知的財産ニュース 韓国特許庁商標警察、79億ウォン相当の化粧品の模倣品を流出した販売業者を摘発
2025年6月19日
出所: 韓国特許庁
美容効果のない「真水」といえる化粧品の模倣品を正規価格の3分の1で販売して消費者をだました
韓国特許庁の商標特別司法警察(以下、「商標警察」)は19日、化粧品の模倣品を流出して商標法を違反した疑いで卸売業者A氏(42歳)など4名を検察に送致したと発表した。
商標警察によると、A氏などは2023年4月から2024年3月まで、SK‐Ⅱ、キーエル、エスティローダーなど有名な海外ブランドの刑法品の模倣品を並行輸入した製品だとだまして約8万7,000点(正規品価格79億ウォン相当)を韓国国内に流通した疑いがある。被疑者らは化粧品の模倣品を販売する犯罪で総額21億ウォン相当の収益を上げたことがわかった。
流通業者、テレビショッピングなどいろいろなルートで化粧品の模倣品を流通
被疑者らは流通業者、テレビショッピング関係会社などいろいろなルートで化粧品の模倣品を販売していたことがわかった。彼らは化粧品を専門に取り扱う流通業差でさえ模倣品を見極めることが難しいほど、容器やラベル、包装などが巧妙につくられた製品で消費者をだました。
とりわけ、模倣品を正規品だとだまされて受け取った流通業者がこれらの製品を海外に輸出しようとしたところ、商標警察に発覚され約6,000点の模倣品(正規品価格5億6,000万ウォン相当)に対し押収措置(2024年3月)がとられた。
被疑者らがテレビショッピング関係会社を通して模倣品を納品しようとしたことも明らかになった。商標警察は彼らがテレビショッピングへの納品用として京畿道(キョンギド)周辺の倉庫に保管していた模倣品約4万点(正規品価格14億ウォン相当)についても押収措置(2024年4月、2024年7月)をとった。
また、商標警察はデジタル・フォレンジックで彼らが2023年4月から2024年4月まで模倣品約4万1,000点(正規品価格59億ウォン相当)を流通していた販売記録を確保した。
商標警察による調査結果、被疑者A氏は海外営業活動と輸入の総括、B氏(40歳)は輸入関連書類作成、C氏(43歳)とD氏(38歳)は国内流通など役割を分けて組織的に動いていたことがわかった。 【化粧品の模倣品は美容効果の一切ない「真水」、正規品の3分の1の価格で消費者を惑わす】
押収された化粧品の模倣品を鑑定する中で商標権者が化学分析を実施した結果、模倣品と正規品の成分が違うことがわかった。
また、商標警察が専門機関に依頼して模倣品の成分を分析した(2025年4月)ところ、被疑者らが販売した製品から有害成分が検出されていなかったが、主な原料や容量などが基準に満たなく、「真水」といえる状態であることが明らかになった。
SK‐Ⅱのエッセンスにはホワイトニング効果のある原料である「ニコチンアミド※」が含まれているが、模倣品からは検出されなかった。エスティローダーのセラムの模倣品は表示されている内容量(50ml)を下回ることが確認された。
※機能性化粧品(メディカルコスメ)に使われる原料で、含有量が一定以上の製品のみ認める(韓国食品医薬品安全処告示第2020-132号(2020.12.30))
このように特定の効果もなく内容量が基準以下の「真水」といえる模倣品が正規品の3分の1の価格で流通されていたことがわかった。商標警察は有害成分が検出されなかったとしても模倣品は製造や流通の過程において品質検査を実施しないため、消費者の安全を脅かす恐れがあると強調した。
特許庁の産業財産保護協力局長は「化粧品など日常生活でよく使われる製品の真贋を一般消費者が見極めることは難しいため、正規価格より安い製品を購入する際には注意を払ってほしい。また、公式の販売先で購入することをすすめる」とし、「特許庁は消費者に与える被害が大きく国民の生活や安全、健康を脅かすような模倣品を根絶するために企画捜査を強化する」と述べた。
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