知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 特許法一部改正法律案

2019年11月01日

議案番号:23543

提案日:2019年11月1日

提案者:共に民主党 洪宜洛(ホン・イラク)議員外10人

提案理由

特許審判は、3名または5名の審判官で構成される合議体が、準司法的手続きに従って特許紛争を解決する制度であり、審判官のうちから1名を審判長に指定し業務を遂行するようにしている。しかし、現在の職制上、審判長は高位公務員団に属する一般職公務員のうちから指定するようになっており、審判長の審理件数の過多により、合議体の実質的な合議が不可能であるという懸念がある。

一方、当事者間の紛争である特許無効審判などの当事者系審判の場合、より正確な争点把握と審判結果に対する当事者の受容度を高めるために、書面審理より口述審理をする必要があるものの、審判長の審理件数が過多であり、2018年には当事者系審判のうち、口述審理で進めた割合が13%に過ぎず、特許無効審判などの審理をより充実する必要がある。

これを受けて、重要性と難易度の低い一部の審判事件においては、高位公務員団に属する一般職公務員ではない審判官のうちから1名を審判長に指定することができるようにし、当事者系審判で口述審理を原則とする根拠規定を定め、特許審判の際に充実した審理および合議が行われるようにするためである。

主要内容

イ. 特許法施行令に委任し定めている審判官の資格のうち、職級に該当する事項を特許法において直接定めるようにする(案第143条第2項)。
ロ. 高位公務員団に属する一般職公務員を、審判事件を総括する審判長に指定するものの、特許取消申請と特許拒絶決定の不服審判事件については、高位公務員団に属する一般職公務員ではない審判官のうちから1名を審判長に指定することができるようにする(案第145条第1項)。
ハ. 特許無効審判、権利範囲確認審判など当事者系審判は、口述審理を原則とし、拒絶決定不服審判、訂正審判などの決定系審判は、書面審理を原則とすることとする(案第154条第1項および第2項)。

特許法一部改正法律案

特許法の一部を次のとおり改正する。

第143条第2項を次のとおりにする。

(2)審判官になることができる者は、特許庁又はその所属機関の4級以上の一般職国家公務員又は高位公務員団に属する一般職公務員として、大統領令で定める資格を有する者とする。

第145条第1項中、「うちから」を「うちから高位公務員団に属する一般職公務員として、大統領令で定める資格を有する者」とし、同項にただし書きを次のとおり新設する。

但し、第132条の2又は第132条の17の事件については、高位公務員団に属する一般職公務員ではない審判官のうちから1名を審判長に指定することができる。 第154条第1項を次のとおりにし、同条に第2項を次のとおり新設する。

(1)第133条から第135条まで、第137条及び第138条の審判は口述審理とする。但し、審判長は当事者や参加人の申請により又は職権で書面審理とすることができる。 (2)第132条の2の特許取消申請、第132条の17及び第136条の審判は、書面審理とする。

附則

この法は公布後6ヵ月が経過した日から施行する。

新旧条文対照表

現行 改正(案)
第143条(審判官)(1)(省略) 第143条(審判官)(1)(現行と同様)
(2)審判官の資格は、大統領令で定める。 (2)審判官になることができる者は、特許庁又はその所属機関の4級以上の一般職国家公務員又は高位公務員団に属する一般職公務員として、大統領令で定める資格を有する者とする。
(3)(省略) (3)(現行と同様)
第145条(審判長) (1)特許審判院長は、第144条第1項によって指定された審判官のうちから1 名を審判長に指定しなければならない。(ただし書きを新設) 第145条(審判長) (1)特許審判院長は、第144条第1項によって指定された審判官のうちから高位公務員団に属する一般職公務員として、大統領令で定める資格を有する者1 名を審判長に指定しなければならない。但し、第132条の2又は第132条の17の事件については、高位公務員団に属する一般職公務員ではない審判官のうちから1名を審判長に指定することができる。
(2)(省略) (2) (現行と同様)
第154条(審理等) (1)審判は、口述審理又は書面審理とする。ただし、当事者が口述審理を申請したときには、書面審理だけで決定することができると認められる場合以外には口述審理をしなければならない。 第154条(審理等) (1)第133条から第135条まで、第137条及び第138条の審判は口述審理とする。但し、審判長は当事者や参加人の申請により又は職権で書面審理とすることができる。
新設 (2)第132条の2の特許取消申請、第132条の17及び第136条の審判は、書面審理とする。
(3)~(9)(省略) (3)~(9)(現行と同様)

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