知的財産ニュース 故意による商標権・デザイン権の侵害時には懲罰的損害賠償が最大5倍に改正
2025年7月22日
出所: 韓国特許庁
現行の3倍から世界最高水準の5倍に引き上げる
2025年7月22日火曜日から故意による商標権、デザイン権を侵害した場合に侵害者は最大5倍まで損害賠償責任を負う。
韓国特許庁は、懲罰的損害賠償を最大3倍から5倍に引き上げる内容を盛り込んだ改正商標法とデザイン保護法が22日火曜日から施行されると発表した。
故意による商標権・意匠権の侵害時に世界最高水準の最大5倍賞罰賠償責任を負う
今回の懲罰的損害賠償の引き上げは、悪意のある商標権・デザイン権侵害を防止し、被害救済の実効性を高めるためである。これまで知財侵害が根絶されない理由として、知財に相当な費用を払うより、侵害から得た利益のほうが大きいという点が指摘されてきた。実際、特許庁が行った国内におけるオンライン上の模倣品のモニタリングの実績をみると、2020年137,382件から2024年272,948件と5年で2倍増加するなど、模倣品の流通が急増している現状を考えれば、より強い権利保護が求められている。
海外主要国と比べると、現在のところ、最大5倍まで損害賠償が請求可能な国は中国※と韓国のみである。日本には特許権・商標権・意匠権の侵害に対する賞罰的損害賠償制度がなく、米国は特許権・デザイン権侵害の場合は最大3倍、営業秘密の侵害に対しては最大2倍まで賠償を請求し、商標権侵害に対しては懲罰的損害賠償制度を設けていない。
※商標、営業秘密:2019年導入/特許、実用新案、デザイン権:2021年導入
知財権の全般において「5倍懲罰賠償」を適用することで、知財権の保護水準が高まる期待へ
今回の改正は、去年、特許法と不正競争防止法に導入(2024年8月21日)された特許・営業秘密の侵害およびアイデアの奪取行為に対する最大5倍の懲罰的損害賠償制度を商標やデザイン制度まで拡大することになる。これで韓国は、故意による知財(著作権を除く)侵害に対し世界で最も高い水準である最大5倍懲罰賠償を科す体系をつくることができた。
特許庁の産業財産保護協力局長は「今回の改正により、商標・デザイン侵害行為が減り、侵害被害を受ける企業は実質的な賠償を受ける効果を期待する」とし、「懲罰的損害賠償制度が有効に機能するためには、侵害行為について故意性を立証することが重要であるため、資料提出命令を導入するなど制度改善を進めていきたい」と述べた。
特許・実用新案・商標・デザイン権、および、営業秘密の侵害、アイデアの奪取などの被害を受けた際には、特許庁知識財産侵害ワンストップ通報相談センター
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
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