知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 商標法の一部改正法律案(議案番号:2105023)

2020年11月06日

議案番号:2105023

提案日:2020年11月6日

提案者:チェ・スンゼ議員外15人

提案理由

現行法は、出願人が商標登録出願書に記載した指定商品のうち一部に対して拒絶理由がある場合、その指定商品を削除しなければ全ての指定商品に対する商標登録が拒絶される問題があるため、個人・中小企業等、拒絶理由通知に対する適切な対応が難しい出願人が商標権を確保できる機会を拡大する必要があるという指摘があった。
また、拒絶決定後、拒絶決定に対する審判手続が規定されているが、審査段階で拒絶理由を克服できる機会を拡大する必要があるという意見があり、現行の「特許法」のように拒絶決定書を受け取った後、再審査の請求制度を新設する必要がある。
さらに、現在の「特許法」は、出願人が再審査を請求する際にのみ、特許出願の補正が可能であり、補正の機会を過度に制限するという意見があるため、商標登録出願の場合、再審査の請求期間中に複数回の補正ができるようにして出願人の便宜を向上しようとするものである。

主要内容

  1. 商標登録出願に対する拒絶理由が一部の指定商品にのみある場合、拒絶理由がない残りの指定商品については商標登録を受けることができるようにする部分拒絶制度を導入する(案第55条)。
  2. 審査官の商標登録拒絶決定後、指定商品の範囲を減縮する等により、その拒絶理由を簡単に解消できる場合には、必ず審判手続を経ることなく、審査官に再審査を請求することができるようにする(案第55条の2新設)。
  3. 再審査の請求は、国際商標登録出願には適用しない特例規定を置く(案第193条の2新設)。

  4. 法律第     号

    商標法の一部改正法律案

    商標法の一部を次のように改正する。
    第40条第1項第1号を第1号の2とし、同項の第1号を次のように新設し、同項の第4号のうち、「第55条第1項・第3項」を「第55条第1項・第4項」とする。
    1.第55条の2による再審査を請求する場合:再審査の請求期間まで
    第41条第1項に第2号の2を次のように新設する。
    2の2.第55条の2による再審査を請求する場合:再審査の請求期間
    第55条第3項を第4項とし、同条に第3項を次のように新設する。
    ③審査官は、拒絶理由が指定商品の一部のみにある場合には、部分拒絶の趣旨を明示した拒絶理由を通知しなければならない。
    第55条の2を次のように新設する。
    第55条の2(再審査の請求)①第54条による商標登録拒絶決定を受けた者は、その決定の謄本の送達を受けた日から30日(第17条第1項により、第116条による期間が延長された場合には、その延長された期間をいう。)以内に指定商品又は商標を補正して、該当商標登録出願に関する再審査を請求することができる。但し、再審査を請求する際に、既に再審査による拒絶決定があるか、又は第116条による審判請求がある場合には、この限りでない。
    ②商標登録出願人は、第1項による再審査の請求とともに意見書を提出することができる。
    ③第1項により再審査が請求された場合は、その商標登録出願に対して従前に行われた商標登録拒絶決定は取り消されたものとみなす。但し、再審査の請求手続が第18条第1項により無効になった場合には、この限りでない。
    ④第1項による再審査の請求は取り下げることはできない。
    第57条第1項の各号以外の部分の本文のうち、「拒絶理由を発見することができない場合には」を「拒絶理由を発見することができない指定商品に対しては」とし、同項第2号のうち、「商標登録出願に対して」を「商標登録出願の指定商品に対して」とする。
    第68条のうち、「拒絶理由を発見することができない場合には」を「拒拒絶理由を発見することができない指定商品に対しては」とする。
    第83条第2項と第3項をそれぞれ第3項と第4項とし、同条に第2項を次のように新設し、同条第4項(従前の第3項)のうち、「第1項及び第2項」を「第1項から第3項までの規定」とし、同項の各号以外の部分にただし書を次のように新設する。
    ②第55条第3項により拒絶理由が指定商品の一部のみにあって拒絶理由を発見することができない残りの指定商品に対して商標権が設定登録され、拒絶理由がある一部の指定商品に対する商標登録拒絶決定が行われてから、その決定に対する審判などの手続きにより拒絶理由があった一部の指定商品に対しても拒絶理由を発見することができなくなり、該当指定商品に対する商標権が設定登録される場合、その商標権の存続期間の満了日は、残りの指定商品に対して先に設定登録された商標権の存続期間満了日とする。
    但し、第2項により設定登録された場合には、先に設定登録された商標権の設定登録日を基準にする。 第84条第1項のうち、「第83条第2項」を「第83条第3項」とする。
    第87条に第4項を次のように新設する。
    ④拒絶理由通知については、第55条第2項及び第3項を準用する。
    第88条第2項のうち、「第57条から第70条まで」を「第55条の2、第57条から第70条まで、第83条第2項」とする。
    第185条第2項のうち、「第40条第2項第4号」を「第40条第1項第1号・第2項第4号及び第41条第1項第2号の2」とする。
    第190条第2項のうち、「第55条第3項」を「第55条第4項」とする。
    第191条のうち、「場合には」をそれぞれ「指定商品に対しては」とする。
    第193条第1項のうち、「場合には」をそれぞれ「指定商品に対しては」とする。
    第193条の2を次のように新設する。
    第193条の2(再審査請求の特例)国際商標登録出願に対しては、第55条の2を適用しない。
    第210条に第4項を次のように新設する。
    ④拒絶理由通知については、第55条第2項及び第3項を準用する。
    第212条のうち、「第68条から第70条まで」を「第55条の2、第68条から第70条まで、第83条第2項」とする。

    附     則

    第1条(施行日)この法律は、公布後6ヶ月が経過した日から施行する。
    第2条(一般的適用例)この法律は、この法律の施行後に出願した商標登録出願から適用する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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