知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 商標法一部改正法律案

2019年10月29日

議案番号:23200

提案日:2019年10月29日

提案者:共に民主党 洪宜洛(ホン・イラク)議員外9人

提案理由

現行法上、商標の使用は商品の譲渡または引き渡しを前提にするが、占有の移転なしに電子的形態の商品をオンラインで提供する場合、商標の使用に含まれるか否かが不明であり、これを明白にするために商標の使用概念をオンライン上の提供行為まで拡大する必要がある。

また、商標登録拒絶決定を受けた後、商品補正などで拒絶理由を簡単に解消することができる場合には、別途の拒絶決定に対する審判手続きを行わないようにし、出願人の便宜を向上させる一方、審査官が商標登録決定を受けた出願に関して明白な拒絶理由を発見した場合、職権で商標登録決定を取り消し、その出願に対する再審査を可能にすることで、瑕疵のある商標の登録を防止し、商標の無効可能性を事前に防ぐためである。

主要内容

イ. 占有の移転なしに電子的形態の商品を電気通信回線によって提供する行為も、商標の使用と見なすこととする(案第2条第1項第11号ロ目)。
ロ. 商標登録決定後に審査官が明白な瑕疵を発見した場合、職権で再審査することができるようにする(案第68条の2新設)。
ハ. 審査官の商標登録拒絶決定後に商品の補正等でその拒絶理由を簡単に解消することができる場合には、審査手続きを行わずに審査官に再審査を請求することができるようにする(案第69条の2新設)。
二.「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第1号ヌ目が第2条第1号ル目に変更されたことを反映する(案第92条第2項)。
ホ.職権再審査及び再審査は、国際商標登録出願には適用しない特例規定を定める(案第193条第3項及び第193条の2新設)。

商標法一部改正法律案

商標法の一部を次のとおり改正する。

第2条第1項第11項ロ目中、「展示・輸出又は輸入する行為」を「展示・輸入・輸出するか、又は電気通信回線を通じて提供する行為」とする。

第40条第1項に第2号の2を次のとおり新設する。

2の2.第69条の2による再審査を請求する場合:請求するまで

第41条第1項各号以外の部分中、「期間内」を「期間内(第4号の場合にはその時)」とし、同項第2号中「通知」を「通知(第68条の2第2項による通知をした場合には、その通知前の拒絶理由の通知は除く)」とし、同項に第4号を次のとおり新設する。

4.第69条の2による再審査を請求する場合:請求する時

第55条第1項の全段中「第54項によって商標登録拒絶決定をしようとする場合には」を「次の各号のいずれか一つに該当する場合には」とし、同項に各号を次のとおり新設する。

1.第54条によって商標登録拒絶決定をしようとする場合
2.第68条の2第1項による職権再審査をして取り消された商標登録決定の前に、既に通知した拒絶理由で商標登録絶決定をしようとする場合

第68条の2及び第69条の2をそれぞれ次のとおり新設する。

第68条の2(商標登録決定後の職権再審査)(1)審査官は商標登録決定を受けた出願に関して明白な拒絶理由を発見した場合には、職権で商標登録決定を取り消し、その商標登録出願を再審査(以下、“職権再審査”という)することができる。但し、次の各号のいずれか一つに該当する場合には、この限りでない。

1.拒絶理由が第38条第1項に該当する場合
2.その商標登録決定によって商標権が設定登録された場合
3.その商標登録出願が取下げ又は放棄された場合

(2)第1項によって審査官が職権再審査をするためには、商標登録決定を取り消すという事実を商標登録出願人に通知しなければならない。

(3)商標登録出願人が第2項による通知を受ける前に、その商標登録出願が第1項第2号又は第3号に該当するようになった場合には、商標登録決定の取り消しは最初からなかったものと見なす。

第69条の2(商標登録拒絶決定後の再審査の請求)(1)第54条による商標登録拒絶決定を受けた者は、商標登録出願に関して拒絶決定謄本を送達された日から30日(第17条第1項により第116条による期間が延長された場合には、その延長された期間をいう)以内に、指定商品又は商標を補正して該当商標登録出願に関する再審査を請求することができる。但し、再審査を請求する時に既に再審査による拒絶決定があるか、第116条による審判請求がある場合には、この限りでない。

(2)商標登録出願人は第1項による再審査の請求と共に、意見書を提出することができる。

(3)第1項によって再審査が請求された場合、その商標登録出願に対して従来の商標登録拒絶決定は取り消されたものと見なす。但し、再審査の請求手続きが第18条第1項によって無効となった場合には、この限りではい。

(4)第1項による再審査の請求は取下げることができない。

第87条第2項の全段中、「第1項によって指定商品の追加登録拒絶決定をしようとする場合には」を「次の各号のいずれか一つに該当する場合には」とし、同項に各号を次のとおり新設する。

1.第1項によって指定商品の追加登録拒絶決定をしようとする場合
2.第68条の2第1項による職権再審査をして取り消された指定商品の追加登録決定の前に、既に通知した拒絶理由で指定商品の追加登録拒絶決定をしようとする場合

第88条第2項中、「第70条まで」を「第68条まで、第68条の2、第69条、第69条の2、第70条」とする。

第92条第2項中、「第2条第1号ヌ目の」を「第2条第1号ル目の」とする。

第193条の題目「(商標登録決定及び職権による補正の特例)」を「(商標登録決定、職権による補正及び職権再審査の特例)」とし、同条に第3項を次のとおり新設する。

(3)国際商標登録出願に対しては第68条の2を適用しない。

第193条の2を次のとおり新設する。

第193条の2(再審査請求の特例)国際商標登録出願に対しては、第69条の2を適用しない。

第210条第2項の全段中、「第1項により商品分類転換登録拒絶決定をしようとする場合には」を「次の各号のいずれか一つに該当する場合」とし、同項に各号を次のとおり新設する。

1.第1項によって商品分類転換登録拒絶決定をしようとする場合
2.第68条の2第1項による職権再審査をして取り消された商品分類転換登録決定の前に、既に通知した拒絶理由で商品分類転換登録決定をしようとする場合

第212条中、「第68条から第70条まで」を「第68条、第68条の2、第69条、第69条の2、第70条」とする。

附則

第1条(施行日)この法は公布後6ヵ月が経過した日から施行する。

第2条(一般的な適用例)この法は、この法の施行後に出願した商標登録出願から適用する。

第3条(商標登録決定後の職権再審査に関する適用例)第68条の2の改正規定は、この法の施行前に出願された商標登録出願として、この法の施行後に商標登録決定をする場合にも適用する。

新旧条文対照表
現行 改正(案)
第2条(定義) (1)この法で使用する用語の意味は次の通りである。 第2条(定義) (1)この法で使用する用語の意味は次の通りである。
1.~10.(省略) 1.~10.(現行と同様)
11.“商標の使用”とは、次の各目のいずれか一つに該当する行為をいう。 11.“商標の使用”とは、次の各目のいずれか一つに該当する行為をいう。
イ.(省略) イ.(現行と同様)
ロ.商品又は商品の包装に商標を表示したものを譲渡又は引き渡すか譲渡又は引き渡す目的で展示・輸出又は輸入する行為 ロ.商品又は商品の包装に商標を表示したものを譲渡又は引き渡すか譲渡又は引き渡す目的で展示・輸入・輸出するか、又は電気通信回線を通じて提供する行為
ハ.(省略) ハ.(現行と同様)
(2)~(4)(省略) (2)~(4)(現行と同様)
第40条(出願公告決定前の補正) (1)出願人は、次の各号の区分によるときまでは最初の商標登録出願の要旨を変更しない範囲で商標登録出願所の記載事項、商標登録出願に関する指定商品及び商標を補正することができる。 第40条(出願公告決定前の補正) (1)出願人は、次の各号の区分によるときまでは最初の商標登録出願の要旨を変更しない範囲で商標登録出願所の記載事項、商標登録出願に関する指定商品及び商標を補正することができる。
1.・2.(省略) 1.・2.(現行と同様)
新設 2の2.第69条の2による再審査を請求する場合:請求するまで
3.・4.(省略) 3.・4.(現行と同様)
(2)~(3)(省略) (2)~(3)(現行と同様)
第41条(出願公告決定後の補正) (1)出願人は、第57条第2項による出願公告決定謄本の送逹後に次の各号のいずれか一つに該当するようになった場合には、該当号で定める期間内に最初の商標登録出願の要旨を変更しない範囲で指定商品及び商標を補正することができる。 第41条(出願公告決定後の補正) (1)出願人は、第57条第2項による出願公告決定謄本の送逹後に次の各号のいずれか一つに該当するようになった場合には、該当号で定める期間内(第4号の場合にはその時)に最初の商標登録出願の要旨を変更しない範囲で指定商品及び商標を補正することができる。
1.(省略) 1.(現行と同様)
2.第55項第1項及び第87条第2項による拒絶理由の通知を受け、その拒絶理由に示された事項に対して補正しようとする場合:該当拒絶理由に対する意見書提出期間 2.第55項第1項及び第87条第2項による拒絶理由の通知(第68条の2第2項による通知をした場合には、その通知前の拒絶理由の通知は除く)を受け、その拒絶理由に示された事項に対して補正しようとする場合:該当拒絶理由に対する意見書提出期間
3.(省略) 3.(現行と同様)
新設 4.第69条の2による再審査を請求する場合:請求する時
(2)~(3)(省略) (2)~(3)(現行と同様)
第55条(拒絶理由通知) (1)審査官は、第54項によって商標登録拒絶決定をしようとする場合には、出願人に予め拒絶理由(同条各号のいずれか一つに該当する理由をいい、以下“拒絶理由”という)を通知しなければならない。この場合、出願人は、産業通商資源部令で定める期間内に拒絶理由に対する意見書を提出することができる。 第55条(拒絶理由通知) (1)審査官は、次の各号のいずれか一つに該当する場合には、出願人に予め拒絶理由(同条各号のいずれか一つに該当する理由をいい、以下“拒絶理由”という)を通知しなければならない。この場合、出願人は、産業通商資源部令で定める期間内に拒絶理由に対する意見書を提出することができる。
新設 1.第54条によって商標登録拒絶決定をしようとする場合
新設 2.第68条の2第1項による職権再審査をして取り消された商標登録決定の前に、既に通知した拒絶理由で商標登録絶決定をしようとする場合
(2)・(3)(省略) (2)・(3)(現行と同様)
新設 第68条の2(商標登録決定後の職権再審査)(1)審査官は商標登録決定を受けた出願に関して明白な拒絶理由を発見した場合には、職権で商標登録決定を取り消し、その商標登録出願を再審査(以下、“職権再審査”という)することができる。但し、次の各号のいずれか一つに該当する場合には、この限りでない。 1.拒絶理由が第38条第1項に該当する場合 2.その商標登録決定によって商標権が設定登録された場合 3.その商標登録出願が取下げ又は放棄された場合 (2)第1項によって審査官が職権再審査をするためには、商標登録決定を取り消すという事実を商標登録出願人に通知しなければならない。 (3)商標登録出願人が第2項による通知を受ける前に、その商標登録出願が第1項第2号又は第3号に該当するようになった場合には、商標登録決定の取り消しは最初からなかったものと見なす。
新設 第69条の2(商標登録拒絶決定後の再審査の請求)(1)第54条による商標登録拒絶決定を受けた者は、商標登録出願に関して拒絶決定謄本を送達された日から30日(第17条第1項により第116条による期間が延長された場合には、その延長された期間をいう)以内に、指定商品又は商標を補正して該当商標登録出願に関する再審査を請求することができる。但し、再審査を請求する時に既に再審査による拒絶決定があるか、第116条による審判請求がある場合には、この限りでない。 (2)商標登録出願人は第1項による再審査の請求と共に、意見書を提出することができる。 (3)第1項によって再審査が請求された場合、その商標登録出願に対して従来の商標登録拒絶決定は取り消されたものと見なす。但し、再審査の請求手続きが第18条第1項によって無効となった場合には、この限りではい。 (4)第1項による再審査の請求は取下げることができない。
第87条(指定商品の追加登録拒絶決定及び拒絶理由の通知) (1)(省略) 第87条(指定商品の追加登録拒絶決定及び拒絶理由の通知) (1)(現行と同様)
(2)審査官は、第1項によって指定商品の追加登録拒絶決定をしようとする場合には、出願人に拒絶理由を通知しなければならない。この場合、出願人は、産業通商資源部令で定める期間内に拒絶理由に対する意見書を提出することができる。 (2)審査官は、次の各号のいずれか一つに該当する場合には、出願人に拒絶理由を通知しなければならない。この場合、出願人は、産業通商資源部令で定める期間内に拒絶理由に対する意見書を提出することができる。
新設 1.第1項によって指定商品の追加登録拒絶決定をしようとする場合 2.第68条の第2第1項による職権再審査をして取り消された指定商品の追加登録決定の前に、既に通知した拒絶理由で指定商品の追加登録拒絶決定をしようとする場合
(3)(省略) (3)(現行と同様)
第88条(存続期間更新登録申請手続に関する準用) (1)(省略) 第88条(存続期間更新登録申請手続に関する準用) (1)(現行と同様)
(2)指定商品追加登録出願に関しては、第37条、第38条第1項、第39条から第43条まで、第46条、第47条、第50条、第53条、第57条から第70条まで、第128 条、第134条第1号から第5号まで及び第7号、第144条、「民事訴訟法」第143条、第299条及び第367条を準用する。 (2)指定商品追加登録出願に関しては、第37条、第38条第1項、第39条から第43条まで、第46条、第47条、第50条、第53条、第57条から第68条まで、第68条の2、第69条、第69条の2、第70条、第128 条、第134条第1号から第5号まで及び第7号、第144条、「民事訴訟法」第143条、第299条及び第367条を準用する。
第92条(他人のデザイン権等との関係) (1)(省略) 第92条(他人のデザイン権等との関係) (1)(現行と同様)
(2)商標権者・専用使用権者または通常使用権者は、その登録商標の使用が「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第1号ヌ目の規定による不正競争行為に該当する場合には、同じヌ目による他人の同意を受けなければその登録商標を使用することができない。 (2)商標権者・専用使用権者または通常使用権者は、その登録商標の使用が「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第1号ル目の規定による不正競争行為に該当する場合には、同じヌ目による他人の同意を受けなければその登録商標を使用することができない。
第193条(商標登録決定及び職権による補正の特例) (1)・(2)(省略) 第193条(商標登録決定、職権による補正及び職権再審査の特例) (1)・(2)(現行と同様)
新設 (3)国際商標登録出願に対しては第68条の2を適用しない。
新設 第193条の2(再審査請求の特例)国際商標登録出願に対しては、第69条の2を適用しない。
第210条(商品分類転換登録の拒絶決定及び拒絶理由の通知) (1)(省略) 第210条(商品分類転換登録の拒絶決定及び拒絶理由の通知) (1)(現行と同様)
(2)審査官は、第1項により商品分類転換登録拒絶決定をしようとする場合には、申請人に拒絶理由を通知しなければならない。この場合、申請人は産業通商資源部令で定める期間内に拒絶理由に対する意見書を提出することができる。 (2)審査官は、次の各号のいずれか一つに該当する場合には、申請人に拒絶理由を通知しなければならない。この場合、申請人は産業通商資源部令で定める期間内に拒絶理由に対する意見書を提出することができる。
新設 1.第1項によって商品分類転換登録拒絶決定をしようとする場合 2.第68条の第2第1項による職権再審査をして取り消された商品分類転換登録決定の前に、既に通知した拒絶理由で商品分類転換登録決定をしようとする場合
(3)(省略) (3)(現行と同様)
第212条(商品分類転換登録申請に関する準用) 商品分類転換登録申請に関しては、第38条第1項、第39条、第40条、第41条第3項、第42条、第50条、第68条から第70条まで、第134条第1号から第5号まで及び第7号を準用する。 第212条(商品分類転換登録申請に関する準用) 商品分類転換登録申請に関しては、第38条第1項、第39条、第40条、第41条第3項、第42条、第50条、第68条、第68条の2、第69条、第69条の2、第70条、第134条第1号から第5号まで及び第7号を準用する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195