知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 特許法一部改正法律

2019年01月08日

国会で成立した特許法一部改正法律を公布する。

2019年1月8日 大統領 ムン・ジェイン

法律第16208号

特許法一部改正法律

特許法一部を次のとおり改正する。

第65条第2項中「通常」を「合理的に」にする。

第126条の2を次のとおり新設する。

第126条の2(具体的行為態様提示義務)①特許権又は専用実施権の侵害訴訟で特許権者又は専用実施権者が主張する侵害行為の具体的行為態様を否認する当事者は、自らの具体的行為態様を提示しなければならない。

②裁判所は当事者が第1項にかかわらず、自らの具体的行為態様を提示することができない正当な理由があると主張する場合にはその主張の当否を判断するために、その当事者に資料の提出を命じることができる。ただし、その資料の所持者がその資料の提出を拒絶する正当な理由があれば、その限りではない。

③第2項に基づく資料提出命令に関しては第132条第2項及び第3項を準用する。この場合、第132条第3項中「侵害の証明、又は損害額の算定において必ず必要な時」を「具体的行為態様を提示できない正当な理由の有無の判断において必ず必要な時」にする。

④当事者が正当な理由なしで自らの具体的行為態様を提示しない場合、裁判所は特許権者又は専用実施権者が主張する侵害行為の具体的行為態様を真実なものと認めることができる。

第128条第5項中「通常」を「合理的に」にし、同条に第8項及び第9項をそれぞれ次のとおり新設する。

⑧裁判所は他人の特許権又は専用実施権を侵害した行為が故意的なものと認められる場合には第1項にかかわらず、第2項から第7項までの規定に基づき、損害と認められた金額の3倍を越えない範囲で賠償額を定めることができる。

⑨第8項に基づく賠償額を判断する時は次の各号の事項を考慮しなければならない。

  1. 侵害行為をした者の優越的地位の有無
  2. 故意、又は損害発生の憂慮を認識した程度
  3. 侵害行為によって特許権者及び専用実施権者が受けた被害規模
  4. 侵害行為によって侵害した者が得た経済的利益
  5. 侵害行為の期間・回数など
  6. 侵害行為による罰金
  7. 侵害行為をした者の財産状態
  8. 侵害行為をした者の被害救済努力の程度

第139条の2を次のとおり新設する。

第139条の2(国選代理人)①特許審判院長は産業通商資源部令で定める要件を満たす審判当事者の申請を受け、代理人(以下、「国選代理人」とする)を選任することができる。ただし、審判請求が理由のないことが明白である、又は権利の濫用だと認められる場合はその限りではない。

②国選代理人が選任された当事者に対し、審判手続きに関わる手数料を減免することができる。

③国選代理人の申請手続き及び手数料減免など、国選代理人の運営に必要な事項は産業通商資源部令で定める。

第207条第4項本文中「通常」を「合理的に」にする。

附則

第1条(施行日)この法は公布後、6カ月が経過した日から施行する。

第2条(具体的行為態様提示義務に関する適用例)第126条の2の改正規定は、この法の施行後、最初に請求される特許権及び専用実施権の侵害訴訟から適用する。

第3条(損害賠償請求権に関する適用例)第128条第8項及び第9項の改正規定は、この法の施行後、最初に違反行為が発生した場合から適用する。

第4条(他の法律の改正)実用新案法一部を次のとおり改正する。

第33条中「第139条、第140条」を「第139条、第139条の2、第140条」にする。

改正理由

特許審判で国選代理人選任の根拠を追加するとともに、特許権又は専用実施権の侵害行為に対して損害額の3倍の範囲で懲罰的損害賠償制度を導入し、実施料賠償規定を改正し、侵害行為に対して具体的行為態様提示義務を新設するためである。

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