知的財産ニュース 全国各地で特許パンが楽しめる!製パン関連特許出願が年平均11%増
2025年7月17日
出所: 韓国特許庁
夏休みは「ご当地特許パンの旅」に出よう!…個人・中小企業による特許出願が77.7%を占める
#ベーカリーを運営しているA氏は、莞島(ワンド)地域の特産物であるアワビを使って海鮮の生臭さを消すとともに誰でも食べやすいアワビパンの製造方法について特許を受けた。
#中小企業B社は、発芽全粒粉、米の粉、または、ハンラボン(済州島の果物)を添加し、パンの老化を防ぐホドゥグァジャ(くるみ饅頭)の製造方法について多くの特許権を登録した。
#中堅企業C社は伝統的な麹菌から分離した酵母、乳酸菌とそれを活用した製パン技術でそれぞれ特許を受け、特許権を基盤に製品を発売した。
韓国特許庁は、直近20年間(2005年~2024年)製パン関連特許出願が約3,500件と年平均11%増加し、1年間における出願件数は2005年57件から2024年416件へと約7.3倍増えたと発表した。
最近、韓国では食トレンドの変化に伴い、パンの需要が高まっている※影響を受けて関連分野の特許が増えていることと思われる。
※韓国人一人当たり一日のパンの摂取量:(2012)18.2g→(2023)21.5g(韓国疾病管理庁国民健康統計より)
※
・「ティギムソボロ(揚げパン)」特許第10-1104547号(2012.1.3.)、揚げパンの製造方法
・「プチュパン(にらパン)」特許第10-1333291号(2013.11.20.)、にらパン及びその製造 方法
・「トルガマ饅頭」特許第10-1803680号(2017.11.24.)、トルガマ饅頭(あんこ饅頭)の製 造方法
・「トンオクススパン(トウモロコシパン)」特許第10-1771099号(2017.8.18.)、トウモロ コシパンの製造方法
・「ヨングンパッパン(蓮根あんこパン)」特許第10-1848065号(2018.4.5.)、蓮根を入れ たあんこパン及びその製造方法
・「トルゲパン(カニパン)」特許第10-2512952号(2023.3.17.)、食感と嗜好度が優れたト ルゲパンの製造方法
・「クリームチーズパン」特許第10-2239373号(2021.4.12.)、クリームチーズパンの製造方 法
製パン技術分野別の出願動向:加工技術が47.5%と1位、「健康パン」の成長ぶりが目立つ
出願動向を製パン技術分野別の割合でみると、アンパン、サンドイッチなどさまざまなパンを作る加工技術が47.5%(1,658件)、その次に植物繊維、食用昆虫などパンの栄養や嗜好性を高めるために使われる添加物に関する技術が29.4%(1,026件)である。
また、増加傾向をみると、スローフードへの関心の増加に伴い、天然発酵種などパン生地に微生物や酵素を入れた特許が581件であり、年平均伸び率が高くなっている。次に、添加物に関する特許も年平均13.1%の増加ぶりを示している。添加物の中では味と健康の両方への期待が高い消費者嗜好に応じて、カロリー制限の無糖、高たんぱく、低脂肪のパン(206件)、グルテンフリーパン(96件)、動物性原材料である牛乳、バター、卵を使用しないヴィーガンパン(61件)の関連技術が多く出願されていることがわかった。
<味と健康の両方を守るパン関連特許出願(例)>
◇(無糖パン):ツタモミジの樹液、代替糖(アルロース、ステビア)を添加
◇(低脂肪パン):デンプンの加水分解により得られる脂粉デキストリンを添加
◇(高たんぱくパン):豆腐、豆乳、または、乳清タンパク質を添加
◇(グルテンフリーパン):小麦粉の代わりに米、トウモロコシ、アーモンド、または、化工デンプンを添加し、熟成法を変えたことで既存のパンに似た食感を出す
◇(ヴィーガンパン):卵白の代用に豆を茹でた水である「アクアファバ(aquafaba)」を使用
出願人の類型別でみると、個人・中小企業の割合が全体の77.7%と大半を占める
出願人を類型別で分けると、個人54.4%(1,900件)、中小企業23.3%(814件)、大学および研究機関8.4%(293件)の順であり、個人と中小企業が全体の77.7%を占めることがわかった。特許出願※は一般的に企業、外国、大学・研究機関からの案件が多いことからみて、製パン技術の特許出願においては個人による出願が多い点が目立つ。これは、個人事業者であってもアイデアや技術さえ確保できれば、十分競争力を高める可能性があると解釈できる。
※全体特許出願における出願人の類型別の割合(2024年):中小企業25.6%>大企業22.9%>外国20.4%>大学および研究機関13.6%>個人12.8%>中堅企業3.9%の順
特許庁の特許審査企画局長は「最近、ヘルシーでおいしいパンへのニーズが高まっていることから、製パン技術関連特許出願が増加傾向にある」とし、「韓国の製パン産業が世界的に認められるK-ベーカリーとして成長していけるよう知財分野で積極的に支援する」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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