知的財産ニュース 「発明の日60周年」を記念する先祖の優秀な発明15点のうち14点に名誉特許権を付与

2025年4月28日
出所: 韓国特許庁

李舜臣(イ・スンシン)将軍の誕生日(4月28日)に「亀甲船(コブクソン)」が名誉特許登録を受けた!

文禄・慶長の役を勝利に導いた「忠武公(チュンムゴン)李舜臣(イ・スンシン)将軍の亀甲船(コブクソン)」が忠武公(チュンムゴン)の誕生日(4月28日)に名誉特許登録を受けた。発明の日(5月19日)を象徴する測雨器(チュグギ)も名誉特許権を取得した。

韓国特許庁は28日、発明の日※60周年(2025年5月19日)を迎えて先祖発明家の業績を称えるために、亀甲船(コブクソン)、測雨器(チュグギ)、金属活字など先祖の優秀な発明※※15点について特許審査を行い、その結果14点に名誉特許権を付与したと発表した。
※世界初の「測雨器」を発明した日(1441年5月19日)を記念する法定記念日
※※亞字房オンドル(アジャバンオンドル、暖房装置)、金属活字を活用した印刷方法、観象監観天台(天文観測器具)、自撃漏(チャギョンヌ、水時計)、仰釜日晷(アンブイルグ、日時計)、測雨器(チュグギ、雨量計)、神機箭機火車(シンギジョンギファチャ、発射装置)、鉛銀分離法(銀を抽出する技術)、亀甲船(コブクソン、軍艦)、飛擊震天雷(信管装置)、渾天時計(ホンチョンシゲ、天文時計)、石氷庫(ソッピンゴ、天然の冷蔵庫)、風旗台(プンギデ、風向・風速観測器)、挙重機(コジュンギ、重いものを持ち上げる機械)、大東輿地図(朝鮮の全国地図)の作成方法

先祖の優秀な発明15点のうち14点について名誉特許登録、1点は拒絶査定

特許庁は、今年3月から先祖の優秀な発明について現代の特許性の観点で審査する作業を始めた。特許審査の対象となった15点のうち、「大東輿地図(朝鮮の全国地図)の作成方法」を除いた14点について特許査定がされた。

技術分野を分けて審査官が特許法上の特許要件(新規性、進歩性、産業上の利用可能性)について総合的な審査を行った。その結果、先祖の優秀な発明が現代の特許制度の観点からも技術的価値を有することがわかった。

亀甲船(コブクソン)の閉鎖型構造は外部の攻撃から内部空間を保護し、敵が乗り込めないように上部に刀錐が埋め込まれた蓋板を付けた点から近接戦闘での防御力を上げた技術に特許性があると判断された。測雨器(チュグギ)は、直径と高さの割合を一定の範囲に限定したことで雨水が蒸発することを防ぎ、斜めに降る雨水を貯めることができるため、正確な降水量を観測できる点から発明の効果が認められた。

金属活字の技術は、個別の金属活字を組み合わせて印刷できるため保存と活字の配列が容易であり、優れた耐久性により繰り返し使用しても印刷の高い品質を維持できた点から進歩性があると判断された。仰釜日晷(アンブイルグ)は、くぼんでいる時計文字盤の上で観測する位置の北極高度を計算し、影を利用して計測する針をつけたことで位置にかかわらず正確な時間を計算できるという点から特許性が認められた。

挙重機(コジュンギ)は、地面に水平方向の固定滑車と移動滑車を複数設置して重たい物を簡単に持ち上げられる点から技術的特徴や発明の効果が認められた。

一方、大東輿地図(朝鮮の全国地図)については、当時(19世紀)には世界的に地図の製作が活発に行われていたことから先行技術に比べて進歩性がなく拒絶査定となった。しかし、地図の優秀な技術性は改めて高く評価された。

先祖の優秀な発明について特許公報や名誉特許証を発行…教育コンテンツとして活用

今回特許査定となった先祖の優秀な発明については特許公報(発明の内容、特許請求の範囲)を発行し、KIPRIS(特許情報検索サービス)にて公開する予定だ。これらの発明の出願日は韓国特許庁が設置された日(3月12日)であり、歴史の順番で出願番号および登録番号を付与した。新羅(シルラ)時代(前57年~935年)の発明の「亞字房オンドル(アジャバンオンドル)」が1番、18世紀発明の挙重機(コジュンギ)が14番である。いずれの発明についても特許登録日は「発明の日60周年」を記念する2025年5月19日とした。

また、名誉特許証を発行し、発明品を展示している各機関(国立中央科学館など)と協力して名誉特許証の授与や展示を行う計画だ。先祖の優秀な発明※から知財の重要性を普及・啓発するよう関連教育コンテンツ(動画)を制作する考えだ。
※先祖の優秀な発明のうち、「金属活字を活用した印刷方法、渾天時計(ホンチョンシゲ)、亀甲船(コブクソン)」を選定

特許庁の産業財産政策局長は「名誉特許の審査を行い、先祖発明家のたゆまぬ探求心や挑戦、その結果、どれだけ大きな進歩を成し遂げたか改めて感じることができた」とし、「発明の日60周年と名誉特許への審査を機に、発明の価値を改めて認識し、この学びが明日への技術革新につながるきっかけになってほしい」と述べた。

特許庁は「発明の日60周年」を迎えて5月を「発明の日」に指定し、全国各地やオンライン上でさまざまな記念イベントを行う。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195