知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 特許法一部改正法律案

2019年08月05日

議案番号:21841

提案日:2019年8月5日

提案者:民主平和党 チョウ・ベスク(趙培淑)議員外9人

提案理由および主要内容

現行法では、特許要件の一つとして産業上の利用可能性を挙げている。判例と特許庁の例規である「特許・実用新案審査基準」では医療行為に対する発明は、現行法上の特許要件である産業上の利用可能性がないという点を根拠に特許の対象から除外している。

しかし、最近、医療分野の産業化が進み、医療行為の特許可能の有無を産業上の利用可能性という問題として取り扱うのは論理性に欠けるため、医療行為の特許性の有無を法律に明示する必要性がある。

また、最近、シェアリングエコノミーの発展に伴い、特許権者が通常的な実施料より少ない補償金を受領しながら第三者に特許権の通常実施権を許諾する多衆に対する共有制度(Patent Pledge)が新しく登場している。

特許発明の共有を拡散することは、創意的な発明と技術の発展を促進する触媒になることがあるため、特許発明の共有に向けた法的根拠を新設する必要性がある。

これを受けて、人体を手術・治療または診断する方法に関する発明に対しては、特許を受けることができないように法律で明確に規定する一方、特許権者が通常実施料より少ない金額の補償金を受領する条件で第三者に通常実施権を許諾するという通知を特許庁長に行う場合、特許料を減免することができるようにする規定を新設するためである(案 第32条第2項、第83条第4項から第8項まで新設)。

特許法一部改正法律案

特許法の一部を次のとおり改正する。

第32条 題名以外の部分を第1項にし、同条に第2項を次のとおり新設する。

(2)人体を手術・治療又は診断(臨床的判断を含まない診断は除外する)する方法に関する発明に対しては特許を受けることができない。 第83条に第4項から第8項までをそれぞれ次のとおり新設する。

(4)特許庁長は、特許権者がその特許発明の実施に対して合理的に受けられる金額より少ない補償金を受領する条件で第三者に通常実施権を許諾するという通知を書面で行った場合は第79条にもかかわらず、産業通商資源部令の定めに基づいて特許料を減免する。この場合、特許権者が提示した補償金が過多であると判断する場合は、特許料を減免しないようにすることができる。

(5)特許権者は、特許権に対して専用実施権が設定された場合、第107条に基づく通常実施権の設定に関する財政の請求がある場合又は特許権の存続機関が5年未満残った場合は第4項に基づく通知をすることができない。

(6)特許庁長は、第4項に基づく通知がある場合は、産業通商資源部令の定めに基づいてこれを告示しなければならない。

(7)特許権者は、第三者が補償金を支給するという意思を表示した後は、第4項に基づく通知を撤回することができない。

(8)第4項に基づく通知の方法、補償金の支給の手続き、その他必要な事項は産業通商資源部令で定める。

附則

この法は公布後6ヵ月が経過した日から施行する。

新旧条文対照表
現行 改正(案)
第32条(特許を受けることができない発明)(省略) 第32条(特許を受けることができない発明)(1)(現行の題名以外の部分と同様)
新設 (2)人体を手術・治療又は診断(臨床的判断を含まない診断は除外する)する方法に関する発明に対しては特許を受けることができない。
第83条(特許料又は手数料の減免)(1)~(3)(省略) 第83条(特許料又は手数料の減免)(1)~(3)(現行と同様)
新設 (4)特許庁長は、特許権者がその特許発明の実施に対して合理的に受けられる金額より少ない補償金を受領する条件で第三者に通常実施権を許諾するという通知を書面で行った場合は第79条にもかかわらず、産業通商資源部令の定めに基づいて特許料を減免する。この場合、特許権者が提示した補償金が過多であると判断する場合は、特許料を減免しないようにすることができる。
新設 (4)特許権者は、特許権に対して専用実施権が設定された場合、第107条に基づく通常実施権の設定に関する財政の請求がある場合又は特許権の存続機関が5年未満残った場合は第4項に基づく通知をすることができない。
新設 (6)特許庁長は、第4項に基づく通知がある場合は、産業通商資源部令の定めに基づいてこれを告示しなければならない。
新設 (7)特許権者は、第三者が補償金を支給するという意思を表示した後は、第4項に基づく通知を撤回することができない。
新設 (8)第4項に基づく通知の方法、補償金の支給の手続き、その他必要な事項は産業通商資源部令で定める。

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