知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 下請取引公正化に関する法律の一部改正法律案(代案)(議案番号:2111657)

2021年07月22日

議案番号:2111657

提案日:2021年7月

提案者:政務委員長

1.代案の提案経緯

代案に主要内容が反映されており本会議に付議しない法案

連番 議案番号 発議者 提案日 会議情報
1 2101473 ソン・ガブソク議員等14人 2020年7月6日 上程:第382回国会(定期会)第2回全体会議(2020年9月21日)
小委員会審査:第384回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年2月24日)
第385回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年3月18日)
第388回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年6月30日)
2 2102547 キム・ギョンマン議員等10人 2020年7月31日 上程:第382回国会(定期会)第6回全体会議(2020年11月24日)
小委員会審査:第382回国会(定期会)第2回法案審査第2小委員会(2020年11月25日)
第382回国会(定期会)第3回法案審査第2小委員会(2020年12月1日)
第384回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年2月24日)
第385回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年3月18日)
第388回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年6月30日)
3 2103850 ホ・ヨン議員等12人 2020年9月14日 上程:第382回国会(定期会)第1回法案審査第2小委員会(2020年9月23日)直回付
小委員会審査:第382回国会(定期会)第1回法案審査第2小委員会(2020年9月23日)
第382回国会(定期会)第2回法案審査第2小委員会(2020年11月25日)
第382回国会(定期会)第3回法案審査第2小委員会(2020年12月1日)
第384回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年2月24日)
第385回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年3月18日)
第388回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年6月30日)
  1. 2020年7月6日、ソン・ガブソク議員が代表発議した「下請取引公正化に関する法律の一部改正法律案」を第382回国会(定期会)第2回政務委員会(2020年9月21日)に上程し、提案説明と専門委員の検討報告を受けてから代替討論を経て、法案審査第2小委員会に回付した。
  2. 2020年7月31日、キム・ギョンマン議員が代表発議した「下請取引公正化に関する法律の一部改正法律案」を第382回国会(定期会)第6回政務委員会(2020年11月24日)に上程し、提案説明と専門委員の検討報告を受けてから代替討論を経て、法案審査第2小委員会に回付した。
  3. 2020年9月14日、ホ・ヨン議員が代表発議した「下請取引公正化に関する法律の一部改正法律案」を法案審査第2小委員会に直接回付し、第382回国会(定期会)第1回法案審査第2小委員会(2020年9月23日)に上程した。
  4. 第388回国会(臨時会)第1回法案審査第2小委員会(2021年6月30日)で上記の3件の法律案をそれぞれ本会議に付議しないことにし、各法律案の内容を統合・調整して委員会から代案を提案することにした。
  5. 第388回国会(臨時会)第2回政務委員会(2021年7月1日)は、法案審査第2小委員会で審査報告した通り、3件の法律案をそれぞれ本会議に付議しないことにし、法案審査第2小委員会で設けた代案を委員会案として提案すると議決した。

2.提案理由

技術資料の認定要件を緩和して中小企業の技術情報をより幅広く保護し、技術を流用する行為による需給事業者の被害を防止するために、技術資料を提供する際に秘密保持契約を締結するようにする。一方、下請取引に関する損害賠償請求訴訟において損害を立証しなければならない被害企業の負担を軽減するために、法院が損害を与えた当事者に損害の証明や損害額算定に必要な資料の提出を命ずることができるようにし、それによる営業秘密の流出を最小限にするために秘密保持命令制度を導入しようとするものである。

3.主要内容

  1. 技術資料の定義規定から合理的な努力によるものでなければならないという内容を削除し、「秘密として保持された」を「秘密として管理される」に変更して技術資料の認定要件を緩和する(案第2条第15項)
  2. 需給事業者が元事業者に技術資料を提供する場合、元事業者は需給事業者と秘密保持契約を締結するようにする(案第12条の3第3項新設)
  3. 損害賠償訴訟が提起された場合、法院が当事者に資料提出を命ずることができる資料提出命令制度を導入する(案第35条の2新設)
    1)被害企業の権利救済を強化するために、法院は、この法律の違反による損害賠償請求訴訟で、当事者の申請により相手方の当事者に損害の証明や損害額の算定に必要な資料の提出を命ずることができるようにし、その命令を受けた者は営業秘密という理由で資料提出を拒否することができないようにする。
    2)法院は、資料提出命令を受けた者が正当な理由無く、その命令に従わない場合に申請人が資料の記載を具体的に主張するに著しく困難な事情があり、その資料で証明しようとする事実を他の証拠で証明することも期待し難い際には、その申請人が書類の記載により証明しようとする事実に関する主張を真実なものとして認められるようにすることで、資料提出命令の実効性を高める。
  4. 法院の秘密保持命令に関連する制度を新設する(案第32条の3から第32条の5まで新設)
    1)法院は、資料提出による営業秘密の流出リスクを防止するために、当事者の申請により、その当事者が保有する営業秘密を他の当事者や訴訟代理人等が訴訟遂行以外の目的で使用するか、他人に公開しないことを命ずることができるようにする。
    2)秘密保持命令を申請した者又はその命令を受けた者は、該当の営業秘密が公開されても、当事者の営業に支障を与える恐れがない等の事情がある場合、法院に秘密保持命令の取消を申請することができるようにする。
    3)秘密保持命令が下された訴訟記録に対する閲覧等の申請人を当事者に制限する決定があった場合、当事者が秘密保持命令を受けていない者を通じてその閲覧等の申請手続きを踏んだ際には、法院の事務官等は直ちに訴訟記録の閲覧等の制限を申請した者にその閲覧等の申請があった事実を通報するようにする。

下請取引公正化に関する法律の一部改正法律案

下請取引公正化に関する法律の一部を次のように改正する。
第2条第15項のうち、「合理的な努力により秘密として保持された」を「秘密として管理される」とする。
第12条の3第2項のうち、「要求目的、秘密保持に関する事項、」を「要求目的、」とし、同条第3項を第4項とし、同条に第3項及び第5項をそれぞれ次のように新設する。
③需給事業者が元事業者に技術資料を提供する場合、元事業者は該当の技術資料の提供を受ける日まで、該当の技術資料の範囲、技術資料の提供を受けて保有する役職員の名簿、秘密保持義務及び目的外使用の禁止、違反時の賠償等、大統領令で定める事項が含まれた秘密保持契約を受給事業者と締結しなければならない。
⑤公正取引委員会は、第3項による秘密保持契約の締結に標準になる契約書の作成及び使用を推奨することができる。
第22条第5項のうち、「第12条の3第3項」を「第12条の3第4項」とする。
第29条を次のようにする。
第29条(罰則)①次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は2千万ウォン以下の罰金に処する。
1.国内外で正当な事由無く第35条の3第1項による命令に違反した者
2.第27条第3項により準用される「独占規制及び公正取引に関する法律」の第119条に違反した者
②第1項第1号の罪は第35条の3第1項による命令を申請した者の告訴がなければ公訴を提起することはできない。
第35条第2項の本文のうち、「第12条の3第3項」を「第12条の3第4項」とする。
第35条の2から第35条の5までをそれぞれ次のように新設する。
第35条の2(資料の提出)①法院は、この法律に違反した行為による損害賠償請求訴訟で当事者の申請に基づいて、相手方の当事者に該当の損害の証明又は損害額の算定に必要な資料の提出を命ずることができる。但し、提出命令を受けた者が、その資料の提出を拒否する正当な理由があればこの限りでない。
②法院は、第1項による提出命令を受けた者が、その提出を拒否する正当な理由があると主張する場合には、その主張の当否を判断するために資料の提示を命ずることができる。この場合、法院は、その資料を他人に見せてはならない。
③第1項による提出の対象となる資料が「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号による営業秘密(以下「営業秘密」という。)に該当しても損害の証明又は損害額の算定に必ず必要な場合には、第1項の但し書による正当な理由があるものと見做さない。この場合、法院は、提出命令の目的から外れない範囲で閲覧できる範囲又は閲覧できる者を指定しなければならない。
④法院は、第1項による提出命令を受けた者が正当な理由無く、その命令に従わない場合、資料の記載に対する申請人の主張を真実なものとして認めることができる。この場合、申請人が資料の記載を具体的に主張するには著しく困難な事情があり、その資料で証明しようとする事実を他の証拠で証明することも期待し難い際には、申請人が資料の記載で証明しようとする事実に関する主張を真実なものと認めることができる。
第35条の3(秘密保持命令)①法院は、この法律に違反した行為による損害賠償請求訴訟で当事者の申請による決定で、次の各号の者にその当事者が保有する営業秘密を該当の訴訟の継続的な遂行以外の目的で使用するか、又はその営業秘密に関わる命令として、この項による命令を受けていない者に公開しないことを命ずることができる。但し、その申請の前に、次の各号の者が準備書面の閲覧や証拠調査以外の方法で、その営業秘密を取得している場合には、この限りでない。
1.他の当事者(法人である場合には、その代表者をいう。)
2.当事者のために、該当の訴訟を代理する者
3.その他、該当の訴訟により営業秘密を知った者
②第1項による命令(以下「秘密保持命令」という。)を申請する者は、次の各号の事由を全部疎明しなければならない。
1. 次の各目のいずれかに該当する資料に営業秘密が含まれているという点
  1. 既に提出されたか、又は提出しなければならない準備書面
  2. 既に調査されたか、又は調査しなければならない証拠
  3. 第35条の2第1項により提出されたか、又は提出しなければならない資料
2.第1号各目に含まれている営業秘密が、該当の訴訟を遂行する以外の目的で使用されるか、又は公開されると当事者の営業に支障を与える恐れがあり、それを防止するために、営業秘密の使用や開示を制限する必要があるという点
③秘密保持命令の申請は、次の各号の事項を記載した書面でなければならない。
1.秘密保持命令を受ける者
2.秘密保持命令の対象となる営業秘密を特定するのに十分な事実
3.第2項各号の事由に該当する事実
④法院は、秘密保持命令が決定された場合には、その決定書を秘密保持命令を受ける者に送達しなければならない。
⑤秘密保持命令は、第4項による決定書が送達された時から効力が発生生する。
⑥秘密保持命令の申請を棄却するか、又は却下した裁判に対しては、直ちに抗告をすることができる。
第35条の4(秘密保持命令の取消)①秘密保持命令を申請した者又は秘密保持命令を受けた者は、第35条の3第2項各号の事由に合致しない事実や事情のある場合には、訴訟記録を保管している法院(訴訟記録を保管している法院がない場合には、秘密保持命令を下した法院いう。)に秘密保持命令の取消を申請することができる。
②法院は、秘密保持命令の取消申請に対する決定をした場合には、その決定書をその申請をした者及び相手方に送達しなければならない。
③秘密保持命令の取消申請に対する法院の決定については、直ちに抗告することができる。
④秘密保持命令を取り消す法院の決定は、確定されてから効力が発生する。
⑤秘密保持命令の取消を決定した法院は、秘密保持命令の取消を申請した者又は相手方以外に当該の営業秘密に関する秘密保持命令を受けた者がいれば、その者に直ちにその取消決定をした事実を通知しなければならない。
第35条の5(訴訟記録の閲覧等の請求通知等)①秘密保持命令が下された訴訟(秘密保持命令が全部取り消された訴訟を除く。)に関する訴訟記録について、「民事訴訟法」第163条第1項により閲覧等の申請人を当事者に制限する決定があった場合であって、当事者がその閲覧等を申請したが、その手続きを秘密保持命令を受けていない者を通じて踏んだ場合には、法院書記官、法院事務官、法院主事又は法院主事補(以下、この条で「法院事務官等」という。)は、直ちに同項に基づいて、その閲覧等の制限を申請した当事者(その閲覧等の申請をした者は除く。以下、第2項の但し書では同じ。)に、その閲覧等の申請があったという事実を通知しなければならない。
②法院事務官等は、第1項による閲覧等の申請があった日から2週間が経過するまで(その閲覧等の申請手続きを踏んだ者に対する秘密保持命令の申請が該当の期間内に行われた場合には、秘密保持命令の申請に対する裁判が確定される時点までをいう。)、その閲覧等の申請手続きを踏んだ者に、営業秘密が記載されている部分の閲覧等をさせてはならない。但し、その閲覧等の申請手続きを踏んだ者が営業秘密が記載されている部分の閲覧等をすることに対して、「民事訴訟法」第163条第1項による閲覧等の制限を申請した当事者の全てが同意する場合には、本文に基づく期限が過ぎる前でも閲覧等をさせることができる。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後6ヶ月が経過した日から施行する。但し、第2条の改正規定は公布日から施行する。
第2条(秘密保持契約締結に対する適用例)第12条の3第3項の改正規定は、この法律の施行後に需給事業者が元事業者に技術情報を提供する場合から適用する。
第3条(損害賠償請求訴訟における資料提出命令等に関する適用例)第35条の2から第35条の5までの改正規定は、この法律の施行後に提起された損害賠償請求訴訟から適用する。

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