知的財産情報(知財関連法律改正の動き) デザイン保護法の一部改正法律案

2020年07月03日

議案番号:1418

提案日:2020年7月3日
提案者:パク・ボムゲ議員外13人

提案理由

知的財産権は、建物など不動産のような有体物とは異なり、形態のない無体財産権であるため、権利を侵害された際に、その価値を評価して適正な損害賠償を受けることが難しい。例えば、特定の建物に対する価値は公示地価、実際の取引価額など様々な評価指標などにより、侵害による損害を算定することが容易である反面、デザイン権の場合は、そのデザインが持つ経済的価値はデザイン権者の創作的な努力と消費者の評価によって決定されるため、その権利を侵害された場合、その損傷された価値に対する評価を受けることが難しい。
デザイン権者が相当な投資と努力を通じて創作されたデザインを保護することは、創作の奨励を通じて消費者の利用便宜と産業の発展を図る事にその目的がある。このように他人が創作したデザインを故意的に侵害して利益を得る行為は、創作者の創作意思を挫折させることであり、消費者の便宜低下はもちろんのこと、産業発展にも逆行する行為であるため、これを厳正に根絶する必要がある。
そこで、本改正法が施行された以降に侵害が発生した場合、他人の登録されたデザインを故意的に侵害した者に対し、その侵害により損害額として認められた金額の3倍以内で賠償額を賦課できるようにしてデザイン権者の効果的な権利救済を図るとともに、現行の損害額の算定方式の一つである通常的に受けることができる金額は市場の基準より低く算定され、適正な損害額が算定されていないという指摘があり、これを合理的に受けることができる金額に基準を変更し、損害額を市場の現実に合わせて算定できるように改善するものである。

主要内容

イ.デザイン権侵害に対する損害額の算定方式のうち、使用料の算定基準を「通常的に受けることができる金額」から「合理的に受けることができる金額」に変更する(法律案第53条第2項、第115条第4項)。
ロ.故意的にデザイン権者又は専用実施権者の権利を侵害した者に損害として認められた金額の3倍以内において賠償額を定めるようにした(法律案第115条第7項及び第8項新設)。

法律第 号

デザイン保護法の一部改正法律案

デザイン保護法の一部を次のように改正する。
第53条第2項のうち、「通常的」を「合理的」にする。
第115条第4項のうち、「通常的に」を「合理的に」にし、同条第7項及び第8項をそれぞれ次のように新設する。
⑦法院は、他人のデザイン権又は専用実施権を侵害した行為が、故意的なものであると認められる場合には、第1項から第6項までの規定に基づいて損害として認められた金額の3倍を超えない範囲で賠償額を定めることができる。
⑧第7項に基づき賠償額を判断する際には、次の各号の事項を考慮しなければならない。
1. 侵害行為した者の優越的な地位の有無
2. 故意又は損害発生の憂慮を認識した程度
3. 侵害行為によりデザイン権者および専用実施権者が受ける被害規模
4. 侵害行為により侵害した者が得た経済的利益
5. 侵害行為の期間・回数等
6. 侵害行為による罰金
7. 侵害行為をした者の財産状況
8. 侵害行為をした者の被害に対する救済努力の程度

附 則

第1条(施行日)この法律は、公布した日から施行する。
第2条(デザイン権又は専用実施権の侵害訴訟に関する適用例)第115条第7項及び第8項の改正規定は、この法律施行後に発生した違反行為から適用する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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