知的財産ニュース キム・ワンギ特許庁長、第66回WIPO総会にて経済危機を乗り越える知財の重要性について演説
2025年7月9日
出所: 韓国特許庁
米国、EU、日本と長官会合を開き、知財先進国間における協力の強化へ
韓国特許庁は7月8日火曜日、世界知的所有権機関(WIPO※、World Intellectual Property Organization)本部(スイス・ジュネーブ)にて開かれた第66回総会に出席し、イノベーションを興し経済危機を乗り越えるエンジンとなる知財の重要性について演説を行った。
※国連傘下15か所の専門機関のひとつで、知財分野を総括する国際機関
WIPO総会にて代表演説
韓国のキム・ワンギ特許庁長は、演説で世界経済の不確実性が増している中でも特許協力条約(PCT)ルートによる国際出願が増加するなど世界的に知財をめぐる取り組みやイノベーションが活発に行われているとし、イノベーションの基盤となる強い知財エコシステムをつくることが経済危機を乗り越えるカギになると強調した。
また、キム庁長は、知財行政の全般において人工知能(AI)技術を取り入れ、民間の専門家を特許審査官に採用するなどして審査の専門性を高めており、AIモニタリングシステムによるオンライン上の模倣品対策体系を築いた最近の成果について紹介した。また、2004年設置された「韓国信託基金」を通じて開発途上国の若年層や女性、中小企業を対象に知財能力を高めるための支援を行ってきたとし、今後も知財格差の解消に向けてWIPOと協力を深めていくと意思を示した。
WIPO事務局長主催の政策会談
7月7日月曜日にはWIPOのダレン・タン事務局長が主催する「未来の革新」がテーマの高官級政策会談に参加し、人口構造の変化に伴う知財戦略のあり方について述べた。韓国はこれまで研究開発に携わる人材の増加により特許出願件数が増え、それが国内総生産の成長率にプラス影響を与えていたが、最近は少子高齢化により生産年齢人口が減っていることから量的成長戦略が限界を迎えていると分析し、高付加価値を生む「名品特許」の確保やAIビッグデータを活用した研究開発および知財創出戦略へとシフトを図る必要性があると指摘した。
米国特許商標庁、日本特許庁、欧州連合知的財産庁とバイ会合を実施
7月7日から8日まで二日間にわたり、韓国特許庁は米国特許商標庁(以下、USPTO)、欧州連合知的財産庁(以下、EUIPO)、日本特許庁(JPO)の長官とそれぞれバイ会合を実施した。
USPTOのコーク・スチュワート長官代行とはグローバルな権利移転※の課題、営業秘密保護、模倣品対策などにおいてWIPOの役割を強化する必要があるとの認識を共有し、今後のWIPOの方向性について議論した。また、JPOの河西康之新長官とは初めてお会いし、今後も緊密な協力関係を築いていくことに合意した。
※知財権譲渡の申請書を一つの庁に提出すれば、同盟国である海外庁においても当該知財権譲渡の効力を認める国際体系
EUIPOのジョアン・ネグラォン長官とは主要国が参加する「模倣品流通防止に向けた技術カンファレンス」など知財保護において国際連携を高めるさまざまな協力事項について話し合い、今年9月ネグラォン長官が韓国を訪問する際に包括協力に関する了解覚書(MOU)を更新して両庁における協力関係をさらに拡大していくことに合意した。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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