知的財産ニュース 韓国特許庁、5月「家庭の月」を控え出産・育児用品にかかる知財権の虚偽表示の取締りを実施

2025年5月12日
出所: 韓国特許庁

韓国消費者院と共に実態調査…AI検索の初採用により虚偽表示を836件摘発

韓国特許庁は5月「家庭の月」を控え、出産・育児用品を対象に知的財産権が虚偽で表示されている実態を調べた結果、幼児用洗濯洗剤、お風呂用品など836件を摘発したと発表した。

今回の企画調査は、韓国消費者院と共に品目を選定して3月24日月曜日から4月25日金曜日まで5週間実施した。取締りの対象は、ベビーフード、授乳用品、おむつ、幼児用洗濯洗剤、おもちゃなど幼児に使用する製品であり、販売広告などに使われた「特許取得済み」、「意匠登録」、「商標登録」などといった知財権表示の是非について調べた。

摘発された製品のうち、幼児用洗濯洗剤、お風呂用品、おもちゃ/ベビーマットの順で虚偽表示が多い…消滅した権利の表示が全体虚偽表示の74.8%と最も多い

摘発された製品は、幼児用洗濯洗剤329件(39.4%)、お風呂用品160件(19.1%)、おもちゃ/ベビーマット116件(13.9%)、幼児服77件(9.2%)、消毒・除菌用品59件(7.1%)、おむつやお出かけ用品56件(6.7%)、安全用品39件(4.7%)などである。このうち「特許権」の虚偽表示が506件(60.5%)と最も多く、次に意匠322件(38.5%)、実用新案8件(1%)となっている。

虚偽表示の類型をみると、権利消滅後も有効な権利として表示した場合が625件(74.8%)と最も多く、知財権名称の誤記177件(21.1%)、拒絶となったものを登録したと表示した場合が34件(4.1%)である。

初めて人工知能(AI)検索を採用して虚偽表示の摘発件数が大きく増加(314件→836件)

今回の調査では初めてAI検索が採用された。これまで虚偽表示を取り締まる際に「特許を受けた幼児用品」といった語句を入力して検索する形をとっていたが、AI活用により商品詳細ページ(画像)から虚偽表示の有無を検知することでさまざまなルートで使われる知財権虚偽表示の是非を把握することができた。その結果、企画調査1回当たり平均314件摘発(2024年取締り)から836件へと摘発件数が大きく増え、AI検索が有効に活用されていることがわかった。

知財権の表示は商品の信用を左右する重要なものであり、幼児用品の購入が多い保護者には商品への信頼に敏感に反応するために、表示の文言一つが消費者の被害につながる事態が起こりうるため注意が必要となる。

特許庁は虚偽表示だと判断した製品に対し表示を訂正するよう勧告し、行政措置や法律上手続きについて案内する予定であり、正しい知財権表示のガイドラインを配布してオンライン上の販売者が販売投稿を上げる際の自己チェック用に活用してもらう方針だ。

特許庁の産業財産保護協力局長は「出産・育児用品は妊婦や幼児の健康・安全につながる品目であるため、信頼できる市場環境づくりが何より重要だと思う」とし、「国民の健康と安全に関わる製品に対し知財権の虚偽表示の取締りを強化し、知財権を正しく表示する文化を定着させるために取り組む」と述べた。

知財権虚偽表示の通報は、知財権虚偽表示通報センターウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、または、電話(1670-1279)にて詳しく相談できる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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