知的財産ニュース 韓国特許庁と知財戦略研究会、「2025年第一次知財戦略フォーラム」を開催

2025年4月16日
出所: 韓国特許庁

企業・投資家の観点から名品特許の戦略について議論

韓国特許庁は4月15日火曜日、知的財産戦略研究会と共にソウル三井(サムジョン)ホテル(ソウル市江南区所在)にて「2025年第一次知財戦略フォーラム」(以下、「フォーラム」)を開いた。

今回のフォーラムは、韓国企業の世界的な技術競争力の確保に向けて高品質の特許確保の重要性が求められる中、「名品特許」の創出や活用について知財エコシステムにおける各主体からの意見を集めて認識を向上させるためである。「名品特許」とは、経済的価値の高い革新的な技術について独占権を広く確保し、第三者にとって有効かつ明確であって権利の安定性の高い、儲けになる特許をいう。

特許分析基盤の研究開発による成果物の品質を向上させ、企業・研究機関・代理人による出願の品質を向上させる。審査段階では革新的技術を「名品特許」にする審査を行う。審判段階では特許権の安定性を高めるよう審判制度を改善する。権利化した「名品特許」を経済的利益につなげるよう事業化・輸出を促進する。そこから得られた資金で特許分析を基盤とした研究開発を行い、品質の高い成果物を出願するという好循環のエコシステムをつくる。全体的には知財の保護に向け裁判において知財価値を正しく保護する基盤づくりを進めるといった考え方である。

「世界的な技術覇権競争時代、名品特許がカギとなる」というテーマで開かれ、特許を生み出しビジネスに活用している企業側と、投資による特許の収益化を図る投資会社側が登壇し、市場における名品特許のあり方について踏み込んだ議論を行った。

(株)ABION BIO代表理事兼ソウル大学薬学部教授シン・ヨンギ氏は、製薬・バイオ業界の生存は技術の優秀性だけではなく、技術を保護・拡大できる知財戦略にかかっていると言い、研究開発との連携(特許路R&D)により技術と特許戦略が並行する構造が定着されてこそ、世界市場で通用する名品特許の創出や産業の競争力強化が図れると強調した。

LGエナジーソリューションのイ・ハンソン専務は、自社が世界の蓄電池市場をリードしている背景には社内に定着されている特許連携の研究開発体系が重要な役割をしていると分析した。ただし、最近、中国など後発国が特許権確保に取り組み、紛争が増加している状況の中で、韓国が世界市場での優位性を維持し続けるためには企業だけではなく、特許庁と裁判所、知財業界の全体が名品特許の創出-活用-保護というすべての段階にわたって協力を深めていく必要があると述べた。

ザ・ウェルス・インベストメントのチョン・ハンチョル専務は、高品質の特許が高い投資収益率につながる事例を紹介し、「名品特許」の活用を促すためには特許を収益化する専門人材を増やす必要があると言及した。

知財戦略委員会のペク・マンギ委員長がリードするディスカッションでは、企業・学界・法曹界などさまざまな分野の専門家からなるフォーラムの参加者が名品特許について話し合った。とりわけ、参加者らは、韓国の特許はこれまで量的成長により知財先進国へと発展してきたが、これからは質的成長を図る時期に来ているという点に共感し、知財エコシステムに直接関わる主体だけではなく、関係機関とも緊密な連携を図ることを求めた。

キム・ワンギ特許庁長は「資本と人材の規模に限界がある環境の我が国が技術覇権争いの中で優位に立つためには、源泉・コア特許の確保、事業化から輸出につながる知財好循環のエコシステムづくりにより、研究開発への投資の成果を一層高めていく必要がある」とし、「特許庁は知財分野の各主体と引き続きコミュニケーションを図ることで、民間からの意見を積極的に集めた上で名品特許を生み出す充実な政策を講じていく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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