知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 発明教育の活性化及び支援に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2110210)

2021年05月18日

提案理由

2015年の改正教育課程が追求する人間像として「基礎能力に基づいて様々な発想と挑戦で新しいものを創出する創造的な人」を提示しており、追求する人間像を実現するための中核能力の一つとして「幅広い基礎知識に基づいて、様々な専門分野の知識、技術、経験を融合的に活用して、新しいものを創出する創造的な思考能力」と設定している。
このような国の教育課程における教育理念と目標に応えるとともに、学生の創造力啓発に最も効果的で、実践的な教育方法として発明教育が提示され、様々な技術分野・教科との連携も可能で、創造・融合型の未来人材の養成に寄与することができる。
これらの点を認識・反映して、政府は、2017年にこの法律の制定を通じて体系的な発明教育支援の基盤を整えたが、宣言的かつ任意的な規定が多数を占めており、発明教育が教育現場に定着し拡散することに限界となっている。
また、最近の新型コロナウイルスのパンデミックと第四次産業革命により、社会の変化に適応し、新しい知識・価値を自ら創出することができる創造的な未来人材の養成がさらに重要になるにつれて発明教育を強化する必要性もさらに高まっている状況である。
そこで、韓国国民の発明活動を奨励し、教育現場での発明教育が拡大・強化されるように法律の適用範囲と対象を拡大し、発明教育に対する国等の義務を付与し、発明教育の専門教員等の養成と発明教育の支援組織・体系事項等を規定する等、現行制度の運営上現れた一部の不備を改善・補完しようとするものである。

主要内容

  1. この法律の目的を国民の発明活動を通じた創造性向上の他、産業財産権に対する理解の増進まで拡大する(案第1条)。
  2. 発明教育の定義について創造性を開発して発明を生活化する教育から、新しい発明を権利化して活用する教育まで拡大する(案第2条)。
  3. 発明教育の活性化を国及び地方自治団体の責務として規定し、地方自治団体の発明教育に関連する条例制定の根拠を設ける(案第3条の2新設)。
  4. 教員又は予備教員の発明教育に関する専門的能力を育てるために、教育大学・師範大学に発明教育に必要な教育課程の運営を支援する根拠を設け、発明教育の専門教員を認証できる認証制を導入する(案第9条)。
  5. 発明教育の支援機関を広域発明教育支援センターと発明教育センターに再編し、センター運営の充実化及び発明教育の品質向上のために敎育監は各センターに専担教員を配置するようにする(案第10条)。
  6. 発明教育開発院は、発明教育の活性化のための研究・開発及び支援を専担する機関としてその役割を明確にする(案第11条)。
  7. 大学の産業財産権専門人材の養成及び大学院の設立支援の根拠を補完する(案第12条)。
  8. 小・中学校の教育課程に発明及び産業財産権に関連する教科を編成するか、又は編成された教育課程の発明教育及び産業財産権教育を連携して運営する学校を発明教育の先導学校に指定して支援できるようにする(案第12条の2新設)。
  9. 生涯教育機関で実施する生涯教育課程に産業財産権教育が含まれるようにする(案第12条の3新設)。
  10. 産業財産権教育の支援対象を公務員・研究院等まで拡大する(案第13条)。
  11. 発明教育及び産業財産権教育を実施する各級学校等に教育にかかる費用を支援できるようにする(案第13条の2新設)。
  12. 発明教育の活性化に寄与した功労が著しい機関・法人・団体及び個人等を選定して褒賞できる根拠を設ける(案第14条の2新設)。
  13. 発明教育の活性化及び支援に関する法律の一部改正法律案

    発明教育の活性化及び支援に関する法律の一部を次のように改正する。

    第1条のうち、「育てることで」を「育てて産業財産権に対する理解を増進させることで」とする。
    第2条第2号のうち、「増進させながら」を「増進させ」に、「生活化するための」を「生活化し、それを権利化することができる能力を養う」とし、同条第3号から第4号までをそれぞれ第4号から第5号までにし、同条に第3号を次のように新設する。
    3.「各級学校」とは、「幼児教育法」第2条第2号による幼稚園、「小・中等教育法」第2条及び「高等教育法」第2条による学校を言う。
    第3条の2を次のように新設する。
    第3条の2(国及び地方自治団体等の責務)①国家は、発明教育の活性化のための施策を確立・施行しなければならない。
    ②地方自治団体は、国の施策と地域的特性を考慮して、地域別施策を確立・施行しなければならない。この場合、その施策の確立・施行に必要な事項は条例で定める。
    ③各級学校の長は学校の教育環境に適した範囲で発明教育の活性化のための活動を奨励することができる。
    第7条第1項各号以外の部分のうち、「『幼児教育法』第2条第2号による幼稚園、『小・中等教育法』第2条及び「高等教育法」第2条による学校(以下「各級学校」という。)の」を「各級学校の」とする。
    第8条各号以外の部分のうち、「児童等」を「児童、『学校外青少年支援に関する法律』第2条第2号による学校外の青少年、『多文化家族支援法』第2条第1号による多文化家族の子女及び『北朝鮮離脱住民の保護及び定着支援に関する法律』第2条第1号による北朝鮮離脱住民の子女」とする。
    第9条の題目「(教員の研究機会の提供等)」を「(教員等の専門性向上)」とし、同条第2項を第3項とし、同条に第2項・第4項及び第5項をそれぞれ次のように新設する。
    ②特許庁長は、教員又は予備教員の発明教育に関する専門的能力を育てるために「高等教育法」第2条による学校の発明教育と関連して必要な教育課程の運営等を支援することができる。
    ④特許庁長は、優秀な発明教育能力を備えた者を審査して発明教師として認証(以下「認証」という。)することができる。
    ⑤特許庁長は、認証を受けた者が虚偽やその他の不正な方法で認証を受けた場合には、その認証を取り消さなければならない。
    ⑥認証の基準、手続き、有効期限、その他の認証に必要な事項は、大統領令で定める。
    第10条の題目のうち、「発明教育センター」を「発明教育センターと広域発明教育支援センター」とし、同条第2項及び第3項を、それぞれ第4項及び第5項とし、同条に第2項及び第3項をそれぞれ次のように新設し、同条第4項(従前の第2項)のうちの「発明教育センター」を「発明教育センターと広域発明教育支援センター」とし、同条第5項(従前の第3項)のうちの「発明教育センター」を「発明教育センターと広域発明教育支援センター」とする。
    ②特許庁長は、敎育監と協議して、その市・道に設置された発明教育センターの運営を統括して体験・深化発明教育を専門的に遂行するための目的で、教育機関等に広域発明教育支援センターを設置・運営することができる。
    ③敎育監は教育部長官及び特許庁長と協力して、発明教育センター及び広域発明教育支援センターに発明教育の専門性を備えて運営を専担する指導教師を配置しなければならない。
    第11条第1項のうち、「第10条による発明教育センターの運営支援等、発明教育を効率的に研究・開発及び支援する」を「発明教育の活性化のための研究・開発及び支援を」とする。
    第12条の題目のうち、「養成支援」を「養成等」とし、同条第1項のうち、「支援し、産業財産権に関連する学科及び講座の設置及び運営を支援できる」を「努力しなければならない」とし、同条第2項を第4項とし、同条に第2項及び第3項をそれぞれ次のように新設する。
    ②特許庁長は、各級学校に産業財産権に関連する学科の設置・運営及び教科・講座の開設を支援することができる。
    ③特許庁長は、「高等教育法」第2条による学校に産業財産権の専門人材の養成を目的とする学部・学科・専攻及び大学院の設置・運営を支援することができる。
    第12条の2及び第12条の3をそれぞれ次のように新設する。
    第12条の2(先導学校等の指定・運営)特許庁長は、「小・中等教育法」第23条による学校の教育課程に発明及び産業財産権に関連する教科を編成するか、又は編成された教育課程に発明教育及び産業財産権教育を連携して運営する学校を発明教育の先導学校に指定して支援することができる。
    第12条の3(生涯教育との連携)国及び地方自治団体は、この法律の目的を達成するために必要な場合、「生涯教育法」第2条第2号による生涯教育機関で実施する生涯教育課程に産業財産権教育が含まれるように支援することができる。
    第13条の題目のうち、「中小企業」を「中小企業等」とし、同条各号以外の部分のうち、「中小企業の産業財産権の創出及び保護を」を「中小企業、『国家公務員法』第2条による公務員、『地方公務員法』第2条による地方公務員、『知識財産基本法』第3条第4号による公共研究機関等、産業財産権の教育が必要な者(以下この条において「中小企業等」と言う。)の産業財産権の創出・保護・活用能力を向上させる」とし、同条第1号及び第2号のうち、「中小企業」をそれぞれ「中小企業等」とし、同条第3号のうち、「企業別のカスタマイズ型」を「中小企業等の」とし、同条第4号のうち、「中小企業」を「中小企業等」とする。
    第13条の2を次のように新設する。
    第13条の2(経費支援及び補助)①国及び地方自治団体は、発明教育及び産業財産権教育を実施する各級学校・法人・団体・機関等に予算の範囲内で、その教育にかかる事業費及び運営費を支援するか、又は補助することができる。
    ②国及び地方自治団体は、学生と教員等の発明教育及び産業財産権教育に関する研究活動に対して、予算の範囲内で必要な経費を支援することができる。
    第14条の2を次のように新設する。
    第14条の2(褒賞)国と地方自治団体は、発明教育の活性化に寄与した功労が著しい機関・法人・団体及び個人等を選定して褒賞することができる。

    附則

    この法律は公布後6ヶ月が経過した日から施行する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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