知的財産ニュース 韓国特許庁、欧州特許庁・ドイツ特許商標庁とバイ会合を実施

2025年5月1日
出所: 韓国特許庁

EPOと欧州単一効特許制度の説明会の実施に合意、ドイツとAIや新技術など知財懸案に関するMOU改正を締結

韓国特許庁は4月30日水曜日、ドイツ・ミュンヘンで欧州特許庁(European Patent Office(EPO))およびドイツ特許商標庁(German Patent and Trade Mark Office)とそれぞれバイ会合を開き、両庁間の主要懸案について意見を交わし、協力策について議論した。

韓国のキム・ワンギ庁長とEPOのAntónio Campinos長官は、ユーザーフレンドリーな知財制度の改善の重要性について認識を共有し、2023年6月に導入された欧州単一効特許制度について韓国ユーザー向け説明会を開くことで合意し、産業界で主要テーマに浮上している「グローバルな特許譲渡(Global Assignment)」の効果的な導入に向けた協力策について議論した。また、両長官は特許など知財権を有するスタートアップを対象に資金調達をサポートする情報マッチングシステムの必要性について共感し、知財事業化や金融活性化を図る両庁の政策や制度などについて活発に情報を交換することで合意した。
※グローバルな特許譲渡:特許権者が特許権の譲渡申請書を韓国、米国、日本、中国、欧州の五庁(知財先進5か国庁(IP5))の一つに提出すれば、他の四庁でも同一の譲渡効力を認める制度

続いて開かれた韓国・ドイツ長官会合では、1994年締結以降31年ぶりにMOUを改正・締結し、人工知能(AI)関連知財行政および特許審査事例など実務上の協力を含む知財包括協力策の内容を盛り込んだ。両庁は、AI、グリーン技術など新技術分野において審査結果を比較・分析する審査官交流事業の再開に合意し、迅速かつ正確な審査に向けた特許共同審査※プログラムについて実務者間の協議を経て2026年度から開始することにした。
※特許共同審査(Collaborative Search Program、CSP):両国に同一の発明の特許出願がされた場合、両庁の審査官が共同で調査しその結果を共有して迅速な審査結果を提供する

一方、キム庁長は長官会合の開催に先立ち、4月29日火曜日、KOTRAミュンヘン貿易館にて欧州知識財産センター、サムスン電子やLGエナジーソリューションの知財担当者、在欧韓国人知財権専門家協会(KIPEU)所属の弁理士と懇談会を開き、ドイツに進出している韓国企業側から知財関連の相談や建議事項について意見を集め、解決策について議論した。

キム庁長は「最近の通商環境の変化を受けて欧州市場の重要性が高まっている中、今回、EPOおよびドイツ特許商標庁と長官会合を開いたことは、欧州に進出している韓国企業の知財権確保や保護の基盤を強化する上で非常に有意義である」とし、「韓国企業が海外市場に進出する上で特許や商標など知財権がネックになることがないよう国際協力をより強化していく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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