知的財産ニュース 模倣品個人輸入への取り締まりの法的根拠を明確化する改正商標法が国会で成立

2025年5月2日
出所: 韓国特許庁

個人輸入による模倣品流入を防ぐための法改正

韓国特許庁は、個人輸入による模倣品流入への取り締まりに関する法的根拠を明確化する内容を柱とする商標法の一部改正法律案が国会の本会議(5月1日)で成立※したと発表した。
※公布した日から施行予定

商標権侵害の前提となる「商標の使用」に供給する行為を追加することで、海外から国内に配送される模倣品についても商標法上の商標権の侵害物品として扱うように見直した。

昨年一年間、個人輸入により海外から流入された物品が約1億4,000万件と集計され(e-ナラ指標)、その中で模倣品はこの3年間約44%増加※している。
※個人輸入による模倣品流入の取締件数(関税庁):(2022年)6万件→(2024年)8.7万件

韓国知識財産保護院の調査によると、2024年個人輸入により持ち込まれた模倣品の通報件数(2,772件)のうち、韓国ブランドの模倣品が約4割(1,080件)を占めるなど、韓国企業が受ける被害が大きいことがわかった。

個人輸入の行為が法律上「譲渡」に該当するとの判例の解釈があったが、より実効性のある模倣品対策のために商標法上、明確な根拠の規定を定める必要があるとの意見が関係部処から集まり、今回の改正が進められた。

これにより、商標法上「商標の使用」の下位行為類型として第2条第1項第11号ハ目に「外国における商品又は商品の包装に商標を表示した物を運送業者等他人を介して国内に供給する行為」を追加した。

一方、海外から流入された個人輸入の模倣品から重金属など有害物質が大量に検出※され、健康食品の模倣品の場合は服用後、肝臓の数値が基準値の2倍以上上がるなどの事件が発生※※するなど、個人輸入により流入された模倣品が国民の健康を脅かしているといえる。今回の改正商標法は国民の安全を守る上でも大きく役立つと期待される。
※激安アクセサリー(イアリング、指輪など)404点のうち96点(全体の24%)から韓国国内における安全基準値を超えるカドミウム、鉛など発がん性物質が検出(関税庁、2024年4月)
※※OOで購入した健康食品が模倣品だったとは…騙されて使用した人「肝臓の数値が2倍以上上がった」(ヘラルド経済の記事、2025年2月18日)

特許庁の商標デザイン審査局長は「個人輸入による模倣品流入は韓国企業の権利を害するだけではなく、国民の健康を脅かしている。特許庁は国民の安全と公正な市場秩序を守るために、今回の商標法改正といったさまざまな方策を考えていく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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