定の後に出願人に十分な審判の請求期間を提供することで、請求期間の延長や請求理由を補正するなどの不必要な行政処理を最小限にするよう、特許拒絶決定等に対する審判及び再審査の請求期間を増やし、分割出願の優先権主張の記載を省略できるようにすることで、現行制度の運営上現れた一部の不備点を改善・補完し、出願人の便宜を図ろうとするものである。
また、特許が決定された場合に設定登録をしていなければ、出願日から1年以内に優先権主張出願をすることができるように、その対象を特許決定された特許出願に拡大し、特許拒絶決定に対する審判の請求が棄却された後にも一定の範囲内で拒絶決定に含まれていない請求項を分離して出願することができるように分離出願制度を導入して、出願人が特許を受けることができる機会を拡大する。一方、共有物分割請求で共有特許権が他人に移転されても、実施中の他の共有特許権者に通常実施権を付与して実施事業を続けられるようにすることで、共有特許権者を保護しようとするものである。(法制処提供)

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