知的財産ニュース 韓国特許庁、中小企業技術革新協会と共にAI開発企業向け知財政策について議論
2025年7月4日
出所: 韓国特許庁
AI産業における知財競争力の強化策を探る
韓国特許庁は7月4日金曜日、中小企業技術革新協会(イノビズ協会)と共に板橋(パンギョ)イノベリー(京畿道城南(キョンギド・ソンナム))にて人工知能(AI)開発企業向け知財競争力の強化や海外進出戦略について話し合う懇談会を開いたと発表した。
今回の懇談会は、韓国の「AIバリューチェーン※」において企業間で垂直・水平的協力を固め、知財相談の解消することでAI開発企業の競争力を高める方策を探るために行われた。
※ハードウェア、データインフラストラクチャ(ファウンデーションモデル、データプラットフォームなど)、アプリケーション
市場調査専門会社マーケットアンドマーケット(MarketsandMarkets)によると、世界AI市場規模は2024年2,146億ドルから2030年には約1.4兆ドルと年平均35.7%程度の急成長が見込まれるなど、AI技術はイノベーションを起こすゲームチェンジャーとして世界各国で主導権を握るための競争が激しくなっている。
昨年、世界知的所有権機関(WIPO)がまとめた生成型AI特許に関する報告書によると、生成型AI関連特許は2014年733件から2023年14,000件と10年間19倍増加し、韓国における生成型AI関連特許の出願は中国、米国に次ぎ3位となっている。
※中国38,210件、米国6,276件、韓国4,155件、日本3,409件、インド1,350件
ところが、2003年から2023年の間に出願・公開されたAI関連12大応用サービス技術※にかかる特許の動向について特許庁が分析したところ、韓国は外国出願件数※※が低く、世界市場の先取りに向けた取り組みを迫られている現状である。
※ユーザーケア、サプライチェーン・購買効率化、工程の最適化、デザイン、物流および流通の効率化、セキュリティ、市場予測、安全、研究開発(新素材の研究など)、予知保全および品質管理、人材教育および訓練、自律製造
※※(外国出願の割合)欧州85.3%、日本63.8%、米国51.8%、韓国28.1%、中国5.6%
懇談会に参加したAI開発企業は、AI分野における特許路R&Dおよび外国出願への支援拡大、世界進出向け資金の調達、技術変化のスピードが速いAI関連特許の審査期間短縮、AI特許学習データのオープン、産業化の意見を反映したAI分野における特許審査基準の改善などを建議した。
イノビズ協会長は「AI戦略は中小企業の運命を左右するものであり、革新的な技術を有する企業は産業界に大きく寄与している」とし、「AI開発企業が世界市場で競争力を高めることができるよう知財支援を強化してほしい」と述べた。
特許庁長は「世界3大AI強国になるためには、オープンソース戦略を立てるとともにAIバリューチェーンにおける各段階で強い知財権を確保する戦略が求められる」とし、「AI開発企業が基盤技術で儲かり、強い権利を確保する名品特許の戦略を立てることで世界進出を拡大するよう支援していく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195