知的財産ニュース 韓国特許庁、高度化する知財犯罪を捜査する「デジタル証拠分析室」を新設

2025年4月16日
出所: 韓国特許庁

特別司法警察による科学捜査能力の強化、模倣品のトレンドがわかるポップアップ展示場を設置

韓国特許庁は4月14日月曜日、「デジタル証拠分析室(大田(テジョン)市西区政府大田庁舎4棟1階)」を新設し、知能化・高度化する知財犯罪への捜査に取り組む体制を始めると発表した。

1.「デジタル証拠分析室」を新設し、知財犯罪への科学捜査を強化

特許庁の特別司法警察は、デジタル証拠分析室を政府大田(テジョン)庁舎4棟1階に設置し、事務エリアから分離された独立したスペースで知財犯罪への捜査活用を行う計画だ。

特許庁は2021年、技術デザイン特別司法警察課を設け、デジタルフォレンジックの捜査手法を採用し、デジタルフォレンジックの専門人材と関連ソフトやツールを拡大してきた。

知財犯罪で刑事事件として立件された件数はこの3年間約2,100件と、デジタルフォレンジックの捜査手法の役割が重要になっている。営業秘密侵害事件の場合、営業秘密を流出したという証拠を収集する上で有効な捜査手法である。
※特許庁の特別司法警察による刑事事件の立件数:2,173件(2022年~2024年)

また、事件当事者に対しデジタル証拠の選別に参加する権利を保障する目的で使う参観室が別途設置され、特別司法警察による捜査の透明性や信頼が高めると期待される。

今後も特許庁は、先進的な捜査手法に関する教育の強化、捜査インフラの拡大などを図り、特別司法警察による科学捜査の能力を一層高めるために引き続き取り組む考えだ。

2.模倣品のトレンドがわかる「模倣品のポップアップ展示場」を設置…注意喚起へ

特許庁は4月14日月曜日から政府大田庁舎4棟1階にて商標権者の権利保護など知財権保護への認識を高める趣旨で「模倣品のポップアップ展示場」を設置・運営する。

展示は商標警察が押収した模倣品の中で侵害が頻繁に起こっているブランドや品目を中心に2~3か月ごとに展示替えを行う。また、真正品と模倣品を比較できる展示、関税庁との協力で税関で摘発された模倣品などの展示も企画している。

初めは最近、ソウルの明洞(ミョンドン)や東大門(トンデムン)などで押収した模倣品を中心に有名ブランド(エルメス、ルイヴィトン、シャネル、ロレックス、パテックフィリップなど)と、国民の生活・健康・安全に関わる品目(化粧品、浄水器、車両用部品など)などを展示して模倣品への注意喚起を促す。

特許庁の産業財産保護協力局長は「デジタルフォレンジックを活用した科学捜査の能力を高めて知能化・高度化する知財犯罪対策に力を入れる」とし、「ボップアップ形式で行われる模倣品展示は国民に知財保護の重要性を認識させるきっかけになると思う」と述べた。

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