知的財産ニュース 韓国における先端技術採用の医療機器の特許出願が直近10年間42%増
2025年8月6日
出所: 韓国特許庁
中小企業と個人による出願が全体の51.4%を占める
#A社は手首につける装置(ウェアラブルデバイス)で体温、心拍数、心電図などユーザーの健康情報を受信して特定の数値以下になるとユーザーに適切な対応をとるよう案内し、特定の数値以上の場合はネットワークでつながっている外部の医療機関にその情報を知らせる技術により、ウェアラブルデバイス分野で特許を受けた。
#B社は患者が遠隔診療を予約するとその時間に医療関係者から診療を受けた後、処方された薬が配送される、人工知能基盤の遠隔診療予約サービスの提供サーバー技術に関する特許を受けた。
#C大学の研究チームは天井埋め込みエアコンに設置され、患者の健康状態をチェックし遠隔診断サービスを提供する、人工知能基盤健康モニターリング装置に関する特許を受けた。
今年、韓国における医療機器の輸出規模が前年比7.4%増加した約62億5,000万ドル(約8兆6,500億ウォン)に達すると見込まれる(出典:韓国保健産業振興院)中、人工知能、ウェアラブル技術など先端技術を活用して機能性や利便性を高めた医療機器分野技術関連特許が2015年以降10年で大きく増えていることがわかった。
韓国特許庁は、直近10年間(2015年~2024年)における医療機器分野の特許出願の動向を分析したところ、2015年9,336件から2024年13,282件と10年で約42%増加していると発表した。これは同期間、全体技術分野の特許出願件数が約12%増加※したことと比べて約3.5倍高い数値である。
※(2015年)222,405件→(2024年)248,687件
生体計測機器14.6%と1位、出願伸び率は医療情報機器が最も高い
直近10年間最も多く出願された医療機器の類型は生体計測機器(例:心拍数、血圧などさまざまな生体信号を測定できるバイオセンサー採用のウェアラブル電子装置)であり、計17,514件(14.6%)に達する。その次は、手術治療機器(14.0%)、医療情報機器(13.7%)、医療用品(11.9%)である。これら4つの技術分野が全体医療機器の特許出願の半分以上(54.2%)を占めている。
出願伸び率でみると、最も高い分野は医療情報機器であり、年平均21.9%ずつ増加している。とりわけ、遠隔診療(例:人工知能基盤オンライン診療システムなど)に関連する医療情報機器の特許出願が92.6%を占め、出願伸び率に影響を与えていることがわかった。医療情報機器の次に麻酔呼吸機器(5.6%)、生体計測機器(5.5%)などの順となっている。
中小企業と個人による出願が全体の51.4%を占める…最も出願件数が多いのはサムスン電子
出願人を類型別でわけると、中小企業31.7%(37,925件)、個人19.7%(23,554件)、外国法人19.6%(23,375件)、大学・研究機関19.1%(22,806件)の順であり、全体出願の51.4%を占めている中小企業と個人が医療機器分野においてイノベーションをリードしている。
一方、出願件数が最も多い出願人はサムスン電子(株)であり、延世(ヨンセ)大学、高麗(コリョ)大学、オステムインプラント(株)の順である。技術類型別でみると、生体計測機器とリハビリ補助器具分野はサムスン電子(株)、体外診断機器と医療情報機器は延世大学、映像診断機器はサムスンメディスン(株)、歯科機器はオステムインプラント(株)、治療補助機器は(株)ボディフレンドが1位となっている。
特許庁の化学生命審査局長は「最近、人工知能、ウェアラブル技術など先端技術を医療機器に採用するなど、研究開発が活発に行われ、特許出願件数も増えている」とし、「今後も特許庁は韓国の医療機器産業の競争力強化に向け特許分析結果を産業界と緊密に共有するなど、積極的に努力する」と述べた。
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