知的財産ニュース 韓国特許庁、光複80年・発明の日60周年を迎え「主要国における在外韓国人による発明、特許出願・登録に関する歴史的研究」の結果を発表
2025年5月15日
出所: 韓国特許庁
米国への特許出願第一号韓国人は愛国志士クォン・ドイン先生の発明、特許の収益で独立運動を支援
韓国人の中で初めて米国で特許出願した人は愛国の志士、クォン・ドイン先生(写真、1888~1962)であることがわかった。
韓国特許庁は15日、「光複80年」および「発明の日60周年」を迎えて「主要国における在外韓国人による発明、特許出願・登録などに関する歴史的研究」※の結果を発表した。
※門戸開放(1876年)から光複(1945年)までの主要国(米国、英国、日本、フランス、ドイツ)における特許登録のデータを調査し、韓国人による発明の記録を分析した研究
特許庁は5月15日木曜日10時40分、国立大田(テジョン)顕忠院(大田(テジョン)市儒城(ユソン)区)にて発明と独立運動をしてきたクォン・ドイン先生を敬い、その業績を称える記念式を開き、同日14時、特許庁(政府大田庁舎4棟、大田市西区)1階にある発明家殿堂にて「独立と発明」をテーマにした企画展示室をオープンすると発表した。
韓国人による米国への特許出願第一号は愛国志士クォン・ドイン先生、5月15日木曜日、大田(テジョン)顕忠院にて追悼式
大田(テジョン)顕忠院にて行われる追悼式にはキム・ワンギ特許庁長、チャン・ジョンギョ大田顕忠院長、クォン・ドイン先生の子孫(Paul Stuart Arinaga、外孫、ハワイ在住)が参加する。石碑に「第一号米国特許出願韓国人」という文字を刻み、クォン先生の業績を次の世代へと引き継いでいく。クォン先生は慶尚北道(キョンサンブクド)英陽(ヨンヤン)郡出身で、1905年労働移民でハワイに移住し、在米韓国人としては初めて米国で「ミシンの付属装置にかかる特許」を出願(1920年9月14日)し1921年9月27日登録を受けた。クォン先生は「竹のカーテン」も発明して特許登録を受けたが、その発明はハワイをはじめ米国の各地で大ヒットし、家具事業で成功を収めたという。事業で得た収益を独立運動の資金として寄付し、独立運動団体である大韓人国民会などで活動していた。妻のイ・ヒギョン夫人(1894年~1947年)もハワイで国権回復運動と支援金を集めるなど独立運動に力を入れた。韓国政府は1998年に建国勲章愛族章(クォン・ドイン先生)、2002年に建国褒章(イ・ヒギョン夫人)を授与し、2004年には国立大田顕忠院の愛国志士墓地でクォン先生夫婦の葬儀を営んだ。
今回の研究結果、愛国志士カン・ヨンスン先生(1888年~1987年)が米国で特許を登録した発明者であったこともわかった。カン先生は1934年2月、「食品及び工程(Food product and process)」という名称の特許を出願し、1936年5月登録を受けた。妻のカン・ウォンシン夫人(1887年~1977年)も米国で活発な独立運動を繰り広げた愛国志士であり、韓国政府は1995年に建国勲章愛族章(カン・ウォンシン先生)と2016年に建国勲章愛族章(カン・ヨンスン夫人)を授与した。
一方、米国で韓国人初の特許を登録したのはパク・ヨンロ先生(生年月日不詳)であることがわかった。パク先生は上記のクォン先生の特許より2日遅い1920年9月16日、「釣り竿(Fishing-rod)にかかる特許」を出願し、クォン先生の特許より約4月早い1921年5月10日に同特許権を登録した。パク先生は在米独立運動団体の「韓国通信部※」の書記として活動していた記録が残されている。
※米国人に三・一運動(サミル運動、当時の日本からの独立運動)からわかる韓国人の独立に向けた強い熱意や状況を正確に発信し、日本への対抗や韓国の独立に共感を得ることを目的にフィラデルフィアにて設立(1919年4月)
5月15日木曜日、「独立と発明」企画展示室を政府大田庁舎4棟1階にてオープン
特許庁は5月15日木曜日、政府大田庁舎内にある「発明人の殿堂(特許庁1階)」にて「独立と発明」をテーマにした企画展示室をオープンする。
企画展示室では、韓国人特許権者第一号のチョン・インホ先生や米国特許出願第一号韓国人のクォン・ドイン先生をはじめ、カン・ヨンスン先生、パク・ヨンロ先生、チャン・ヨンソン先生など5名の発明家について紹介し、チョン先生の発明「馬の尾の毛で作った帽子」、クォン先生の発明「竹のカーテン」、パク先生の発明「釣り竿」などを展示する計画だ。この展示は、独立運動と発明という二つの活動を時代の状況に合わせて実践しながら大韓民国の明るい未来を夢見ていた独立有功発明家の業績や人生の歩みを振り返る、大変意義深い場になると思われる。
特許庁長は「発明により国の独立に向けて献身してこられた愛国志士の方々の精神は、科学技術で成り立つ今日の社会に深い響きを届ける」とし、「『光複80年』と『発明の日60周年』を迎える今年、今回のイベントが発明と特許の重要性を改めて認識し、未来のイノベーションへとつながるきっかけになってほしい」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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