知的財産ニュース 韓国特許庁、女性による意匠出願が25年間5倍増
2025年9月15日
出所: 韓国特許庁
トレンド変化が速い物品分野を女性がリードする
韓国における意匠権の出願人3人のうち1人は女性であることがわかった。
韓国特許庁によると、1999年女性による意匠出願の割合は全体の7.6%に過ぎなかったが、2024年には35.4%と急増し、2025年上半期も同じ割合を占めた。25年間で5倍近く増えたことである。
同期間、特許·実用新案(5.2%→20.7%)、商標(14.3%→38.0%)においても女性による出願の割合が増えたが、割合の伸び率をみると意匠権が最も大きく増えている。
30代以下の女性による意匠出願が全体の半分以上を占める
コロナ禍以降、個人による出願件数が全体的に減少する中でも、いわゆるMZ世代と呼ばれる若者を中心に女性による出願件数は増加傾向にあり、デザイン業界の新しい成長エンジンになっている。
今年上半期の意匠出願の出願人を年齢別でみると、男性は50代の割合が最も大きくなっているが、女性は30代以下が半分以上(50.6%、2025年6月時点)を占めており、若年層の割合が大きくなっている。
トレンド変化に敏感な分野で女性の割合が大きい
物品分類※をみても男女間で明確な違いがわかる。男女ともに衣類およびファッション雑貨(第2類)の出願が多いのは共通だが、男性は家具(第6類)、建築ユニットおよび建設資材(第25類)など伝統的製造業を基にする物品が多いが、女性は文具類(第19類)、装飾用品(第11類)といった若い消費者の好みや最新流行を反映する分野での活躍が目立つ。
※意匠の物品分類:意匠物品を用途および機能、形態別に一定の体系によって分類したロカルノ国際分類を基準にしたもので、韓国は31の物品類を採用
とりわけ、食品(第1類)と文具類(第19類)では2022年から女性による出願が男性を上回っており、今年上半期にもそれぞれ63.9%、51.3%の割合を占めるなど同分野を女性がリードしている。
このような傾向は単に品目の好みというレベルを超えて、デジタルプラットフォーム基盤の市場環境変化にも関わる。オンラインショッピングが主な購入ツールとして定着し、SNSやオンラインコミュニティがコミュニケーションやトレンドをリードする主要空間になり、流行に敏感でオンライン空間に慣れている若い女性クリエイターがトレンドを先読み、アイデアを市場に反映しているということである。
さらにインフルエンサーによるマーケティングの拡散が加わり、製作·販売の進入障壁が低くトレンドの変化が速い物品分野で女性クリエイターの活動分野がより広くなっている。
特許庁の商標デザイン審査局長は「デザインはトレンド変化が最も早く反映される知財領域だと思う」とし、「女性クリエイターの活発な参加が産業全般の多様性と創意性を広げる契機になっている」と述べた。また、「今後も年齢と性別に関係なく多くの出願人の創意的活動が産業全般の革新につながるよう制度的支援とニーズに応じた政策を強化していく」と話した。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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