知的財産ニュース 韓国特許庁、「職務発明制度の導入・拡散に向けた戦略カンファレンス」を開催
2025年4月18日
出所: 韓国特許庁
産業界、科学技術界、法曹界など約400名が参加…職務発明制度への認識向上を図る
韓国特許庁は4月18日金曜日、科学技術コンベンションセンター(ソウル市江南区所在)にて産業界、科学技術界、法曹界などを対象に「職務発明制度※の導入・拡散に向けた戦略カンファレンス」(以下、カンファレンス)を開いたと発表した。
※職務発明制度:従業員(研究者)の職務上の発明を使用者(企業など)が承継することに対し従業員に正当な報奨を提供する制度(企業では社内職務発明規定などを定めて運営する)
今回のカンファレンスは、職務発明について各界の認識を高めるための積極的な行政活動の一環として行われた。
最近、韓国知識財産研究院の調査(2024年知的財産活動調査)によると、中小企業における職名発明規定の導入率は前年比6.3%ポイント上昇し、初めて全体中小企業の4割以上※が職務発明に関する規定を設けているなど改善しているが、大手企業と比べると未だ少ない現状である。
※中小企業における職務発明規定の導入率:(2022年)38.6%→(2023年)39.5%→(2024年)45.8%(+6.3%ポイント)
※※企業規模別の職務発明規定の導入率(2024年時点):(大手企業)79.4%、(中小企業)45.8%
このような背景から特許庁は、職務発明への認識を高めるために職務発明制度に関心のある企業の最高経営責任者(CEO)、各機関の知財担当者、弁理士・弁護士など約400人が参加する大規模カンファレンスを初めて開いた※。
※昨年は、企業・大学・公共研究機関向け職務発明制度の教育セミナーを開催(2024年9月)
カンファレンスでは、職務発明制度の基本的な手続きや制度導入の方法、正当な報奨の事例など制度の全般にわたる基礎的な内容だけではなく、職務発明に関する主な訴訟・紛争の事例、焦点などについて分野ごとに専門家からの発表が行われた。また、充実した職務発明制度を運営している職務発明認証企業の優秀な事例について共有した。
特許庁長は「職務発明は従業員の研究意欲を高めて革新につながるインセンティブを提供し、世界市場で企業の技術競争力を向上させる大変重要な制度である」とし、「今回のカンファレンスが職務発明制度への理解を深め、企業が関連制度を積極的に導入することで革新と跳躍を図るきっかけになってほしい」と述べた
特許庁では、職務発明制度を定着させるよう、中小・中堅企業を対象に職務発明に関する相談サービスを提供し、職務発明報奨優秀企業の認定制度※などを行っている。参加を希望する企業は、職務発明制度ウェブサイト、または、韓国発明振興会ウェブサイト
の「お知らせ」にて詳細※が確認できる。
※主要インセンティブ:特許・実用新案・意匠出願時の優先審査、4年~9年次の登録料の追加20%減免、政府支援事業参加時に加点付与、SGIソウル保証保険の優遇措置など提供
※※相談など問い合わせ(韓国発明振興会発明振興室):電話02-3459-2847、2844、2793
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