知的財産ニュース イ・ジェミョン政権、「国政運営5か年計画(案)」を発表
2025年8月13日
出所: 韓国特許庁
「国民が主人の国、ともに幸せな大韓民国」をつくります。
□大統領直属の国政企画委員会(イ・ハンジュ委員長)は8月13日水曜日午後、青瓦台迎賓館にて国民報告大会を開き、イ・ジェミョン政権の国政運営の青写真である「国政運営5カ年計画(案)」を発表した。
○イ・ジェミョン大統領も同日行事に参加し、国政企画委員会から「国政運営5カ年計画」の策定過程や主要内容について報告を受けた。
□「国政運営5カ年計画」は、国家ビジョンと3大国政原則、5大国政目標、123大国政課題、財政支援計画、立法推進計画などが盛り込まれ、
○児童・青少年、青年、お年寄り、女性、障害者、小規模事業者、ペットの飼い主など対象別に課題をそれぞれ示し、すべての国民の暮らしをより良い方向へと変化させるためのイ・ジェミョン政権の意志を強調した。
□新政権の国政運営が目指すべきである国家ビジョンとして「国民が主人の国、ともに幸せな大韓民国」が提示された。
○「国民が主人の国」とは、いつどこでも国民と疎通し、国民の主権意志を日常的に反映する国政を実現するとの意味を込めており、
○「ともに幸せな大韓民国」とは、すべての国民の幸せを政策の最優先価値とするとの意志を込めている。
□3大国政原則としては、「傾聴と統合」、「公正と信頼」、「実用と成果」が設定された。
○これは「傾聴」を基に対立と分裂を解消し、国民に約束したことを守る信頼の国政、「実用」を基に国民の暮らしを変化させる成果中心の国政を実践するとの意味を含めている。
□5大国政目標としては、「国民が一つになる政治」、「世界をリードする革新経済」、「みんなが豊かになる均衡成長」、「基本が堅固な社会」、「国益中心の外交安保」が定められ、5大国政目標下で23大推進戦略と123大国政課題を示した。
□123大国政課題は国民との約束である公約と政策発表文を中心に、
○国民主権委員会「みんなの広場」に寄せられた政策提案と、21大大統領選挙の中で締結された各種政策協約、野党が示した公約の中で与党の公約と類似する内容、主要国政懸案課題についても踏み込んだ検討を経て反映した。
□5大国政目標別の国政課題の主要内容は次の通りである。
①国民が一つになる政治
○国民が一つになる政治とは、権力機関を国民の元に戻す改革を完成し、分裂と対立がまん延する大韓民国を傾聴と疎通を基にみんなの共同体に統合することを目標とする。<「国民が一つになる政治」の主要内容>
▪国民主権の憲法精神を具現する新しい憲政体系の実現に向け改憲を推進する。
▪検察・警察・監査院など権力機関において集中された権限を改革する。
▪軍による政治的介入を防止し、軍を国民主権を守護する機関として革新する。
▪公営放送における支配構造の改善などにより、放送・メディアにおいて公共性・自律性・信頼性を回復させる。
▪国民による国政参加や熟議公論を活性化し、歴史問題の真相究明や犠牲者・遺族の名誉回復を図ることで、国民統合の基盤を確立する。
▪報勲補償体系を見直し、報勲医療上の抜け穴を解消し、独立有功者とその遺族に対する礼遇を強化する。
▪国民に忠直し有能な公職者が優遇される環境をつくり、積極的な苦情処理により国民の期待に応える行政サービスを提供する。
▪政府の財政運用体系を革新し、公共機関において経営の自律・責任を強化させることで、透明かつ効率的な国政運営を推進する。
▪国民の命・安全を保護する規制を補完し、理不尽な規制は解消することで、国民生活の安定と内需活性化を図るための規制の合理化を推進する。
②世界をリードする革新経済
○世界をリードする革新経済とは、人工知能(AI)・バイオなど未来の新産業を育成することで、低成長の危機を乗り越え、持続可能なエネルギー転換により、韓国経済の再跳躍を率いることを目標にする。<「世界をリードする革新経済」の主要内容>
▪AI高速道路、独自AIのエコシステムを構築し、次世代AI半導体・AI源泉技術の先取りや最高級のAI人材を確保することで、AIを基にした真の成長をけん引する。
▪個人情報保護体系の確立、誤用・乱用への対応などAIインフラの信頼性を高め、公共データの積極的な公開などにより、世界1位AI政府を実現する。
▪R&D予算の拡大、研究に専念できる基礎研究環境づくり、主要人材の体系的な育成・誘致により、科学技術5大強国を実現する。
▪AI・バイオヘルスなど未来戦略産業を新しい成長エンジンとして育成し、半導体・二次電池など主力産業の革新を推進する。
▪ベンチャー投資市場の拡大、スタートアップへの集中的な育成などにより、経済の活力を高め、中小企業がグローバル企業へと跳躍するよう成長のはしごをかける。
▪国家コア産業(AI・バイオヘルス・再生エネルギーなど)に対する規制のゼロ化とネガティブ規制への転換を推進し、メガ特区の導入により、地域革新をけん引する。
▪100兆ウォン規模の国民成長ファンドを組むなど、未来戦略産業への投資を強化し、ベンチャー・中小企業が革新をリードする金融エコシステムをつくる。
▪ワンストライク・アウト制の導入などにより、資本市場において不公正取引を厳しく取り締まり、市場において商法の安定的な定着を図ることで、信頼できる投資環境をつくる。
▪エネルギー高速道路を迅速に建設して産業部門においてRE100を達成し、経済・社会の全分野におけるカーボンニュートラル、気候危機への対応能力を高める。
③みんなが豊かになる均衡成長
○みんなが豊かになる均衡成長とは、地域・階層間での不平等を解消し、首都圏と地方、大企業と中小企業、労働者と経営者がともに成長できる「自治分権を基に均衡成長する国」を実現することを目指す。<「みんなが豊かになる均衡成長」の主要内容>
▪5極3特中心の革新・雇用の拠点づくり、広域交通網の連携、行政首都世宗(セジョン)の完成、第2次公共機関の移転により、みんなが豊かになる大韓民国を実現する。
▪中央権限の果敢な地方移譲や国税-地方税の割合を7:3まで改善するなど、地方財政の拡充により実質的な自治分権体系を確立する。
▪住民自治会の本格運用、「住民選択型邑(ウプ)・面(ミョン)・洞(ドン)長制」を試行実施することで、草の根民主主義の力を強化する。
▪地域教育の革新と少子化地域の状況に応じた支援により、地域人材を育成し、人口流入の好循環体系を作ることで、地域における持続可能性を確保する。
▪庶民・零細事業者の債務調停、および、金融利用サービスの制限を緩和することで経済的に自立する機会を与え、経営・金融負担の緩和、地域商圏の活性化を図ることで国民経済の活力を高める。
▪公的住宅の供給拡大、新婚夫婦・高齢者・単独世帯のニーズに応じた住居支援により、国民の住居安定を実現する。
▪韓国型証拠開始制度の導入により、中小企業にとって訴訟における立証負担を緩和し、技術奪取行為制裁の強化、および、専担支援体系をつくる。
▪共生共存するプラットフォーム業界のエコシステムをつくり、経済的弱者の交渉力強化、および、大手企業による私益騙取の根絶などを実現し、公正な市場秩序を確立する。
▪民事的不公正行為の抑止手段の強化、および、消費者団体訴訟の活性化、紛争調停制度の先進化などにより、中小企業・消費者の被害救済の実効性を高める。
▪結婚式場・スポーツジムなど日常生活の中で消費者の権益を保護し、同じ類型の金融事故が繰り返し発生することを防ぐために金融会社の責任を強化する。
▪K-フードの輸出拡大、食糧安保の強化など農漁業を国家戦略産業として育成し、所得・災害安全網の強化、農漁業における基本所得の導入など、暮らしたい農山漁村を実現する。
④基本が堅固な社会
○基本が堅固な社会とは、暮らしの基本的な要素を支えるために所得・住居・医療・ケアが保障され、安全され尊重される社会環境の中で誰もが創意的な文化を享受し、各々の可能性を実現する社会具現を目標とする。<「基本が堅固な社会」の主要内容>
▪生命安全基本法の制定など国民安全における国の責任を強化し、大規模な社会災害や気候危機による自然災害からの被害を最小限にする。
▪産業災害を実効的に予防することで事故による死亡率をOECD平均水準まで減らし、産業災害保険対象の拡大、および、判定期間の短縮など、産業災害において国の責任を実現する。
▪基礎生活保障制度の改善、AIを利用した福祉対策、障害者向け支援体系の構築などにより、抜け目のない社会安全網を構築する。
▪施設や病院に入院せずに、自宅で老後を過ごすよう在宅ケアサービスの拡充など、地域社会における統合ケア体系を構築する。
▪公共病院の革新・拡充、必須医療における保障体系の改善、地域別・科目別の医療格差の解消、小児・応急医療体系の改編など、地域・必須・公共医療を強化する。
▪負担になる介護費用、糖尿病、難病、精神疾患などへの支援を拡大する。
▪雇用・住居・資産・教育・福祉など若年層の暮らしの全般にわたって支援を強化する。
▪5人未満の事業場など労働関係法の段階的な適用の拡大、労働組合法2・3条改正、賃金滞納の根絶、同一労働同一賃金の明文化など、雇用先での基本権利を保障する。
▪実稼働時間を短縮するための政府レベルでのロードマップの作成・施行、有給使用の活性化、低所得層向け出産前後の休暇の追加付与など、暮らしと仕事の両立を支援する。
▪交際相手暴力・ストーキング、デジタル性犯罪など暴力被害者への支援強化、性・再生産健康権の保障により女性の安全と権益を向上する。
▪公教育の全般にわたって国家責任を強化することで、教育格差の解消、および、保護者への負担の軽減、市民教育の強化により民主市民としての意識向上を高める。
▪教員・生徒・保護者が尊重・協力し合う民主的な学校運営の基盤をつくり、教員の権利保護、および、安全な学校環境づくりなど、みんなのための学校文化を確立する。
▪K-コンテンツにおけるコア産業(映像・音楽・ゲームなど)、および、関連産業(ビューティ・フード・観光)の育成、文化芸術の創作・享受の基盤づくりの強化により、K-カルチャー300兆ウォン・インバウンド客3千万時代を実現する。
⑤国益中心の外交安保
○国益中心の外交安保とは、堅固な韓米同盟と精鋭軍事力を基盤に韓半島における平和の定着と国益を最優先する実用外交により、国際社会における議題を主導するグローバルリーダーとして跳躍することを目標とする。<「国益中心の外交安保」の主要内容>
▪北朝鮮核問題・ミサイル・サイバーなど攻撃に備えた精鋭軍事力を構築し、人口減少と国防環境の変化に対応する攻防改革を推進する。
▪防衛産業界のベンチャー中小企業の育成、防衛産業におけるR&D拡大など、K-防衛産業の能力強化により、防衛産業4大強国へと跳躍をけん引する。
▪南北関係を和解・協力へとシフトし、多方面での南北交流協力と平和共存の制度化を図ることで「韓半島リスク」を「韓半島プレミアム」にシフトする。
▪社会的対話の活性化と平和・統一・民主市民教育により、国民とともに考える対北・統一政策を推進する。
▪国益中心の実用外交の基調の下、韓米同盟の高度化、周辺国との関係発展、外交の多変化を推進し、非核化、および、持続可能な韓半島の平和体制を構築する。
▪経済外交の能力強化、多国間協議体における議論の主導、および、外交の多変化により、G7+外交強国を実現する。
□国政企画委員会は、新政権の国政哲学を集約的に具現する12大重点戦略課題についても示した。
○重点戦略課題とは、国民的関心が高く成果の実効性が高い核心的課題として、政策需要者の観点から国政課題を再構造化して構成した。
○これらの課題は、多部処・多分野にわたる課題を中心に構成し、政府レベルで政策資源を集中的に投入して成果を生み出していく方針だ。
課題名 | 分野 |
---|---|
①潜在成長率を反騰させる真の成長戦略 ②コリアプレミアムの実現により、KOSPI5000時代へと跳躍 ③AI3大強国へと跳躍する「みんなのAI」時代 ④エネルギー高速道路による経済成長とカーボンニュートラルの並行達成 |
経済 |
⑤国民の暮らしを守る基本社会 ⑥人口危機への積極的な対応による持続・均衡成長 ⑦グローバルソフトパワー5大文化強国の実現 ⑧国の成長を率いる人材強国 ⑨災害と事故から安全な生命尊重の社会 |
社会・文化 |
⑩自治分権基盤の「5極3特」中心の国に向けた均衡成長 ⑪持続可能な韓半島における平和共存の基盤構築 ⑫参加と疎通による国政運営を行い、国民統合の政治を実現 |
共通基盤 |
□また、核心的公約、および、主要な国政課題を履行するために「2025年予算比5年間(2026年~2030年)210兆ウォンを追加投資する財政投資計画を作成し、税入拡充、支出効率化の向上などにより、5年間210兆ウォンの財源を調達して追加的な財政の負担なく政策を支える計画だ。
○制定・改正が必要な法令は計951件であり、このうち法律の87%(634/731件)を来年まで国会に提出し、下位法令の81%(178/220件)を来年まで見直す計画だ。
□国政課題を効果的に履行するために、国家未来戦略委員会(仮名)・大統領室・国務調整室を中心に国政課題の履行状況を持続的に点検し、調整・補完する体系を構築する計画だ。
○並びに、国政課題に関して国民からの意見を反映する窓口をつくり、国政管理システムを通じて国政課題の履行状況を常時モニタリングする一方、点検の結果について国務会議で報告することにした。
□地域公約についても国政企画委員会の中の均衡成長特委員会にて自治体からの意見収集、部処からの検討を経て17の市・道別の「7大公約、15大推進課題」を具体化し、推進方向を作成した。
○今後、地方時代委員会にて関係部処、自治体などと連携して地域公約の履行を総括・支援していく方針であり、今後、国家均衡成長総合計画(5年単位)にも地域公約を反映して体系的に管理する計画だ。
□一方、同日開かれた国民報告大会において国政企画委員長をはじめ、委員会の主要参加者は国政運営5カ年計画の主要内容について自ら説明し、国民との疎通を図った。
○イ・ハンジュ委員長は、イ・ジェミョン政権発足の意味と国政課題の策定、国家ビジョンと5大国政目標などについて紹介し、国政運営5カ年計画が持つ意味と主要内容について説明した。
○イ・へシク政治行政分科長は、国民的な関心の高い検察・警察の改革、国民の命と安全を最優先する国家的な責務の拡大、草の根民主主義の実現に向けた自治分権の強化、忠直かつ有能な政府を実現するための革新的課題について説明した。
○ジョン・テホ経済1分科長は、成長動力の回復と潜在成長率の反騰に向けた「大韓民国の真の成長戦略」について説明し、3+1真の成長戦略※と核心的課題を示した。
※①技術先導成長、②みんなの成長、③公正な成長という3つの軸を中心に成長を支える生産的金融市場づくりなど持続可能な成長基盤の強化
○ソン・ギョンヒ経済1分科長は、AI高速道路の構築による産業・地域・公共サービスにおけるAI大転換、エネルギー高速道路の建設によりRE100産業団地の造成、および、再生可能エネルギーの拡大、科学技術人材の確保、ベンチャー投資額の年間40兆ウォン達成、先端産業エコシステムづくりなど、未来の成長動力を生み出すための国政課題について説明した。
○キム・ナミ社会1分科の企画委員は、「国民の暮らしを守る基本社会」という目標の下、地域社会における統合ケア、必須医療の拡充と公共医療の強化、労働安全保健体系の構築など、保健・福祉、雇用・労働、性平等、報勳分野における22の国政課題について説明した。
○ホン・チャンナム社会2分科長は、ソウル大学10校設立、Kカルチャー市場規模300兆ウォン、インバウンド客3千万人達成、放送における公共性の回復とメディアの主権向上、2030温室効果ガスの削減目標の達成など、「公正な教育、世界の中のK-カルチャー、健康な環境、信頼されるメディア」を実現するための主要課題について説明した。
○ホン・ヒョンイク外交安保分科長は、「国益中心の外交安保」を目標に、3軸の防御体系の高度化、任期中に戦時作戦統制権の転換、K-防衛産業4大強国への跳躍、南北関係の正常化、国民から共感を得る統一政策、国益中心の実用外交など、国防・防衛産業、統一、外交分野における国政課題と主要内容について説明した。
○パク・スヒョン国家均衡成長特別委員会委員長は、「自治分権基盤の5極3特中心の国家均衡成長戦略」とこれを支えるガバナンス・財政・制度の革新課題を紹介し、市道別7大公約・15大推進課題の内容が盛り込まれた地域公約の推進方向について説明した。
○パク・ホングン国政企画分科長は、12大重点戦略課題の主要内容と後続措置計画について説明する一方、国政課題の推進により変化する国民の暮らしについて分野ごとに説明した。
○ジン・ソンジュン副委員長は、国政課題を支障なく推進するための財政支援計画(財政投資計画+財源調達計画)と今後の立法推進計画などについて説明した。
○ユン・チャンリョル副委員長(国務調整室長)は、国政課題の成果を国民が体感できるよう体系的な後続管理の重要性を強調し、関係機関との連携体系を構築するなど効果的な国政課題の管理方策と公職社会における共有・拡散の方策、国民との疎通計画などについて説明した。
□同日、国政企画委員会が発表した123大国政課題(案)は政府からの最終的検討と国務会議を経て確定される予定だ。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195