知的財産ニュース 意匠登録出願において最も多い拒絶理由は「図面および意匠の説明の記載不備」

2025年5月26日
出所: 韓国特許庁

意匠の出願手続きの基本的な事項に十分注意を払うだけでも早期権利化が可能

意匠登録出願人に最も多く通知される意匠登録出願の拒絶理由は「図面および意匠の説明の記載不備」であることがわかった。

韓国特許庁によると、2024年通知された意匠登録出願の拒絶理由では「図面および意匠の説明の記載不備」が36.9%と最も多く、次に「不明瞭な物品の名称および物品類区分(19.6%)」であることがわかった※。
※2024年における意匠登録出願の拒絶理由の分析:図面および意匠の説明の記載不備36.9%、不明瞭な物品の名称および物品類区分19.6%、創作性の欠如14.9%、新規性の喪失14.3%、その他14.3%

出願人の記載ミスが最も多くみられるところは図面の作成である。卓上用スタンドライトの意匠を出願したA氏は斜視図では捜査ボタンを円型で記載したが、側面図では同じボタンを四角形で記載するミスをした。

出願人B氏はかばんの意匠を出願する際に図面を写真で撮って提出した。ところが、その写真の中にかばんにつけていたキーホルダーが一緒に写されたが、別途説明することなくそのまま提出してしまった。その出願について審査官は保護範囲が不明確だと判断し補正命令を出した。

このような事例を防ぐために図面を作成する際は、まず、デザイン保護法施行規則(別紙第4号書式のデザイン図面)で明記する規定を確認する必要がある。代理人を介さないユーザーは図面の詳細に作成方法について解説する「一人でも出願できる意匠の図面作成ガイドブック」を参考できる。
※一人でも出願できる意匠の図面作成ガイドブック:特許庁ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます>冊子/統計>刊行物>知識財産審査基準/マニュアルにて閲覧可能

また、知財情報検索サービスウェブサイトKIPRIS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにて類似の物品の登録意匠の事例を事前に調べることも役立つ。
KIPRIS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます:韓国・外国の知財権情報(特許・意匠・商標など)を無料で検索・閲覧できる大衆向け特許情報検索サービス

物品の名称や物品類区分を不正確に記載して拒絶される事例も多くみられる。例えば、ワイヤレスイヤホンの充電ケースの意匠を出願する際に、物品の名称に単に「ケース」と記載した場合にはその物品の用途が明確でないため補正が必要になる。

出願人は特許庁ウェブサイトで、出願の時点で最新の物品類区分を確認し、物品検索サービスを利用して明確な名称や物品類を確かめる必要がある。
※物品類別の物品目録:特許庁ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます>知識財産制度>分類コードの照会>デザイン分類コードにて確認可能

特許庁の商標デザイン審査局長は「出願手続きの注意事項を十分理解していないか、単なる記載ミスにより拒絶される事例が全体の拒絶査定案件の半分以上を占めている」とし、「出願の際に図面の作成方法、物品の名称や物品類など基本的な事項について十分注意を払うことだけでも拒絶される確率を大きく減らすことができる」と呼びかけた。

また、「上記のような拒絶理由が発見された場合、一定の範囲内で訂正や補足をする補正手続きを利用できるが、その分案件の処理が遅れることがあるので不利にならないよう十分注意してほしい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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