知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 不正競争防止及び営業秘密保護に関する一部改正法律

2019年01月08日

国会で成立した不正競争防止及び営業秘密保護に関する一部改正法律を公布する。

2019年1月8日 大統領 ムン・ジェイン

法律第16204号

不正競争防止及び営業秘密保護に関する一部改正法律

不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律一部を次のとおり改正する。

第2条第2号中「合理的な努力によって秘密に維持された」を「秘密として管理された」にする。

第14条の2に第6項及び第7項をそれぞれ次のとおり新設する。

⑥裁判所は営業秘密侵害行為が故意的なものと認められる場合には第11条にかかわらず、第1項から第5項までの規定に基づき、損害と認定された金額の3倍を越えない範囲で賠償額を定めることができる。

⑦第6項に基づく賠償額を判断する時に、次の各号の事項を考慮しなければならない。

  1. 侵害行為をした者の優越的地位の有無
  2. 故意、又は損害発生の憂慮を認識した程度
  3. 侵害行為によって営業秘密保有者が受けた被害規模
  4. 侵害行為によって侵害した者が得た経済的利益
  5. 侵害行為の期間・回数など
  6. 侵害行為による罰金
  7. 侵害行為をした者の財産状態
  8. 侵害行為をした者の被害救済努力の程度

第18条第1項及び第2項をそれぞれ次のとおりとする。

①営業秘密を外国で使う、又は外国で使われると知りながら、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、15年以下の懲役又は15億ウォン以下の罰金に処する。ただし、罰金刑に処する場合、違反行為による財産上の利益額の10倍に該当する金額が15億ウォンを超過すれば、その財産上の利益額の2倍以上10倍以下の罰金に処する。

  1. 不正な利益を得る、又は営業秘密保有者に損害を与える目的で行った次の各目のいずれかに該当する行為
    イ. 営業秘密を取得・使用する、又は第三者に漏洩する行為
    ロ. 営業秘密を指定された場所の外に無断で流出する行為
    ハ. 営業秘密保有者から営業秘密の削除・返還を要求されたにもかかわらず、これを保有し続ける行為
  2. 窃取・欺罔・脅迫、その他の不正な手段で営業秘密を取得する行為
  3. 第1号又は第2号に該当する行為が介入した事実を知りながら、その営業秘密を取得又は使用(第13条第1項に基づき、許容された範囲での使用は除く)する行為

②第1項各号のいずれかに該当する行為をした者は、10年以下の懲役又は5億ウォン以下の罰金に処する。ただし、罰金刑に処する場合、違反行為による財産上の利益額の10倍に該当する金額が5億ウォンを超過すれば、その財産上の利益額の2倍以上10倍以下の罰金に処する。

第18条の3第1項中「2千万ウォン」を「3千万ウォン」にし、同条第2項中「1千万ウォン」を「2千万ウォン」にする。

附則

第1条(施行日)この法は公布後、6カ月が経過した日から施行する。

第2条(損害賠償に関する適用例)第14条の2第6項及び第7項の改正規定は、この法の施行後、営業秘密侵害行為が始まる場合から適用する。

改正理由

企業の営業秘密保護を強化するために、保護対象となる営業秘密の要件を緩和するとともに、営業秘密侵害行為に対して損害額の3倍の範囲で懲罰的損害賠償制度を導入し、営業秘密侵害行為の類型を拡大し、営業秘密流出に対する罰則を引き上げるなど、現行制度の運営上に現れた一部問題点を改善・補完するためである。

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