知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案(代案)(議案番号:2104166)

2020年09月23日

議案番号:2104166

提案日:2020年9月23日

提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

1.代案の提案経緯

  1. 2020年6月3日にチェ・インホ議員が代表発議した「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案」を第380回国会(臨時会)第2回産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2020年7月29日)に上程して提案説明と専門委員の検討報告を聞き、代替の討論(一般討論)を経て産業通商資源特許小委員会に回付し、2020年6月29日にソン・ガプソク議員が代表発議した「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案」を第380回国会(臨時会)第2回産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2020年7月29日)に上程して提案説明と専門委員の検討報告を聞き、代替の討論を経て産業通商資源特許小委員会に回付した。
  2. 第382回国会(定例会)第1回産業通商資源特許小委員会(2020年9月10日)で、以上の2件の法律案を審査した結果、それぞれの法律案を本会議に付議しない代わりに、一つの委員会の代案として統合することにする。
  3. 第382回国会(定例会)第3回産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2020年9月16日)で、産業通商資源特許小委員会が審査報告したように、2件の法律案をそれぞれ本会議に付議しないことにし、産業通商資源特許小委員会が設けた代案を委員会の代案として提案するように議決する。
  4. 2.代案の提案理由

    韓国の知的財産保護ランキング(スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2018年に発表)は、OECD加盟国及び新興開発国等計63ヶ国のうち、39位にとどまっており、知的財産権の保護が不十分な状況であり、大企業による中小企業の技術奪取及び競争国への技術流出現象等が深刻化している。
    第四次産業革命時代に備えるためには、国家競争力の中心的な要素である知的財産の保護を国レベルの課題として選定し、戦略的に対応する一方、違法行為の責任をより重くすることにより、市場の秩序を公正に維持する必要がある。
    そこで不正競争行為及び営業秘密の侵害に関連する韓国国内の産業及び市場の正確な実態を把握し、国レベルの中・長期基本計画を確立し、体系的に細部課題を推進できる法的基盤を設け、アイデア奪取行為に対する是正勧告の内容を公表させることで、公正な市場秩序に貢献しようとするものである。

    3.代案の主要内容

    1. 不正競争防止及び営業秘密保護のために、5年毎に、基本計画を確立するようにし、基本計画を実践するために、毎年実施計画を確立するようにする(案第2条の2及び第2条の3新設)。
    2. 基本計画及び実施計画の確立・実施のための基礎資料を確保するために、毎年実態調査を実施するようにし、関係機関に必要な資料の提出を要請できるようにする(案第2条の4新設)。
    3. 営業秘密保護事業範囲のうち、研究・教育及び広報を基盤構築事業に拡張して定義する(案第2条の5)。
    4. 不正競争行為及び営業秘密の侵害行為に対する調査を実施する際に、「発明振興法」による紛争調停が係属中である場合、調査を中止することができるようにし、紛争調停が成立された場合、調査を終結できるようにする(案第7条第3項及び第4項)。
    5. 違反行為における是正勧告の類型を多様化し、是正勧告を履行しなかった場合、違反行為の内容及び勧告の事実を公表することができるようにする(案第8条及び第9条)。
    6. アイデア奪取行為について懲罰的損害賠償を導入する(案第14条の2第6項)。

    7. 法律第     号

      不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案

      不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
      第2条の2を第2条の5とし、第2条の2から第2条の4をそれぞれ次のように新設し、第2条の5(従前の第2条の2)のうち、「研究・教育及び広報」を「研究・教育・広報等の基盤構築」とする。
      第2条の2(基本計画の確立)①特許庁長は、不正競争防止及び営業秘密保護(以下「不正競争防止等」という。)のために、5年毎に関係中央行政機関の長と協議を経て、不正競争防止等に関する基本計画を立てなければならない。
      ②基本計画には、次の各号の事項が含まれなければならない。
      1. 不正競争防止等のための基本目標及び推進方向
      2. 以前の不正競争防止等に関する基本計画の分析評価
      3. 不正競争防止等に関する国内外の与件の変化及び展望
      4. 不正競争防止等に関する紛争状況及び対応
      5. 不正競争防止等に関する制度及び法令の改善
      6. 不正競争防止等に関する国家・地方自治団体及び民間の協力事項
      7. 不正競争防止等に関する国際協力
      8. その他不正競争防止等のために必要な事項
      9. ③特許庁長は、基本計画を立てるために必要であると認める場合には、関係中央行政機関の長に必要な資料の提出を要請することができる。この場合、資料提出の要請を受けた関係中央行行政機関の長は、特別な事情がなければ、要求に従わなければならない。
        ④特許庁長は、基本計画を関係中央行政機関の長と特別市長・広域市長・特別自治市長・道知事・特別自治道知事(以下「市・道知事」という。)に通知しなければならない。
        第2条の3(施行計画の確立等)①特許庁長は、基本計画を実践するための細部計画(以下「施行計画」という。)を毎年確立・施行しなければならない。
        ②特許庁長は、施行計画の確立・施行に関して必要な場合、国家機関、地方自治団体、「公共機関の運営に関する法律」による公共機関、その他の法律に基づいて設立された特殊法人等の関連機関の長に協力を要請することができる。
        第2条の4(実態調査)①特許庁長は、基本計画及び施行計画の確立・施行のための基礎資料を確保するために、実態調査を毎年実施しなければならない。但し、必要と認める場合には、随時に実態調査を行うことができる。
        ②特許庁長は、関係中央行政機関の長と「技術の移転及び事業化促進に関する法律」による公共研究機関の長に第1項による実態調査に必要な資料の提出を要請することができる。この場合、資料提出の要請を受けた機関の長は、企業の経営・営業上秘密の保持等、大統領令で定める特別な事由がある場合を除いては、それに協力しなければならない。
        ③第1項による実態調査を行う場合、実態調査での具体的な資料作成の範囲等に関しては、大統領令で定める。
        第7条第1項のうち、「特別市長・広域市長・特別自治市長・道知事・特別自治道知事(以下「市・道知事」という。)」を「市・道知事」とし、同条第3項を第5項とし、同条に第3項、第4項及び第6項をそれぞれ次のように新設する。
        ③特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は、第1項による調査の進行中に調査対象者に対して調査対象と同一な事実で「発明振興法」第43条による紛争の調停(以下「紛争調停」という。)が係属中である事実を知った場合、両当事者の意思を考慮して、その調査を中止することができる。
        ④特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は、第3項による紛争調停が成立した場合には、その調査を終結することができる。
        ⑥その他、不正競争行為等の調査手続き等に関して必要な事項は大統領令で定める。
        第8条の題目「(違反行為の是正勧告)」を「(違反行為の是正勧告等)」とし、同条の題目以外の部分を第1項とし、同条第1項(従前の題目以外の部分)のうち、「その行為の中止や標識の除去若しくは廃棄すること等、その是正」を「違反行為の中止、標識等の除去や修正、今後再発防止、その他の是正」とし、同条第2項及び第3項をそれぞれ次のように新設する。
        ②特許庁長、市・道知事又は市長・郡守・区庁長は、違反行為をした者が第1項による是正勧告を履行しない際には、違反行為の内容及び是正勧告の事実等を公表することができる。
        ③第2項による公表の手続き及び方法等に必要な事項は、大統領令で定める。
        第9条の「是正勧告」を「是正勧告及び公表」とする。
        第14条の2第6項のうち、「営業秘密の侵害行為」を「第2条第1号ヌ目の行為及び営業秘密の侵害行為」に、「第11条にも」を「第5条又は第11にも」とする。
        第17条第2項のうち「第2条の2」を「第2条の5」に、「研究・教育・広報」を「研究・教育・広報等の基盤構築」とし、同条第4項のうち、「第7条第3項」を「第7条第5項」とする。

        附     則

        第1条(施行日)この法律は、公布後6ヶ月が経過した日から施行する。
        第2条(損害賠償に関する適用例)第14条の2第1項の改正規定は、この法律の施行後、第2条第1号ヌ目に該当する行為が発生した場合から適用する。

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