知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2107638)

2021年01月26日

議案番号:2107638

提案日:2021年1月26日

提案者:ホン・ソングク議員外12人

提案理由及び主要内容

現行法は「商標法」上、商標のような標識を不正競争の目的ではなく、善意で先に使用した行為に対する別途の規定がなく、それを不正競争行為と見做して善意の先使用権を認めない。
そのため、後使用者が商標を登録するようなことで周知性を獲得する場合、善意の先使用者がこれまで使用してきた標識に対する使用禁止及び損害賠償請求をされる等、不正競争行為者として見做される実情であるため、善意の先使用者を保護する制度の確立が必要であると指摘されている。
また、現行法の規定解釈によると、後使用者の善意や悪意の区別なしに先使用者の行為を不正競争行為に該当するものと見做されるが、これは悪意の後使用者まで保護することに解釈できる。
そこで、善意の先使用者の使用権を認めるとともに、後使用者が先使用者にその者の商品と自己の商品の間における出所の誤認や混同を防止するのに必要な表示をすることを請求できるようにし、善意の先使用者を後使用者の使用禁止及び損害賠償請求から保護することで、健全な取引秩序の確立を図ろうとするものである(案第13条第1項及び第14条の8)。

法律第     号

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
第13条第1項のうち、「取引により営業秘密を正当に取得した者がその取引により許容された範囲でその営業秘密を使用するか、又は公開する行為に対しては」を「次の各号のいずれかに該当する場合には」とし、同項各号を次のように新設し、同条第2項のうち「第1項で」を「第1項第1号で」とする。
  1. 取引により営業秘密を正当に取得した者がその取引により許容された範囲でその営業秘密を使用するか、又は公開する行為
  2. 国内に広く認識されている他人の氏名、商号、商標、商品の容器・包装、その他他人の商品であることを表示した標識と同一であるか、又は類似のものを不正競争の目的なしに、その他人の標識が国内に広く認識される前から、継続して使用した者(その地位を承継した者を含む。以下「先使用者」という。)が、その標識を使用した行為
  3. 第14条の8を次のように新設する。
    第14条の8(先使用による標識を継続使用する権利)①第13条第1項による先使用者は、該当の標識を継続して使用する権利を有する。
    ②第1項の他人は、第1項により先使用者にその者の商品と本人の商品の間における出所の誤認や混同を防止するために必要な表示をすることを請求できる。

    附     則

    この法律は、公布後6ヵ月が経過した日から施行する。

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