知的財産ニュース 韓国特許庁の技術警察、二次電池技術を海外に流出した元大企業関係者3名を起訴

2025年7月28日
出所: 韓国特許庁

特許庁・検察・国家情報院間の緊密な連携と被害企業からの協力により海外流出を防止

韓国特許庁技術デザイン特別司法警察(以下、「技術警察」)と大田(テジョン)地方警察庁特許犯罪調査部は28日、国家先端戦略技術が含まれた二次電池関連資料を許可なく流出した韓国系二次電池大手企業の元チーム長A氏(48歳、拘束)など計3名に対し「国家先端戦略産業の競争力強化及び保護に関する特別措置法」、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」などを違反した疑いで起訴したと発表した。

在宅勤務用PCなどで二次電池関連資料約3,000枚を撮影

技術警察によると、A氏は2023年10月頃、代理人C氏(35歳、不拘束)からの紹介で海外の素材メーカーの代表に会い転職を考えていたところ、2023年11月に免職になったことで退職を決意し、2023年11月から2024年2月退職日まで在宅などで業務用PCを使い被害企業の仮想PCにアクセスして不法撮影する手法で被害企業から資料を許可なく流出し、2024年10月頃には被害企業に在職中のB氏(45歳、不拘束、2024年12月退職)から追加の資料を不正に取得した疑いがある。

A氏が流出した資料には、二次電池セルの設計情報(現在、数兆ウォン~十数兆ウォン相当の契約を推進中)、製品・技術開発、製造・原価のロードマップといった中長期の総合戦略資料、負極在などコア素材の開発情報(評価、単価、協力会社との運営方策など)が盛り込まれ、画像ファイルは約3,000枚であり、その一部は国家先端戦略技術および国家コア技術に当たる資料だという。

万が一、A氏が不正入手した資料の中で国家先端戦略技術など主要情報が含まれた内容が海外に流出されてしまったとすれば、企業が受ける十数兆ウォン相当の契約による被害、莫大な研究・開発の費用、国内の二次電池産業エコシステムに与える影響などを鑑みると、その被害規模は予測できないほど大きくなると思われる。

技術警察‐検察‐国家情報院間で緊密な協力と被害企業からの積極的な協力による成果

技術警察は2024年11月、国家情報院産業機密保護センターからA氏の犯罪行為に関する情報を収集して即時捜査に取り掛かり、2024年12月A氏の自宅を家宅捜索して約3,000枚に至る画像ファイルや関連証拠を確保した。その後、証拠分析を行い、A氏が被害企業の社員B氏から追加の資料を不正入手した事実とC氏を通して海外の素材メーカーと接した事実などを把握し、B氏とC氏を書類送検し、B氏に対して家宅捜索や取り調べを行った。

技術警察は捜査のすべての過程において大田地方検察庁特許犯罪捜査部と協力し、その中でA氏が不正入手した被害企業の資料の中で国家先端戦略技術が含まれている事実について産業通商資源部から確認を受けて、A氏を拘束して捜査を続けた。

技術流出事件の場合、被害を受けた企業は企業イメージにダメージを与えることを懸念して消極的な対応をとることが多くあったが、今回の事件で被害を受けた企業は情報セキュリティ事件が起きたら直ちに捜査を依頼することを基本原則として、積極的な対応が早期解決につながったと思われる。

今回の事件は、国家情報院の的確な情報収取、技術専門性を有する特許庁と捜査・法律専門性を有する検索間での緊密な協力、産業通商資源部の迅速な確認による成果であり、国家先端戦略技術をはじめ、韓国の二次電池分野における革新的な技術が海外に流出される事態を防ぐことができた点に大きな意義がある。

特許庁長は「技術流出は国の安全保障と経済に深刻なリスクをもたらす行為である」と強調し、「特許庁技術警察は技術専門性を基に技術流出の防止をリードしており、今後も関係機関と積極的に連携することで、韓国の未来をけん引する先端技術を守ることができるよう取り組んでいく」と述べた。

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