知的財産情報(知財関連法律改正の動き) COVID-19ワクチン知的財産権の一時的免除への支持及び全世界的なワクチン共同開発を促す決議案(議案番号:2110069)

2021年05月12日

議案番号:2110069

提案日:2021年5月12日

提案者:チョン・ヒェスク議員外134人

主文

大韓民国国会は、全世界の人々の健康と生命を守るために、現在開発されたCOVID-19ワクチンに対する知的財産権の一時的免除を支持する。

全世界が一つの生活圏になっている今、COVID-19は特定の国で終息したとしても解決できる問題ではない。世界保健機関(WHO)憲章は、皆の健康のために国際社会の共助が必要であると強調しており、COVID-19という世界的な災害状況では、個々の企業や特定国の利益より、全世界の人々の健康と生命が優先されるべきである。

そこで、大韓民国の国会は、COVID-19の完全な終息とワクチンの不平等問題を迅速に解決するために次のように決議する。

  1. 大韓民国の国会は、世界中のCOVID-19の終息に向けて、少数の特定国がCOVID-19を解決することでは終息できないことを認識し、現在開発されたCOVID-19ワクチンに対する知的財産権の一時的免除を支持する。
  2. 大韓民国の国会は、WTOの164ヶ国の加盟国全体とワクチン開発会社がCOVID-19ワクチンに対する知的財産権の一時的免除に同意することを促す。
  3. 大韓民国の国会は、COVID-19の迅速な終息に向けてワクチンを開発した国と製薬会社が生産能力を備えた国にワクチン生産のために必要な技術と設備を支援することを促す。
  4. 大韓民国の国会は、国産ワクチンを開発するために、予算及び開発過程を国レベルで全面的に支援することを促す。
  5. 大韓民国の国会は、一時的に免除された知的財産権に基づいて、全世界の国と共同でCOVID-19ワクチンを早急に開発することを促す。

提案理由

最近フランシスコ・ローマ教皇は、人類の健康より市場の法則、知的財産権の法則を優先適用する個人主義は、また別の変異をもたらしてしまうと警告し、ワクチンに対する普遍的アプローチとワクチン知的財産権の一時的猶予を主張した。
ジョー・バイデン米政権とUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)も2021年5月6日にCOVID-19ワクチンにおける知的財産権の一時的免除を支持する立場を表明した。
全世界でCOVID-19ワクチンの接種が行われているが、まだCOVID-19の感染者と死者は減少していない。インドの場合、1日当たりの感染者が40万人を超え、1日当たりの死者も4,000人台を記録している。フィリピンは、新規感染者が連日1万人近く出ており、累積感染者は100万人を超えている。強力な封鎖措置を取っているが、ワクチンの確保と需給に困難しており、国家運営システムの崩壊に直面している。
現在、一部の国が全体のワクチンの相当数を独占している状況である。COVID-19のような感染症が発生すると一部の国による自国のワクチン接種は、根本的な解決策にならない。従って、現在開発されたワクチンの知的財産権を一時的に免除し、世界中の国々がワクチンを大量生産して同時に集団免疫を形成することでワクチンの効果が出るようになる。

技術開発と産業発展のために知的財産権を保護することは重要である。しかし、全世界の人々の生命と安全のために、COVID-19に関連するワクチンの情報を人道主義の観点で独占から共有に転換し、知的財産権を一時的に免除する必要がある。そのため、WTO(世界貿易機関)加盟国の164ヶ国が満場一致し、ワクチン開発会社が自発的に同意する必要がある。

また、知的財産権の一時的免除が全世界の国々によるCOVID-19ワクチンの大量生産につながるためには、生産に関連した諸技術と生産設備を同時に備えなければならない。ワクチンを開発した国と製薬会社が生産能力を備えた国々にワクチンの生産に必要な必須技術と設備を支援することが重要である。

そこで大韓民国の国会は、COVID-19ワクチンを開発するにあたって知的財産権の一時的免除を支持したフランシスコ教皇と米国政府の立場を支持し、WTO加盟国の164ヶ国全体とワクチン開発会社が知的財産権の一時的免除に同意することを促し、韓国国内でも韓国産ワクチンが開発されれば知的財産権を一時的に免除し、全世界の共同研究でCOVID-19ワクチンを開発することを促すためにこの決議案を提案する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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