知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 実用新案法の一部改正

2016年03月04日

実用新案法の一部改正法律(法律第14034号)が2016年2月29日付で公布されましたので、お知らせします。

改正理由

登録実用新案の活用を高めるため、実用新案権の共有者は、契約で特別に約定した場合を除いては、他の共有者の同意を受けずに自分の持分全部を譲渡できるようにし、欠陥のある実用新案登録を予防するため、誰でも先行技術情報に基づいた実用新案登録取消の理由により実用新案登録取消申請をすれば、実用新案登録の取消可否を迅速に決定する実用新案登録取消申請制度を導入する等、現行制度の運営上現れた一部の不備を改善ㆍ補完することを目的とする。

主要内容

イ.職権再審査制度の導入(第15条)

審査官が実用新案登録決定をした後、明白な拒絶理由を発見した場合、職権で実用新案登録決定を取り消し、その実用新案登録出願を再度審査できるようにして、欠陥のある登録実用新案を事前に防止できるようにする一方で、権利保護の安定性に向け実用新案権が設定登録される前までに限って実用新案登録決定を取り消すことができるようする。

ロ.共有に係る実用新案権の持分譲渡の制限緩和(第28条)

実用新案権が共有に係る場合には、各共有者は他の共有者全員の同意を得なければ、自分の持分を譲渡し、又は質権を設定することができないため、実用新案権の持分譲渡等による利益創出の機会が遮断される問題点があるので、契約で約定した場合を除いては、他の共有者の同意なしに同一人にその持分の全部を譲渡し、又はその持分の全部を目的とする質権を設定することができるようにすることで、共有権者が持分をより容易に活用できるようにする。

ハ.実用新案登録取消申請制度の導入(第30条の2及び第30条の2新設)

1) 現在では、実用新案権の設定登録日から登録公告日後3ヵ月以内には誰でも実用新案登録無効審判を請求できるようにし、実用新案登録要件を具備していない実用新案登録を早期に無効にすることができるようにしているが、実用新案登録無効審判手続きが複雑であるため、活用度が低いという問題点がある。

2) 誰でも実用新案権の設定登録日から登録公告日後6カ月になる日まで先行技術情報に基づく実用新案登録取消事由により特許審判院長に実用新案登録取消申請をすれば、審判官が当該実用新案登録の取消可否を迅速に決定するようにする実用新案取消申請制度を導入することで、実用新案登録の検証を強化する。

施行日

公布の日より1年を経過した日から施行する。

改正全文は、韓国法制処のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにてご覧いただけます。

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