知的財産ニュース 営業秘密の海外流出行為の早期発見に向け通報報奨金制度を盛り込んだ改正不競法が国会で成立

2025年5月2日
出所: 韓国特許庁

コア技術の海外流出を事前防止するために通報を促す対策を講じる

営業秘密の海外流出を早期に摘発するための報奨金制度が不正競争防止法に追加される。韓国特許庁は、営業秘密の海外流出の防止に大きく貢献した者、または、通報者などに対し特許庁長が報奨金を支給するという内容の「不正競争防止法及び営業秘密保護に関する法律(以下、「不正競争防止法」)」改正案が国会の本会議で(5月1日)成立したと発表した。

最近、世界的に技術覇権争いが激化する中で、韓国企業が有するコア技術を流出する行為が相次いでいる※。
※(2017年~2023年)産業技術の海外流出の摘発件数計140件、被害額の規模約33兆ウォン(国家情報院)

この対策として特許庁は2019年に特許・営業秘密の侵害など技術流出犯罪の専門捜査機関である「技術警察」を発足以降、営業秘密に関わる多くの事件を捜査しており、半導体など国家コア技術の海外流出を遮断する成果を上げるなど、韓国企業の技術の海外流出を防ぐために取り組んでいる。
※(2019年~2024年)技術警察による営業秘密侵害犯罪の刑事立件の実績:390名

先端技術など営業秘密は一度海外に流出されてしまうと回復が非常に難しいため、犯行を早期に遮断することが何よりも重要である。このような点から、今回の改正案には、営業秘密が海外に流出されることを事前防止し、犯行を早期に把握して被害を最小限に抑えるよう、通報を促すような対策を講じたことに意義がある。具体的な報奨金額の規模や支給要件については今後の法律施行日に合わせて下位の法令にまとめる考えだ。

特許庁の産業財産保護協力局長は「技術専門性を有する技術警察が通報などにより、営業秘密の海外流出に関する情報を早期に把握することができれば、より迅速かつ効率に営業秘密が海外に流出される事態を防ぐことができると期待する」とし、「今後も特許庁は技術流出を防止する専門捜査機関として努力していく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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